スズキ新型アドレス125が登場。メイド・イン・チャイナ→インドに! デザインはユーロ風味。

さる11月16日、報道関係者を対象にしたスズキの発表撮影会が都内六本木で開催された。全カラーバリエーションを揃えて会場に並べられたのは、10月18日から新発売された「アドレス125」(左)と同21日発売の「アヴェニス125」。両車は共にインドで製造され、基本構造を共有しながらも、まったく異なるキャラクターに仕上げられている。まずはベースとなったアドレス125について注目した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 スズキ

スズキ・アドレス125…….273,900円(消費税込み)

パールミラージュホワイト

マットブラックメタリックNo.2
ダークグリーニッシュブルーメタリック
マットボルドーレッドメタリック

快適性と充実装備をうたう新型スタンダードスクーター

原ニの定番スクーターとして正常進化。
マイルドな優美さが感じられるデザインスケッチ。

ネーミングの「Address」はAdd(加える)とDress(衣装)を併せた造語。メットインスペースに衣装を入れて持ち歩き、自分らしさを演出しましょうという意味合いがあるそう。初代デビューは1987年の50に始まり同ブランドは100や110も含めるとこのモデルで7機種目を数える。
125ccモデルでは2005年に4ストロークエンジンを搭載したアドレスV125に始まる。翌2006年からは製造地を日本から台湾に移管。2017年にはアドレス125の名前で中国製造の第2世代へフルモデルチェンジ。今回の新型で第3世代となっている。
ベース車は、2019年にインド市場に投入されて大ヒット商品となったAccess125。最新の排出ガス規制対応を機に開発コンセプトを“The Classic Commuter”と掲げ、上質で快適なスタンダードスクーターとして刷新。グローバルモデルとして仕上げられたのが最新のアドレス125なのである。
日本以外にも販売され、製造国のインドや周辺のアセアン諸国はもちろん、欧州や中南米まで。ざっと列記するとコロンビア、メキシコ、グァテマラ。フィリピン、ネパール、バングラデッシュ、インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジア。そしてEU諸国へと販路は実に幅広い。もちろん主力市場はインド。年間生産台数が50万台を超えるというからその規模には圧倒される。

中国製造の先代モデルまでは、シュッとしたシャープなラインをあしらった外観デザインで、少しノーズを垂れたフロントフェンダーレスのスタイリングが印象的だった。しかし今回はガラリとイメージチェンジ。
丸みのあるソフトなフォルムや、角形ヘッドランプのデザイン、そしてスチール製フェンダーの採用等からは、どこか初代ジェンマを彷彿とさせる上質な雰囲気が漂って来る。ボディーサイドのエンブレムもステッカー処理ではなく、こだわりの立体エンブレムを採用。
に代モデルと比較すると、前12/後10インチのホイールサイズは共通。アンダーボーンフレームの採用で、フラットなフロアボードを備えることも同様な仕上がり。しかし車体サイズは全長で75mm、ホイールベースは20mmコンパクト。逆に全高は25mm、シート高は25mm高いものの、車両重量は4kg減の105kg。取り回す時の印象も原二スクーターとして適度なボリューム感でより親しみやすく、その扱いやすさに好感触を覚えた。さらに印象的だったのはダブルシートのクッションサイズが大きくなっていた。
座面寸法で比較すると先代モデルの656mmに対して新型は773mm。一気に117mmも長いデザインは、自由度のあるライディングポジションとタンデムライディング時の快適性が期待できるのである。
                    
デザインコンセプトは“Timeless and Sophisticated”。長く付き合える新しいスタンダードスクーターを目指し、幅広い世代が親しめる存在感のあるデザインを追求。大きな曲面と流麗なライン構成で、新しいエレガントな造形を表現。スチール製部品の採用は、破損しても板金塗装でリペアするインド文化の影響とも言われるが、樹脂部品とは異なる重厚感には独特な魅力がある。
大径のスチールパイプ製アンダーボーンフレームは、コンピューター解析によるシミュレーション技術と走行実験を合わせることで旧モデル比較で同レベルの高剛性を確保しながら1.1kg の軽量化を実現。
二人乗りも含めた実用時の安定した素直な操縦性が追求されている。フロントフォークはインナーチューブφ30mmの正立式を採用。サイズアップされたシート後方にはスチール製キャリアに換わってアルミダイキャスト製グラブバーを採用。ここでも1.1kg の軽量化を達成している。 
さらに見逃せない変更点は、給油口の位置をシート後方に移設。給油時にシートを開ける手間が省かれている。
ブレーキは左レバーの操作で前後に制動力を発揮するコンバインドブレーキを搭載。右レバーは前のディスクブレーキを単独作動させられる。そして装着タイヤはいずれもチューブレス。インドネシア産のダンロップ製D307が採用された。

大径スチールパイプ製のアンダーボーンフレーム。
マフラーの取り付け位置が、タイヤ1本分右側に移設された。
スケールが拡大されたフラットなダブルシート。
標準的なスクーターらしく、ステップスルーのフラットなフロアボードを採用。
グラブバーは上質感漂うアルミダイキャスト製を採用。

さらに熟成されたスズキ定評のSEPエンジン

定地燃費率で従来比約7%の燃費向上を果たしている。
最適な燃焼追求とフリクションロスの低減化が徹底された。

ユニットスイング構造で搭載されたエンジンは、車体左側で後輪を片支持する方式。諸元値に着目して先代モデルと比較するとSEP(SUZUKI ECO PERFORMANCE)エンジンであることはもちろんボア・ストロークや減速比、無段変速機のギヤ比、潤滑オイル容量まで一致する。各部品構成のレイアウトも同じ。
しかし詳細を見比べてみると、全く別のエンジンであった。オイルレベルゲージやボルト類などの僅かな部分に共通部品を見つけ出すことができるものの、ほぼ全ての主要部品が刷新されていたのである。
一見してわかるような大きな革新こそないが、フリクションロスの低減化がさらに徹底追求されていると言う。
中でも顕著な効果を発揮したのがオイルポンプの変更だと言う。潤滑に必要な吐出量を適正に確保しながらも、ポンピングロスを低減。その他ジェネレーターも一新されているし、サイレントカムチェーンのテンショナーも張り具合と当たりを適正化し、よりスムーズに動くよう設計し直されている。
その他セルモーターの小型化など、軽量化の追求にも余念がない。

吸気された混合気がタンブル流(縦の渦)を形成することや、スパークプラグの対向面にM字スキッシュエリア(ピストン上死点時にヘッドとピストンクラウンが密着して隙間が狭くなる部位)を設けた基本構造に変わりはないが、低速時の火炎伝播を促進するようにさらなるチューニングが施されたそう。これは特に低速域の燃焼効率向上に貢献する。
もちろん吸排気系も一新され、吸気バルブ形状も抵抗軽減策が講じられている。エアクリーナーケースも容量と形状を最適化。エキゾーストパイプ内のキャタライザーは排気ポート直近にひとつと、マフラー内にも設置する2段構造を採用。
結果として平成32年(令和2年)国内排出ガス規制をクリアしながらも10Nmの最大トルクをキープ。しかも最高出力発生回転数は7,000から6,750rpmに、最大トルク発生回転数は6,000から5,500rpmに下げることに成功。 以前よりも増して実用域で向上した出力特性に合わせVベルト無段変速の変速特性が変更されているのも見逃せない。常用域でエンジンの使用回転を下げ、静かで快適な乗り心地と実用燃費性能の向上が期待できる。
諸元値で明確な差に現れたのは、60km/hの速度で二人乗り計測する定地燃費率。新旧比較すると、52km/Lから55.9km/Lへ約7%の燃費向上を達成したのである。

左側のカムチェーンでシングルカムシャフトを駆動。ローラーロッカーを介して2バルブを開閉する。
Vベルト式無段変速。中央部にキックギヤとリターンスプリングが見える。
吸排気系も一新。触媒レイアウトも最適化されている。

足付き性チェック(身長168cm / 体重52kg)

フラットなフロアステップの幅は422mm。シート高は770mm。ご覧の通り膝に少し余裕を持って、両足は踵までベッタリと地面を捉えることができる。

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…