往年のロイヤルエンフィールドとは別物だが! 新生ブリティッシュツイン、コンチネンタルGT650。その味付けはレトロ。

半世紀以上の長きに渡って、単気筒専業メーカーというスタンスを維持して来たロイヤルエンフィールド。そんな同社が現体制で初めて手がけた並列2気筒車は、日英のライバル候補と互角以上の資質を備えているだけではなく、650ccならではの魅力を真摯に追及していた。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
※2021年1月7日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650(スタンダード)……795,000円

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650(カスタム)……810,000円

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650(スペシャル)……839,000円

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650
ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

昔ながらの伝統を継承するモデル……ではない?

 2018年秋に公開され、翌年から発売が始まったINT650/コンチネンタルGT650は、60年以上に渡って単気筒車のみを生産して来たインドのロイヤルエンフィールドが、初めて手がけた並列2気筒車である。
 もっとも1970年に倒産したイギリスの本家は、1948~1970年に500~750ccの並列2気筒車を販売していたのだが、それらとINT650/コンチネンタルGT650の間に、共通点はほとんど存在しない。あえて言うなら、エンジンのシリンダーヘッドカバーの造形は似ているものの、単気筒車のバレット/クラシック系のように、昔ながらの伝統を継承するモデルかと言うと、必ずしもそうではないようだ。

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

ルックスはクラシックでも、随所に現代の技術を導入

 もちろんINT650/コンチネンタルGT650のパッと見の印象は、どこからどう見てもネオクラシックである。
 とはいえ、まずはエンジンに注目すると、ショートストローク指向のボア×ストローク:78×57.8mmや、OHC4バルブの動弁系、270度位相のクランク、偶力振動を緩和する1軸バランサー、ギア式1次減速などは、現代ならでは機構で、往年の500~750ccの並列2気筒とは完全な別物。また、昔ながらの空冷という冷却方式を採用しつつも、シリンダーヘッドに油冷を思わせるシステムを導入したこと、冷却性能向上を実現する大型オイルクーラーを装備することも、現代ならではと言えるだろう。

知る人ぞ知るハリスフレームを採用

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

 一方の車体に関しては、基本的にはオーソドックスな構成である。ただしダブルクレードルフレームを設計したのは、かつては世界GPやSBKに参戦し、2015年からロイヤルエンフィールドと同じエイカーグループに所属するシャシーコンストラクター、イギリスのハリスパフォーマンスなのだ。
 なおフロントのφ41mm正立フォークとリアのリザーバータンク付きツインショックは、一般的な基準では特に珍しい装備ではないけれど、単気筒のバレット/クラシック系で、昔ながらの構成を維持して来た同社にとっては、十分に現代的な装備だと思う(いずれも初採用車は2013年型コンチネンタルGT535)。

わずか2500rpmで、最大トルクの約80%を発揮

 どうして650ccという排気量を選択したんだろう。ロイヤルエンフィールドの並列2気筒車を初めて体験するにあたって、僕はそんな疑問を抱いていた。と言うのも、市場でライバルになりそうなパラレルツインのネオクラシックモデルを考えると、カワワキW800は773cc/52ps、トライアンフ・ストリートツインは900cc/65psなのである。そんな中で650cc、正しく言うなら648cc/47bhp(47.7ps)という設定は、どう考えても不利じゃないだろうか。でも実際に試乗を始めてみると、排気量に関する疑問は意外にアッサリ霧散することになった。

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

 まずは当初の僕が最も気になっていた、ゼロ発進時のトルクの話をすると、前述したライバル候補に負けていないのである。グイグイと言うほどではないものの、ミドルツインらしい鼓動を発揮しながら、必要にして十分以上の加速を披露してくれる。不思議に思って本国の英文プレスリリースを読むと、この650ccエンジンはわずか2500rpmで、最大トルクの約80%を発揮するとのこと。なるほど、どうりで物足りなさを感じないわけだ。

650ccならではの軽快なフィーリング

 もっともミッドレンジの力は、排気量とパワーに優るW800やストリートツインには及ばない。ただしその気になれば、最高速はメーター読みで170km/h前後は出そうだし、個人的にはライバル候補とは一線を画する、650ccならではの軽やかでストレスが少ない吹けが上がりが印象的だった。
 改めて振り返ると、1940~1970年代に販売されたブリティッシュツインの多くは、当初は500ccからスタートし、650ccを経て、最終的にはほとんどが750ccになったのだが、英車マニアの中には650ccがベスト、と言う人が少なくないのである。もしかするとINT650/コンチネンタルGT650の開発陣は、そのあたりを考慮して、排気量設定を行ったのかもしれない。

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

軽快なハンドリング! 今後の動きにも期待大!

 そして車体に関しても、INT650/コンチネンタルGT650はライバル勢とは一線を画する軽快さを感じさせてくれた。その印象の背景には、安定性より操縦性を重視したディメンション、キャスター/トレール:24度/105mm、軸間距離:1398mmという数値や(W800のSTDは27度/108mm/1465mmで、ストリートツインは25度/102.4mm/1415mm)、細身の前後18インチタイヤもあるのだが、排気量が少なくてクランクが軽いおかげで、このバイクのハンドリングは単気筒車+αと言いたくなる感触なのである。
 もっともハリスが設計したフレームの現代的な剛性感を考えると、今後の排気量拡大はあり得そうだが、現状のINT650/コンチネンタルGT650は、650ccならではの魅力をきっちり構築しているのだ。

日英のライバル候補とは似て非なる特性

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

 さて、そんなわけでINT650/コンチネンタルGT650にかなりの好感を抱いた僕だが、作動性がいまひとつの前後ショックや左右への張り出しが大きいマフラーなど、気になる点がなかったわけではない。とはいえ今回の試乗では、初めて手がけた並列2気筒車でありながら、先行する日英のライバル候補に対して、互角以上に戦える資質と、似て非なる特性を実現したロイヤルエンフィールドの手腕に、しみじみ感心することになったのだった。

ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT650

著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…