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Volkswagen T-Cross
輸入SUVカテゴリー、登録台数3年連続1位の実力は伊達じゃない
VWによると現在の国内マーケットは相変わらずSUVの人気が堅調であり、ボディサイズ別ではCセグメントとBセグメントの登録台数が近年増加しているという。近頃の燃料費の高騰を考えると、燃費面でのアドバンテージのあるB〜Cセグメントに人気が集中するのも合点のいく話だ。
このような近年のトレンドをがっちりとらえているのが「VW Tクロス」である。全幅1760mmという日本でベストなボディサイズに愛らしい外観デザイン、そして何よりも輸入車らしからぬ、お財布に優しい価格設定……。日本発売開始となった2020年から2022年まで、3年連続輸入SUVカテゴリーにおいて、登録台数ナンバー1を維持しているというのも実に頷ける話である。
さて、そんな人気者のTクロスがさらに魅力を向上させるマイナーチェンジを遂げた。感心したのはボディサイズがマイナーチェンジ前とほぼ変わらないことだ。全長こそ25mmほど伸びているものの全幅は従来モデル同様1760mm(Rラインは1785mm)を維持している。わかっているなぁ、勘所を。
インフォテインメントシステムが大幅進化
外観は灯火類やバンパーデザインを一新したことで、よりモダンな印象へと刷新された。モノトーンカラー中心の現在の輸入車マーケットに抗うかのようにビビッドな新色グレープイエロー、クリアブルーメタリック、キングレッドメタリックの3色を追加し、全8色をラインナップする点も好感が持てる。輸入車を購入する層は自分のライフスタイルの体現の一部としてクルマを捉えている人が多いはずだ。だからこそ、カラフルなカラーを数多くの色種から選べるのはとても嬉しいことである。
室内に目をやるとデジタルクラスターメーターや大型のタブレット型ディスプレイが新たに採用され、より上質なインテリアへと進化を果たした。シートヒーターが標準装備となったことも嬉しい限りだ。
試乗車はLEDマトリクスヘッドライト「IQ.ライト」や最新のADASを装備した最上級グレードのRラインであった。乗り込んでまず、サイドブレーキが電動ではなく、未だ手動である点に驚いたが、これも慣れの問題だろう。
VWの本気度が垣間見える価格設定
早速、高速道路に乗り入れて走りをチェックしてみた。サスペンションはしなやかに動くタイプではないが、ボディ剛性の高さゆえか路面の凹凸をしっかりと吸収し、乗り心地は極めてコンフォート。搭載されるエンジンは1.0リッターの直3ターボだが、わずか2000rpmから200Nmものトルクを発揮するので、高速道路での合流も余裕そのものだ。
ジャストなボディサイズに、快適な乗り心地と広大な荷室を提供してくれるTクロス。これは売れるはずである。最後にひと言。新型Tクロス「Rライン」、なんとマイナー前のRラインより10万3000円ダウンプライスされている。VWの本気度がここに垣間見える。
REPORT/石川亮平(Ryohei ISHIKAWA)
PHOTO/神村 聖(Satoshi KAMIMURA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲンTクロスRライン
ボディサイズ:全長4135 全幅1785 全高1580mm
ホイールベース:2550mm
エンジン:直列3気筒DOHCターボ
総排気量:999cc
最高出力:85kW(116PS)/5500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/2000-3500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トレーリングアーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
燃料消費率:17.0km/L(WLTC)
車両本体価格:389万5000円
【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199
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