ウルスやDBXをも脅かす「アウディ RS Q8 パフォーマンス」の実力

超高性能SUVにニューカマー登場「アウディ RS Q8 パフォーマンス」の走りはホンモノだ!

アウディのフラッグシップSUV「Q8」がマイナーチェンジされるとともに、最強バージョンが追加された。その走りの実力を探る。
アウディのフラッグシップSUV「Q8」がマイナーチェンジされるとともに、最強バージョンが追加された。その走りの実力を探る。
アウディSUVシリーズのハイパフォーマンスモデルであるRS Q8がマイナーチェンジ。あらたに最高峰モデルの「パフォーマンス」を追加したほか、モダンな外観へと進化を遂げた。(GENROQ 2025年1月号より転載・再構成)

Audi RS Q8 SUV

サーキットを全開で走れるスーパーSUV

RS Q8のトップモデルに位置づけられるのが「RS Q8パフォーマンス」だ。最高出力640PS、最大トルク850Nmを発生するアウディ史上最強の4リッターV8ターボを搭載する。
RS Q8のトップモデルに位置づけられるのが「RS Q8パフォーマンス」だ。最高出力640PS、最大トルク850Nmを発生するアウディ史上最強の4リッターV8ターボを搭載する。

正直言って信じられなかった。まさか、これほど大きいサイズのSUVが、サーキットを全開で走り回れるとは。確かに世の中にはハイパフォーマンスSUVと呼ばれるモデルが多く存在する。また、それらの開発者は、「サーキット走行を想定して開発した」という言葉をよく口にする。しかし私は、そのような言葉に対して訝しさを覚えていた。一体誰がこんなに大きなSUVでサーキットを走るのだろうと。

だが今回、新型アウディRS Q8パフォーマンスに試乗して、その考えが覆された。新型RS Q8パフォーマンスは、本当にサーキットを思い切り走れるスーパーSUVだったのである。

アウディ史上最強のV8ツインターボを搭載

6月にヨーロッパ市場で発売されたRS Q8のマイナーチェンジモデルは、600PS/800Nmを発揮する4.0リッターV8ツインターボを搭載し、8速AT(ティプトロニック)を組み合わせたハイパフォーマンスSUV。RS専用チューンのアダプティブエアサスペンションスポーツやクワトロスポーツディファレンシャル、低速時には後輪が前輪と逆位相に最大5度、高速時には同位相に最大1.5度ステアするオールホイールステアリングを搭載。オプションで48V駆動の電動アクティブロールスタビライゼーションやRSセラミックブレーキシステムも設定され、従来モデルを超える運動性能を手に入れた。

その能力をさらに引き上げたのが、RS Q8パフォーマンスである。このモデルは、最高出力を640PS、最大トルクも850Nmに引き上げた、アウディスポーツ史上最強の専用4.0リッターV8ツインターボを搭載。さらに標準の22インチアルミホイールに対して、1本あたり約5kg、4本合計で約20kgもの軽量化を実現した23インチ鍛造アルミホイールを用意。また、エキゾーストシステムで1kg軽量化したうえ、さらなる軽量化とよりエモーショナルなドライビング体験のために、前後のインシュレーターを減らすという、大胆な改良(?)も施された。

その結果、新型RS Q8パフォーマンスは、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで、7分36秒698という、市販SUVによる過去最速ラップを叩き出した。この記録は、新型「RS 3」のわずか3.5秒落ちでしかない。衝撃的な速さである。

3色から選べるRSデザインパッケージを用意

今回は、スペイン・バルセロナ近郊シッチェスのホテルから、山間にあるサーキット、パルクモートル・カステリョリの往復の一般道試乗と、サーキットドライブを体験したのだが、その走りには心底驚かされた。

前夜にホテルで新型RS Q8パフォーマンスがいかに速いのか、ガッチリ説明を受けていたので、相当にマッシブなクルマなのだろうと想像していたのだが、実際にステアリングを握ってみると、かつて経験がないほど軽快なドライビングフィールだったのである。

摺動抵抗を低減したという4.0リッターV8ツインターボは、吹け上がりが軽く、右足の動きに極めてレスポンスよく反応する。ステアリングは軽く、それでいて路面状況やグリップ感を伝えてくれる。ハンドリングは非常に俊敏だが過敏ではなく、ライントレース性も見事だ。セラミックブレーキのタッチや制動力も申し分ない。とにかくドライバビリティが良い。

全長5022mm、全幅2007mm、全高1699mm、ホイールベース2998mmと大柄で、車両重量も2275kgと決して軽くはない。だがドライビングフィールとしては、ふた回りほどコンパクトなスポーツハッチを走らせている感覚なのだ。

スーパーSUVの選択肢として積極的に選びたくなる1台だ

車重2275kgとヘビー級だが、圧倒的なシャシー剛性の高さゆえ、雨の中のサーキットを走行でも圧倒的なスタビリティを披露した。
車重2275kgとヘビー級だが、圧倒的なシャシー剛性の高さゆえ、雨の中のサーキットを走行でも圧倒的なスタビリティを披露した。

サーキットでもその感覚は変わらないどころか、より積極的な走りを楽しめた。パルクモートル・カステリョリはブラインドコーナーが多く、アップダウンもキツいコースで、当日は生憎の雨模様だったが、抜群の動力性能と先進的で卓越したシャシーによる圧倒的なスタビリティのお陰で、安心して攻めた走りを楽しめた。ここまでサーキット走行を楽しめるSUVは新型RS Q8パフォーマンスが個人的には初めてである。

しかも快適性もすこぶる良好なのもこのモデルの美点だ。ここまで全方位的に弱点が見当たらないSUVは、極めて稀有な存在と言える。ドイツでの価格は19%の付加価値税込みで15万5700ユーロ(約2570万円)と安くはないが、十分にそれだけの価値がある出来栄えである。

REPORT/竹花寿実(Toshimi TAKEHANA)
PHOTO/AUDI AG.
MAGAZINE/GENROQ 2025年1月号

SPECIFICATIONS

アウディRS Q8パフォーマンス


ボディサイズ:全長5022 全幅2007 全高1710mm
ホイールベース:2998mm
車両重量:2550kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:471kW(640PS)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7kgm)/2300-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後295/40ZR22
0-100km/h加速:3.6秒
最高速度:305km/h

【問い合わせ】
アウディ コミュニケーションセンター
TEL 0120-598-106
https://www.audi.co.jp/

新たに追加されたトップ仕様「アウディ RS Q8 パフォーマンス」の走行シーン。

アウディSUV史上最強を誇る「RS Q8 パフォーマンス」がデビュー「ニュルで市販SUV最速7分36秒698を記録」

アウディ・スポーツが、ハイパフォーマンスSUV「RS Q8」改良新型を発表した。新たに追加された最上級仕様「RS Q8 パフォーマンス」が搭載する4.0リッターV型8気筒TFSIエンジンの最高出力は640PSを発揮。価格はRS Q8が14万1900ユーロ〜、RS Q8 パフォーマンスが15万5700ユーロ〜、2024年6月27日から欧州におけるオーダー受付がスタートした。

キーワードで検索する

著者プロフィール

竹花 寿実 近影

竹花 寿実

1997年に美術大学卒業後、自動車雑誌『driver』スタッフとして業界入り。自動車情報サイト『Hobidas Auto…