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RENAULT Lutecia E-Tech Engineered
普段使いの燃費を測ってみた
ルノーが2023年春に開催した東京〜松山の自動車メディア対抗燃費チャレンジで2位、そして同じく6月に開催された川崎〜木更津往復の燃費チャレンジでは優勝! と、ルノー開催の燃費チャレンジで好結果を連発した『GENROQ』。東京〜松山のチャレンジはルーテシア E-TECH ハイブリッドで3.0L/100km(33.3km/L)、川崎〜木更津のチャレンジがアルカナ E-TECH ハイブリッドで31.6km/Lという結果だった。
もちろんできる限りの燃費走行を心掛けた結果の数字であり、東京〜松山の時は気候が良かったこともありエアコンさえ使わなかった。では燃費を気にせずに走ったらどれくらいの数字が出るのか? という疑問がふと浮かんできた。そこで改めてE-TECHハイブリッドを日常のアシとして使い、どれくらいの燃費が出るのかを検証してみることにした。
今回選んだのはルーテシアE-TECHエンジニアード。グレーメタリックのボディカラーにブリリアントブラックのエンブレムやチタンカラーのF1ブレードが映えるオシャレなグレードだ。車載の燃費計も備わるが、100kmを走行するのに必要なガソリンの量を表示するというヨーロッパ式で小数点以下はヒト桁しか表示しないため、これはあくまで参考として実際の燃費は満タン方式で測ることにした。
燃費には厳しい夏のチャレンジ
横浜のルノージャポンでクルマを借り、正確を期するためにまずは近くのGSで満タンにし、燃費チャレンジをスタートした。といっても今回のテーマは“普通に”使うことなので、燃費を意識した走りはしない。しかも季節は梅雨から夏という一年中で最も蒸し暑い季節だから、当然エアコンもONだ。場合によっては設定温度を20℃近くまで下げたりして普段通り遠慮なく使った。また走行モードもデフォルトの「My Sense」のみを使い、ECOモードは使わないことにした。
現在、ルーテシアとアルカナに搭載されているルノーのE-TECHフルハイブリッドは外部充電機能は持たない。しかしエンジンの他に2つのモーターを搭載しているのがポイントで、ひとつは駆動用モーター、そしてもうひとつはスターターとジェネレーターの役割を担う。システムとしてはトヨタのTHSと似た部分があり、輸入車でこのような機構を持つハイブリッドは他にない。
スタートは基本モーターのみで行い、その後必要とならばエンジンが始動して駆動を行ったりジェネレーターモーターを回して発電を行なったりと、巧みな制御を行う。しかしその切り替えはシームレスで、運転している側がそれを意識することはほぼない。エンジンが始動するとその音が聞こえてはくるが、不快なショックなどは皆無だ。走行時間の半分(以上?)くらいはエンジンが停止しているのだが、エアコンの効きはまったく変わらないので灼熱の都内の渋滞を走っていても快適だ。
高速では30km/L、街中でも20km/L
今回は富士スピードウェイと栃木方面の取材があったので高速道路も使用したが、小気味のいい加速は1.6リッター直4エンジンとは思えないほど。トランスミッションはエンジン側に4速、そしてモーター側に2速のギヤを持つドッグクラッチ式。状況に応じた変速は素早く、意のままの気持ちいい走りが楽しめる。
高速道路では制限速度前後の走りをし、遅いクルマがいたら追い越しもしたりした。そんな“普通”の走りをしたのに、東北自動車道の栃木ICから首都高速道路の中野長者橋IC間ではなんと3.3L/100kmを記録。これは日本式で言うと30.3km/Lだ。燃費を意識して走った東京〜松山の燃費チャレンジとさほど変わらない数字があっさりと出てしまったことには本当に驚いた。
都内でも通勤に取材にと、200km近く走り回ったが燃費計は4.7〜4.9L/100km(21.3〜20.4km/L)の間をさまよっている感じだ。バッテリー計が40%くらいになるとエンジンが始動して充電を開始し60%くらいになるとEV走行に戻る。これは都内でも高速道路でも同じで、バッテリーは0%になることはなく、かといって100%になることもなかった。このあたりの制御はメーカーの考えが出るところで、非常に面白い。
ルノー製フルハイブリッドの実力とは
さて、12日間を共にして645kmを走破、すっかり身体に馴染んでしまったルーテシアE-TECHエンジニアードもついに返却する時が来た。最初に満タンにしたGSを再び訪れてガソリンを入れる。給油量は……24.84L! つまりトータル燃費は25.95km/Lを達成したのだ。灼熱の都内や週末の渋滞を含む高速道路をごく普通に走ってこの燃費。今まで多くのクルマに乗ってきたが、何も意識せずに乗っても20km/Lを超えたのはトヨタのTHSだけだった。
2回の燃費チャレンジでルノーE-TECHフルハイブリッドの優れた燃費性能は実感していたが、本当の実用燃費も優れていることが証明された。唯一、ネガがあるとすればハイオクガソリン指定ということだけか。
SPEDIFICATIONS
ルノー ルーテシア E-TECH エンジニアード
ボディサイズ:全長:4075×全幅1725×全高1470mm
ホイールベース:2585mm
車両重量:1310kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1597cc
最高出力:67kW(91PS)/5600rpm
最大トルク:144Nm(14.7kgm)/3200rpm
メインモーター最高出力:36kW(49PS)/1677〜6000rpm
メインモーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200〜1677rpm
サブモーター最高出力:15kW(20PS)/2865〜10000rpm
サブモーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200〜2865rpm
トランスミッション:4速+2速AT(ドッグクラッチ式)
駆動方式:FWD
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク
タイヤサイズ(リム幅):F&R205/45R17(7J)
パフォーマンス:WLTCモード燃費:25.2km/L
価格:379万円