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2022年はダカールラリーの転換点
ダカールラリーが変わろうとしている。2030年には全ての参戦マシンを低エミッション車にすることを目指しており、「環境志向型ラリー」へのロードマップを設定。2022年はその幕開けともいえるシーズンとなり、電動車専用のカテゴリー新設をはじめ、代替エネルギーを重視するなど、意欲的な動きを見せている。
英国のプロドライブは、コリートン・アドバンスド・フューエル社と共同で、8ヵ月にわたり次世代燃料を開発。「Prodrive ECOpower(プロドライブ・エコパワー)」と名付けた第二世代バイオ燃料を完成させた。第二世代バイオ燃料は、穀物や油糧種子など食用作物に由来する第一世代とは異なり、使用済み食用油やセルロース原料などの食用廃棄物を原料としている。プロドライブによれば、同量のガソリンに比較して温室効果ガスの排出量を80%低減できるという。
エンジンはこれまでのものと同じ
「プロドライブ エコパワー」はバンバリーにある本社のパワートレイン施設で開発された。BRX(バーレーン・レイド・エクストリーム)チームのマシン「ハンター T1+」での使用テストも進められている。ちなみにエンジンはこれまでのものとまったく変わらず、ガソリンと同じように使えることが確認されている。
プロドライブのチェアマン、デビッド・リチャーズは次のように語っている。
「モータースポーツにおける新しいテクノロジーを開発し実証することは、気候変動問題解決に繋がる一助であると強く信じています。過酷な道を何千マイルも走行するダカールやFIAクロスカントリー・ラリー・ワールドカップは、次世代のサステナブルな燃料の利点を証明するのにもってこいの環境です。また、化石燃料の使用量を減らすためにロードカーに使ったとしても、同じだけの性能と航続距離を実現するでしょう」
コリートン・アドバンスド・フューエル社のアンドリュー・ウィルソンCEOも説明する。
「コリートンは長きにわたってモータースポーツ向けに特注の燃料を調合してきました。そして、顧客の皆さまのニーズへさらに寄り添うべく、先ごろ新しいサステナブル燃料『Sustain』をローンチしました。プロドライブとタッグを組むことで、世界で最もチャレンジングなレース環境において、我々の実力を存分に試すことができると確信しています」
ピュアEVラリーマシンの参加やタブレット配布も
新しいバイオ燃料を搭載したBRX ハンター T1+験に臨む。ダカールラリーの本番前には、FIAクロスカントリー・ラリー・ワールドカップのアブダビ・デザート・チャレンジとヘイル・ラリーにも投入するという。
2022年1月2日〜14日に行われるダカール ラリーでは、プロドライブ・エコパワーをはじめとする代替燃料や、アウディの先進電動オフローダーであるRS Q e-tron、日野自動車初のレース用ハイブリッドシステムを搭載したトラックなど、持続可能性を見据えた新テクノロジーが見どころとなる。また、参加経験の少ないチームでもレースへ挑戦しやすいようにカラー液晶タブレットを配備したり、モーターサイクルやバギーのドライバーにはエアバッグベストを採用するなど、公平性や安全についても新しい取り組みをスタートする。