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Maserati Grecale
需要は急騰すれど、供給が間に合わない“産業のコメ”

マセラティは2021年10月18日、1ヵ月後の11月16日に計画していた新型車「Grecale(グレカーレ)」のワールドプレミアを2022年春に延期すると表明した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の余波で、世界的に半導体の供給が滞っているのが主な原因。「同車(グレカーレ)の生産工程に必要な主要部品のサプライチェーンが中断する状況になったことを考慮し」、発表のタイミングを見直しした。
半導体は“産業のコメ”とも言われるほど、現代の製品には欠かすことができない装置。とりわけグレカーレには「コネクティビティやヒューマン・マシン・インターフェイスにおいて画期的な内容が盛り込まれる予定」であり、「特に半導体の供給不足により想定される世界的な需要に対して適切な生産量を確保できないと判断」したという。
昨今は新型コロナの影響により、オンラインのコミュニケーションやサービス提供が拡大した。それに伴いコンピューター、通信機器市場も勢いを増しており、半導体の需要は世界的に急増中。半導体の供給を巡っては、家電業界、自動車業界の競争が厳しさをさらに増している。
「グレカーレ」は地中海に吹く激しい北東の風

レヴァンテに続くマセラティ第2弾のSUVとして開発が進められている「グレカーレ」。その車名は、地中海に吹く激しい北東の風を意味する。ちなみに風にちなんだ車名を与えるのはマセラティの伝統。1963年の「ミストラル(南仏名物の季節風)」から始まったその慣わしは、「ギブリ(サハラ砂漠に吹く熱く乾いた風)」、「ボーラ(ディナル・アルプス山脈から吹きおろす北東からの風)」、「カムシン(エジプトで春になると吹く砂混じりの熱風)」と、連綿と続けられてきた。
グレカーレの生産は本社工場ではなく、モデナから南東へおよそ500kmほどの場所に建つカッシーノ工場で行われる。マセラティは新型SUVの製造ラインを増設するにあたり、同工場へ約8億ユーロ(約1021億円)を投資するとしていた。MC20に続くマセラティの次世代プロダクトとして、2022年春のワールドプレミアには世界中から大きな期待が寄せられている。