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MERCEDES-MAYBACH EQS SUV × MERCEDES-MAYBACH GLS
押し出し感のGLSとエアロフォルムのEQS




メルセデス・ベンツグループのSUVの中で最高峰となる「GLS」。メルセデスの電気自動車(EV)モデルの中で最高峰に位置付けられる「EQS」。両車ともショーファードリブン性能を追求しているため、前席よりもオーナーが乗る後席の快適性を最優先に設計されていると考えてよい。そのため、ボディサイズは両車ともかなり大きい。
ただ、EQSはEVならではの造形がなされている。GLSに比べてボディに凹凸が少ないのは、航続距離に大きな影響が出る空気抵抗を減らすためのデザインと考えられる。また、全高がGLSより低いのも、前面投影面積を減らすためのデザインといえる。
その一方でホイールベースはEQSのほうが長い。その分後席の足元に余裕ができるわけだが、車体の中央部に大きなバッテリーを搭載していることも影響しているはずだ。
メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
ボディサイズ=全長5135mm×全幅2035mm×全高1725mm
ホイールベース=3210mm
車両重量=3050kg
タイヤサイズ=275/40R22(前後)
メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATIC
ボディサイズ=全長5210mm×全幅2030mm×全高1840mm
ホイールベース=3135mm
車両重量=2810kg
タイヤサイズ=285/40R23(前)/ 325/35R23(後)
EVは航続距離が大きな課題




快適性や静粛性が何よりも重要視されるショーファードリブンカーは、EVとの相性が良いと考えられる。モーターはエンジンよりも駆動音や振動が少ないからだ。
車重はEQSのほうが重い。スポーツ性の視点から考えればネガティブなポイントだが、ショーファードリブンカーでは逆になる。車重および床下のバッテリーがマスダンパーの役割を果たし、凹凸を越えた際に車体が跳ねるのを抑えることができるからだ。
また両車ともAWDだが、前後の軸にそれぞれモーターを備えているEQSのほうがよりきめ細かいトルク管理が可能となる。走破性も高いのではないだろうか。
だが一番の問題は航続距離である。EQSの航続距離は640kmと公表されているが、エアコンの使用などを考えればその8割と考えるのが妥当で、バッテリーの残り20〜30%をリザーブと考えると、安全に使用できるのは5割の320km程度といえるだろうか。
航続距離の課題をクリアできるのであれば、EQSこそショーファードリブンカーが目指すひとつの究極形といえそうだ。
メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
駆動用バッテリーの種類=リチウムイオン電池
システム最高出力=658PS
システム最大トルク=955Nm
トランスミッション=1速
駆動方式=AWD
メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATIC
エンジン形式=V型8気筒DOHCツインターボ
排気量=3982cc
最高出力=557PS/6000〜6500rpm
最大トルク=770Nm/2500〜4500rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=AWD
所有コストを考えればEQSは選択の価値あり


EVは高額というイメージがあるが、ガソリンのGLSよりもEQSのほうが安価な設定である。しかもただ安価なだけではなく、ガソリン代よりも電気代のほうが同じ距離を走るにしても安く済むし、税金もEVのほうが抑えることができる。
こういったクルマは個人ではなく法人所有も多いと考えられるが、一回の移動距離がそれほど長くなく、企業としてコストも抑えたいのであれば、EQSは選択の価値があるといえる。