2021年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦レポート

全日本SF選手権2021をプレイバック! 第6戦は酷暑を制した選手が勝利 【2021年 第6戦】

全日本スーパーフォーミュラ選手権 2021 第6戦のレースシーン
全日本スーパーフォーミュラ選手権 2021 第6戦のレースシーン。
8月28日、29日に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。残暑厳しいツインリンクもてぎは、熱対策がレースの行方を大きく左右する。今回はレースレポートに加え、現役トップドライバーによるツインリンクもてぎの走り方を現役女性レーシングドライバーの三浦 愛選手が訊く。

2021年スーパーフォーミュラ第6戦を振り返る

GENROQ Web 読者の皆様、こんにちは!レーシングドライバーの三浦愛です。2021年シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権も残り2戦となりました。10月16日(土)~17日(日)に迎えた第6戦の舞台は、第5戦と同じくツインリンクもてぎ(4.801km)。とは言え、路面温度摂氏40度を超える灼熱のもてぎから一転、今大会は冷たい雨がドライバーたちを翻弄する難しいコンディションとなりました。

予選は、雨が降ったり止んだり、エンジニアたちがタイヤ選択に頭を悩ませる難しい状況となり、#7 KCMGの小林可夢偉選手はアタックラップに入る直前で縁石に足をすくわれ単独クラッシュによりQ1敗退、#20 cerenex TEAM IMPULの平川 亮選手はほんの少しのタイミングとタイヤ選択を外してしまいQ2敗退。Q3進出に期待のかかる選手たちが続々とノックアウトされる中、堅実な走りで予選3番手に食い込んだのはポイントリーダーの#16 TEAM MUGEN野尻智紀選手。チャンピオンに向けて貴重な1ポイントを掴み取りました。

そして、ウェットタイヤ勢のトップで2番手タイムを叩き出したのが昨年のチャンピオン#1 TCS NAKAJIMA RACINGの山本尚貴選手です。今シーズンからチームを移籍し苦戦を強いられる中、絞り出した意地のタイムだったのではないでしょうか。

Red Bull MUGEN Team Goh 大津弘樹選手がポールトゥウィン

#15 Red Bull MUGEN Team Goh 大津弘樹選手
#15 Red Bull MUGEN Team Goh 大津弘樹選手のレースシーン。

そしてそして、見事ポールポジションの座を手にしたのは#15 Red Bull MUGEN Team Goh 大津弘樹選手です。この難しいコンディションでよく耐えた彼だけがスリックタイヤでQ2を生き残り、Q3では天を味方につけ初めてのポールポジションを獲得しました。予選直後のパルクフェルメで驚きを隠せない大津選手に、喜びを抑えきれないアドバイザーの伊沢拓也さんが駆け寄り抱き合うシーンがとても印象的でした。

この週末は本当にお天道様のいたずらとしか思えないトリッキーなコンディションが続き、決勝レースを一言でまとめると、荒れに荒れました・・・(汗)。WETからDRYへ変わりゆく中、スピン・クラッシュが多発し、セーフティカー導入からのリスタート直後の多重クラッシュと、コースサイドに配置された数十ものカメラでさえ追いきれないほど各所で色んな事が起こったレースでした。

そして、そんな大荒れのレースでまたニューヒーローが誕生しましたよ。一度もトップを譲ることなく見事初優勝・ポールトゥウィンを飾ったのは、#16 大津弘樹選手。展開に恵まれたかもしれませんが、レース直後の会見では「何度もスピンしそうで、終わったと思う瞬間さえありました。」と語った大津選手は、決して派手ではないけれど自信に満ち溢れていました。

ルーキーでありながら、このプレッシャーの中で熱さと冷静さのバランスを上手く保ち、マシンをトップチェッカーに導いた大津選手へのチームの信頼度はグッと上がったことでしょう。最終戦の活躍にも注目です。

ルーキー勢が躍進し表彰台を独占

そして、大津選手に続き今回はルーキーたちが表彰台を独占することに! 2位には5番手スタートからジャンプアップを決めた#39 P.MU/CERUMO・INGING 阪口晴南選手、3位には、ベテラン勢の猛追を振り切った#6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 牧野任祐選手が入りました。

4位には、今シーズン安定した速さと成績で毎戦爪痕を残している#19 cerenex TEAM IMPUL 関口雄飛選手、そして5位入賞を果たした #16 野尻智紀選手は、なんと最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンに輝きました。スーパーフォーミュラ参戦8年目、4輪レースでは初タイトル獲得となりました!

「長いトンネルからようやく光が見え抜け出せたような感覚」と、ミドルフォーミュラでの下積み時代から今日この瞬間までの道のりを思い返すように涙ぐむ野尻選手は、ただただレースが大好きな少年のように見えました。今大会は、大津選手の優勝に野尻選手のシリーズチャンピオン獲得とTEAM MUGENにとってこれ以上ない最高の週末となりましたね。おめでとうございます!

ドライバーの手腕が試されるダンプコンディション

ちなみに、最もドライバーの腕が試されるのは今回のようなダンプコンディションです。ウェットでもなくドライでもなく、マシンのセットアップなんて関係ない路面状況では、ドライバーが何とかするしかない。何とかするの意味は、例えば良いライン取りを見つけること。それ以外にもアクセルやブレーキの踏み方、ステアリングの動かし方などとても繊細になるので勢いだけで走っていてはタイムを削れません。

かと言って、アグレッシブさを無くしてはいけないし、タイヤの温め方やブレーキバランスの良いところを素早く見つけることもドライバーの技量のひとつになります。というように、もちろんマシンセッティングの影響がゼロというわけではありませんが、路面状況が一定の時よりも刻々と変わり続ける状況下でのドライバーの判断力や引出しの数が結果的にドライバーの実力として評価されることが多いので、今回の大津選手の走りは高い評価を得られたのではないでしょうか。

さて、2週間後にはいよいよ最終戦(鈴鹿JAFグランプリ)を迎えます。2021年の締め括りとなるレースは、一体どんなドラマが待っているのでしょうか・・・♪

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【プロフィール】
三浦 愛
12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。

【関連リンク】
・全日本スーパーフォーミュラ選手権 公式サイト
https://superformula.net/sf2/

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