爆速ステーションワゴン、新型「BMW M5 ツーリング」の実力

最高出力727馬力で万能感抜群のステーションワゴン「BMW M5 ツーリング」をテストドライブ

M5ど同パフォーマンスを持つ超高性能ステーションワゴン「M5ツーリング」。激速ワゴンの実力をレポートしよう。
M5ど同パフォーマンスを持つ超高性能ステーションワゴン「M5ツーリング」。激速ワゴンの実力をレポートしよう。
ついにPHVとなり、システムアウトプット727PS/1000Nmの大台に突入したM5にツーリングが追加された。快適性とM5同等の走行性能を併せ持つスーパーステーションワゴンの登場だ。(GENROQ 2025年1月号より転載・再構成)

BMW M5 Touring

セダン同等の性能を誇るスーパーワゴン

ついにPHVとなり、システムアウトプット727PS/1000Nmの大台に突入したM5にツーリングが追加された。快適性とM5同等の走行性能を併せ持つスーパーステーションワゴンの登場だ。
ついにPHVとなり、システムアウトプット727PS/1000Nmの大台に突入したM5にツーリングが追加された。快適性とM5同等の走行性能を併せ持つスーパーステーションワゴンの登場だ。

BMW5シリーズをベースにしたハイパフォーマンスモデルである「M5」は、1985年にE28Sが登場して以来、新型が7代目となる。その間、1992年にE34S、2007年にはE61と2度ラインナップされ、今も根強い人気を誇るモデルがある。それが「M5 ツーリング」だ。先代モデルは、生産終了から14年も経つが、5.0リッターV10エンジンを搭載し、わずか1000台強しか生産されなかったこともあって、ドイツでもクルマ好きにとって憧れの1台となっている。

「G99」という社内コードネームを持つ新型は、そんなE61型以来、久々に復活したM5ツーリングで、最大の市場であるドイツでも大きな注目を集めている。5096mmの全長と3006mmのホイールベース、1970mmの全幅は、M5セダンと共通。全高のみ1516mmと、セダンより6mm高い新型M5ツーリングは、セダンにも増して重厚で迫力満点のルックスとなっている。

パワートレインはM5セダン同様、V8ツインターボ+電気モーター

フロント周りとサイドのデザインはセダンと同様で、台形を強調した専用フロントバンパーや、大きなキドニーグリル、ワイド感を強調するサイドエアインテーク、左右で計70mm広げられた前後フェンダーなどが、力強いスタンスを演出している。

またセダンと同様にフロントフェンダー直後のエアブレーザーは備わらないが、エアロダイナミクスやクーリングは緻密に計算されている。開閉式のM専用キドニーグリルをはじめ、「穴が空いているところにはすべて何かしらの機能がある」のはM5ツーリングでも同様。リヤ周りは、バンパー形状はセダンと共通だが、緩やかにカーブを描くテールゲートが、セダン以上に迫力のあるリヤビューを実現している。軽快感はセダンの方が上だが、パワフルなイメージはツーリングが勝っている。

新型M5ツーリングのパワートレインは、こちらもPHVである。585PSと750Nmを発揮する4.4リッターV8ツインターボに、197PSと280Nmを絞り出す電気モーターを組み合わせ、システム合計で727PSと1000Nmというハイスペックを実現した、ハイパフォーマンス4WDワゴンだ。

車両重量は2475kgと、先代より約500kg増加したM5セダンよりさらに40kg重いが、0-100km/h加速が3.6秒、0-200km/h加速は11.1秒と、それぞれセダンの0.1秒落ちと0.2秒落ちの加速性能を確保。最高速度は、通常は250km/hでリミッターが作動するが、Mドライバーズパッケージ装着車は305km/hに引き上げられる。サーキットで限界を攻めるような走りをしないかぎり、その差はほとんど判らないはずだ。

クルマとの一体感を重視したMマルチファンクションシート

実際、セダンから乗り換えたツーリングの走りは極めてダイナミックで、40kgの重量増など微塵も感じられなかった。筆者が今春にサーキットでプロトタイプをドライブした際には、コーナリング時に重さを意識させられたが、今回試乗したミュンヘン郊外のワインディングロードでは、胸のすくようなスポーティな走りが楽しめた。

特にダイナミックモードやダイナミック+モードでは、アダプティブMサスペンションやアクティブMディファレンシャル、後輪が最大1.5度ステアするインテグラルアクティブ・ステアリングがその効果を発揮して、加減速のリズムやステアリングレスポンス&正確性が見事なハーモニーを奏で、時間の経過を忘れてしまうほどドライビングに夢中になってしまった。

しかもスポーティでありながら足まわりはとてもしなやかで、トップパフォーマンスモデルとは思えないほど乗り心地が良い。エンジンと電気モーターの切り替えも極めてスムーズである。

アウトドアスポーツやレジャーに十分対応可能な広大ラゲッジ

通常時500リットル、最大1630リットルの容量を誇るラゲッジスペースが備わる。
通常時500リットル、最大1630リットルの容量を誇るラゲッジスペースが備わる。

見た目は派手だが、デイリーユースにもまったく問題なく使える快適性レベルだ。特にツーリングは、5人乗車時で500L、最大で1630Lもの荷室容量を確保しているので、スキーやキャンプといったレジャーにも十分対応できる。

さらに新型はWLTPモードで最大67km、最高140km/hのEV走行が可能なPHVなので、普段はガソリンをまったく使わないような乗り方も可能だ。

これほどの万能感を備えたクルマは、世界中を見渡してもなかなかない。新型M5ツーリングは米国市場に初上陸するが、彼の地でも喝采を浴びることになるだろう。

REPORT/竹花寿実(Toshimi TAKEHANA)
PHOTO/BMW AG.
MAGAZINE/GENROQ 2025年1月号

SPECIFICATIONS

BMW M5ツーリング


ボディサイズ:全長5096 全幅1970 全高1516mm
ホイールベース:3006mm
車両重量:2550kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:4395cc
最高出力:430kW(585PS)/5600-6500rpm
最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800-5400rpm
モーター最高出力:145kW(197PS)/6000rpm
モーター最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1000-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
0-100km/h加速:3.6秒
最高速度:305km/h

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

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定評ある4.4リッターV8ツインターボにモーターを組み合わせることで、驚異のシステムアウトプット727PS/1000Nmを実現した新型M5。PHV化されたことにより、その走りの愉悦に一層磨きがかかったようだ。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

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著者プロフィール

竹花 寿実 近影

竹花 寿実

1997年に美術大学卒業後、自動車雑誌『driver』スタッフとして業界入り。自動車情報サイト『Hobidas Auto…