目次
Mercedes-Benz V-Class
見よ、この迫力あるフロントフェイスを

W447型となる3代目Vクラスも登場から10年を迎えるロングセラーとなった。と、ここで2度目となるフェイスリフトを兼ねたマイナーチェンジが施され、日本でもこの秋から発売を開始している。
その最大の特徴はさらに大型化されたフロントグリルや、それに伴うバンパーデザイン、灯火類などの変更を受けたエクステリアだろう。グレード構成は標準系とエクスクルーシブ系に分かれるが、前者はグリルセンターにスリーポインテッドスターを配するスポーティなデザイン、後者はスリット+ボンネットマスコットのエレガントなデザインと、一目瞭然の差別化もなされている。
最新のMBUXに進化したインパネ

内装もダッシュパネル周りからデザイン変更を受けており、12.3インチの液晶モニターをメーター及びインフォテインメントシステム用に各々採用。インフォテインメント側はタッチパッドだけでなくパネルを直接タッチしてのコントロールが可能となったほか、AI対話型ボイスコントロールシステムのMBUXも新たに搭載された。
グレードに応じたシートの設えやレイアウトなどは変更がない。エクスクルーシブ系になると、オットマン付フルリクライニングや冷暖空調なども備えた独立キャプテンシートが2列目に鎮座する。日本でのライバルは当然ながらアルヴェル、そこに直近ではレクサスLMも加わったが、グリルが大きくなったこともあって、夜の帳での顔圧はそれらに勝るとも劣らないといったところだ。
メカニズムについては搭載するエンジンがOM654型2.0リッター4気筒ディーゼルで、組み合わせられるトランスミッションが9Gトロニックと、こちらは22年のマイナーチェンジからの内容を継承している。最高出力163PS、最大トルク380Nmのアウトプットは数字的には頼りなくみえるも、いざ走らせてみるとまったく過不足なく振る舞える辺りが欧州車的だ。余談だが以前、大人6人乗りのV220dで長距離を走ったことがあるが、その際の燃費は15km/Lを越えていた。新たなパワー&ドライブトレインを得たVクラスも、長距離でライバルを超える効率をみせてくれるだろう。
オットマン付きフルリクライニングシートはVIP気分を味わえる



その高速移動を支えてくれる新たなアイテムとなるのがエアサスだ。商用車出自ゆえの硬さが折につけ感じられていた低荷重時のコイルサスに対して、新型は1〜2名乗車時の快適性が確実に高まっている。人や荷物を満載する状況ではない、多くの人が日常的に使う場面でこそ、エアサスの効能がより大きく感じられるのではないだろうか。
乗り味もインフォテインメントもしっかりアップデートを受けつつも、走ればドイツらしい剛質感が端々から感じられる。Vクラスのキャラクターは相変わらず日本勢とは明らかに一線を画している。
いかにもドイツ車らしい剛性感は日本勢ミニバンと一線を画す

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2025年2月号
SPECIFICATIONS
メルセデス・ベンツV 220 d エクスクルーシブ・ロング・プラチナムスイート
ボディサイズ:全長5140 全幅1930 全高1880mm
ホイールベース:3200mm
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1949cc
最高出力:120kW(163PS)/3800-4400rpm
最大トルク:380Nm(38.7kgm)/1600-2400rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後セミトレーリングアーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後245/45R19
車両本体価格:1355万円
【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/