レクサス/トヨタに思いっきり詰め込まれた「アーティシャンスピリッツ」の世界観

レクサス/トヨタに思いっきり詰め込まれた「アーティシャンスピリッツ」の世界観

アーティシャンスピリッツのアイデンティティを思いっきり詰め込んだレクサス/トヨタ。
アーティシャンスピリッツのアイデンティティを思いっきり詰め込んだレクサス/トヨタ。
気軽に扱えて、着こなすことができるように──。アーティシャンスピリッツはそんな志を持って、己のアイデンティティを思いっきりレクサス/トヨタに詰め込む。それは世界を唸らせるようなクール・ビューティな魅力がある。(GENROQ 2025年2月号より転載・再構成)

ARTISAN SPIRITS × LEXUS / LAND CRUISER Series

世界最速と言えるタイミングで

「肩肘張らず気軽に着こなすことができる。そんなカジュアルな雰囲気でありながら、とびきり高品質なものを提供したい」

アーティシャンスピリッツを牽引する公文純次氏は、ずらりと並んだ製品群を前にそんなことを言っていた。ブランド発足から早27年あまり。そんな想いをもって彼らは、レクサスを軸に据えながらあらゆるモデルを己色に染め上げてきた。もとは日本のVIPカー界から生まれたように感じるが、彼らの力量はその範疇には収まらなかった。その象徴がSEMAショーでの活躍だ。この全米最大のカスタムカーショーにSC430やLFAで進出したことで、彼の地のビルダーたちはおろかレクサスUSA自体にまで認められ、その後はレクサスUSAのプロジェクトカーに対してエアロパーツを供給するようになった。今日まで続くレクサスUSAとの協力体制の始まりだ。LC500にいたっては日本での正式発売前の段階で、世界最速と言えるタイミングでアメリカでボディキットをリリースしている。これはオーバーフェンダー化した同社の20周年アニバーサリーモデル「ブラックレーベルGT」へと昇華する。

そうした檜舞台を経験しながらにして、虎視眈々とレクサス・オールラインナップ体制を敷き、ときにトヨタを含めた他のブランドも取り上げて、日本のカーライフに寄り添ってきた。それもまたアーティシャンスピリッツの底力と言える。

日本未導入モデルであるFスポーツまで

上品な雰囲気を保ったまま、スポーティな装いをオントップし、かつ周囲に埋没しない個性を植え付けたランクル300など本当に上手いと思う。それは世界中を飛び回って身につけた感性と美意識を、あらためて国産クロカンと呼ばれるジャパンメイドSUVへと持ち込んだ、新しいカタチのハイエンドカーである。

LX600一連のプログラムに関しては、2022年のSEMAショーにおいてレクサスUSAブースで公開された。だからこそ、日本未導入モデルであるFスポーツまで用意されている。レクサスが表現するプレミアムオフローダーに対してアーティシャンスピリッツが寄り添った格好であり、SUVの聖地にして世界最大のマーケットであるアメリカで大好評を博したという。それは確かにジャパンメイドならではの精緻なモノづくりが宿り、臆せず装着できるカジュアルさがある。

このように、アーティシャンスピリッツの軸はボディパーツにある。ほぼすべての製品を開発・生産するベンダーであり、どれを見てもとびきり「カジュアルで、高品質」である。上から下まで全部盛り込まなくても、お気に入りの部分だけを投入してもいい。それだけで唯一無二の存在感を出してくれるような製品群ばかりだ。カーボンやFRPといった素材を選ぶこともできるし、ランクル300/LX600に象徴されるよう同じ車種であっても複数のコーディネートメニューが用意される。どんなチョイスをしても、自動車メーカーが表現した各モデル固有の方向性を理解して際立たせ、なおかつユーザーのニーズや趣味嗜好を如実に反映させたものばかりだ。

ひと目見てわかる一貫したデザイン性

すべてを自社設計開発および生産するがゆえの品質の高さも見逃せない。ボディパーツのフィッティングは抜群で、長期的な耐久性にも優れている。それらボディパーツを軸としながら、昨今ではオリジナルホイールやエキゾーストシステム、サスペンションなどの機能部品にも積極的に進出している。

ほぼすべてのボディパーツは公文氏がラフスケッチからデザインするという。不思議なのは、ひと目見てアーティシャンスピリッツだとわかる、一貫したデザイン性が宿っていること。それはもはや世界観だといってもいい。時代ごとにクルマのスタイリングは移り変わるし、モデルごとにアプローチも変えているのに、なぜか統一感が感じられる。これは「公文純次という、たったひとりのデザイナーが描くから」という部分に起因しているのかもしれない。誰しも固有の筆跡があるように、撮った写真や書いた文章に個性を感じるように、ボディパーツにも「人の個性」が出ることを知った。

根源的なコンセプトを表現

そして今ではLMが話題である。トヨタがアルファード/ヴェルファイアで培ったラージミニバンのノウハウを、あらためてレクサスとして表現したプレミアムラージミニバンが注目されている。そこにクール・ビューティな雰囲気をたたえたアーティシャンスピリッツ節が加わるとなったら、また世界中で脚光を浴びるはずだ。コンセプトモデルを見る限り、アーティシャンスピリッツの根源的なコンセプトが表現されているものだと言える。「気軽に着こなすことができる。カジュアルで、とびきり高品質なものを提供したい」というコンセプトである。それはLM固有の魅力に乗って、さらに大きく羽ばたく。

REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/ARTISAN SPIRITS
MAGAZINE/GENROQ 2025年2月号

【問い合わせ】
アーティシャンスピリッツ
TEL 048-711-4100
https://artisanspirits.co.jp

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