長い目で見て比較したいEV「ボルボ EX40」とエンジン車「メルセデス・ベンツ GLA」

価格の近いコンパクトSUVをEV「ボルボ EX40」とエンジン車「メルセデス・ベンツ GLA」でスペック比較

電動化を推し進めるボルボがリリースした最新のEVが「EX40」である。EX40の周りには、エンジン車も含めれば数多くのライバルが存在する。今回はそんな激戦区から、エンジン車で価格が近い「メルセデス・ベンツ GLA」を選び、スペック面を比較してみよう。

VOLVO EX40
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MERCEDES-BENZ GLA

ドイツにはアウトバーンがある

「ボルボ EX40」と「メルセデス・ベンツ GLA」のボディサイズはほぼ互角であるが、スタイリングが見る者に与えるイメージは大きく異なる。EX40はボルボらしい質実剛健とした形を採る。それに対してGLAはクーペのような流麗なスタイルを持っている。

ここで気になるのは空力の問題だ。空気抵抗の大きさは航続距離に大きく影響する。EX40はボルボらしさを優先したあまり、空力特性、特に後部の風の巻き込みが気になるところだ。一方、GLAは空力特性を考慮したデザインになっている。ルーフラインもまるでクーペのような造形だ。

これはスウェーデンとドイツという出自の違いがある程度関係しているかもしれない。ドイツにはアウトバーンがあり、腰高のSUVでもかなりの速度まで対応することが求められる。そのため、機能を追求していくと自然とこのような形になったということもできそうだ。

軽油はもはや安くない

EX40は純粋なEVであり、GLAはディーゼルエンジンを搭載している。維持費を考えれば、燃料(充電)代が安く油脂類の交換も最低限なEX40のほうが優れているといえる。ただ、ディーゼルエンジンは燃料代が安価で燃費もよく、トルクもあるため加速がよい。

しかし、静粛性や快適性といった点に重点を置くと、電気モーターに勝るエンジンはない。エンジンに比べ騒音や振動は皆無に近いのだ。

ただ、EVは航続距離の問題が常につきまとうというデメリットがある。GLAは基本的にどんな場所に住んでいても所有できるが、EX40は充電環境の有無で所有のしやすさがガラリと変わってしまう。

EVのほうが安く所有できるが充電環境が問題

GLAはプレミアムブランドのSUVであるが、それでもEX40より安価に設定されている。

単純に考えれば、普通に給油するだけでよいGLAのほうが、購入・所有・維持がしやすいのは間違いない。さらにリセールバリューも期待できる。ただ、気になるのは燃料代の変化である。近年燃料代は大幅に上がり、燃料代に対する政府補助金も縮小する方向だ。いくら軽油といえど、過去のガソリン価格よりも高価になっている。

維持のコストを抑えるならEVのEX40を選ぶのも正解である。EX40の航続距離は590kmと長い。充電環境も整ってきているので、長い目で見れば今後所有に対するハードルは下がっていくだろう。

車両本体価格

ボルボ EX40 Plus Single Motor 679万円
メルセデス・ベンツ GLA 200d 4MATIC 657万円

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昨年発表されたボルボのBEV専用車、EX30がついに日本の路上を走り始めた。内外装に溢れる先進感と一歩先行く環境対応性、低価格が魅力のコンパクトカーだ。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

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