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BMW 2 Series GranCoupe
絶妙なボディサイズが魅力の1台

昨年11月、サウスカロライナ州のBMWカスタマーセンターで、BMWの次世代電動コンセプト、ノイエクラッセに搭載される新しい「iドライブ」のワークショップが開催された。この新技術はBMWの次世代モデルに採用されるAIを使ったHMI(ヒューマン・マシン・インタラクション)であり、彼らは「Ultimate Companion」というコンセプトを掲げている。筆者はこの言葉の意味を「BMWはかえがたい友達」と理解している。新型「iドライブ」に関しては1月8日のCESで詳細は発表されたが、彼らが目指す新しい価値にワクワクする。
本ワークショップの際に、新型2シリーズ・グランクーペの試乗を体験できた。試乗したのはスポーツグレードのM235 xドライブだ。早速インプレッションに入りたいが、他のシリーズとは異なる独特のポートフォリオを持つ2シリーズについて説明を加えておきたい。
細やかな調整が可能な極上シート


2シリーズの基本はMINIと同じエンジン横置きのFWDであるが、唯一2シリーズクーペは3シリーズのFR用プラットフォームを使うホットモデルである。今回試乗した「M235グランクーペ」は全長が4546mm、全幅が1800mmなので、日本で使うドライバーズカーとしては理想的なプロポーションだ。トランクスペースは430Lを確保しているので実用性は問題ない。リヤシートを倒せば、1200Lのスペースが生まれる。しかし、スタイルは完璧な4ドアクーペで、BMWの特徴的な美しいスタイルを保っている。
M235グランクーペはホットなコンパクト4ドアモデルと言えるが、M3ほどの性能は必要としない人にはうってつけだ。FWDベースの2.0リッターターボAWDと言えば、かつてのスバル・インプレッサWRXと三菱ランエボを思い出す。異なるのは無骨なセダンデザインではなく、プレミアムセグメントとしての美しい4ドアクーペであることだ。
インテリアはデジタルコクピットを実現し、次世代のドライバーズカーの雰囲気がある。シートはレーシングタイプのホールド性がよいバケットタイプ。また、アルミニウム製のインテリアトリムも、クールなスポーツカーの雰囲気を醸し出す。
イーグルF1とのマッチングは抜群

エンジンはBMWの得意とする領域。2.0リッターターボは300PSを絞り出し、0-100km/hは4.9秒(欧州モデル)で駆け抜ける。実は次期ユーロ7という排ガス規制はターボ車には辛い。いままでのターボは規制外の回転数時、ガソリンを濃く噴射し、高熱にさらされるシリンダーを冷やしていたが、この技術が使えなくなる。全域ストイキ燃焼(理論空燃比)で燃やすことになる。そのため、ターボの出力が抑えられるので、米国と欧州では出力に差がある。日本は欧州と基準調和制度があるので、欧州スペックとなりそうだ。
ところで、BMWといえば重量配分50対50のFRに拘っていたが、最近はそうでもないようだ。というのもMINIジョンクーパーワークスで見せたFWDのダイナミクスはM235でも健在で、重量配分50対50はもはや都市伝説になりそうだ。タイヤはグッドイヤー・イーグルF1を装備するが、ウエットグリップは十分に確保され、発熱性もよい。実際にミニサーキットで攻めてみたが、コーナーの立ち上がりではリヤタイヤがフロントタイヤを押す「プッシュアンダーステア」は感じられないし、ステアリング系の剛性が高く、ライントレース性は大満足だった。「フロントヘビーだから曲がりにくい」はもはやあてはまらない。
理想的なCセグメントセダン

BMWはアンダーステアを解消するために、フロントサスペンションに工夫を凝らしている。例えばキャスター角を20%ほど増やすことで、転舵時のキャンバー特性を改善。ステアリングギヤボックスは10%ダイレクトなギヤ比を与えている。
インプレッサやランエボが懐かしいがもはや過去のこと。新しい時代のホットなドライバーズカーはむしろM235でないだろうか。
REPORT/清水和夫(Kazuo SHIZMIZU)
PHOTO/BMW AG
MAGAZINE/GENROQ 2025年3月号
SPECIFICATIONS
BMW M235 xドライブ グラン クーペ
ボディサイズ:全長4546 全幅1800 全高1435mm
ホイールベース:2670mm
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:221kW(300PS)/5750-6000rpm
最大トルク:400Nm(41kgm)/2000-4500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後225/45R1
【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/