2シリーズ・グランクーペ最強の「M235 xドライブ」インプレッション

ありそうで無かったプレミアムコンパクトセダンが新風を吹き込む? 新型「BMW 2シリーズ グランクーペ」が見せた可能性

1シリーズベースの4ドアセダン、2シリーズ グランクーペが登場した。最強グレードとなるM235 xドライブの試乗記をお届けしよう。
1シリーズベースの4ドアセダン、2シリーズ グランクーペが登場した。最強グレードとなるM235 xドライブの試乗記をお届けしよう。
Cセグメントベースのコンパクト4ドアクーペ「2シリーズグラン クーペ」がフルモデルチェンジで新型となった。新型1シリーズ同様のフロントマスクを纏う新型は、驚きの走りのポテンシャルを備えていた。コンパクトセダンに再ブームをもたらす存在となるか!?(GENROQ 2025年3月号より転載・再構成)

BMW 2 Series GranCoupe

絶妙なボディサイズが魅力の1台

全長4546mm×全幅1800mm×全高1435mmという日本でも使い勝手の良いボディサイズが魅力の2シリーズ グランクーペ。
全長4546mm×全幅1800mm×全高1435mmという日本でも使い勝手の良いボディサイズが魅力の2シリーズ グランクーペ。

昨年11月、サウスカロライナ州のBMWカスタマーセンターで、BMWの次世代電動コンセプト、ノイエクラッセに搭載される新しい「iドライブ」のワークショップが開催された。この新技術はBMWの次世代モデルに採用されるAIを使ったHMI(ヒューマン・マシン・インタラクション)であり、彼らは「Ultimate Companion」というコンセプトを掲げている。筆者はこの言葉の意味を「BMWはかえがたい友達」と理解している。新型「iドライブ」に関しては1月8日のCESで詳細は発表されたが、彼らが目指す新しい価値にワクワクする。

本ワークショップの際に、新型2シリーズ・グランクーペの試乗を体験できた。試乗したのはスポーツグレードのM235 xドライブだ。早速インプレッションに入りたいが、他のシリーズとは異なる独特のポートフォリオを持つ2シリーズについて説明を加えておきたい。

細やかな調整が可能な極上シート

2シリーズの基本はMINIと同じエンジン横置きのFWDであるが、唯一2シリーズクーペは3シリーズのFR用プラットフォームを使うホットモデルである。今回試乗した「M235グランクーペ」は全長が4546mm、全幅が1800mmなので、日本で使うドライバーズカーとしては理想的なプロポーションだ。トランクスペースは430Lを確保しているので実用性は問題ない。リヤシートを倒せば、1200Lのスペースが生まれる。しかし、スタイルは完璧な4ドアクーペで、BMWの特徴的な美しいスタイルを保っている。

M235グランクーペはホットなコンパクト4ドアモデルと言えるが、M3ほどの性能は必要としない人にはうってつけだ。FWDベースの2.0リッターターボAWDと言えば、かつてのスバル・インプレッサWRXと三菱ランエボを思い出す。異なるのは無骨なセダンデザインではなく、プレミアムセグメントとしての美しい4ドアクーペであることだ。

インテリアはデジタルコクピットを実現し、次世代のドライバーズカーの雰囲気がある。シートはレーシングタイプのホールド性がよいバケットタイプ。また、アルミニウム製のインテリアトリムも、クールなスポーツカーの雰囲気を醸し出す。

イーグルF1とのマッチングは抜群

装着タイヤはハイグリップに定評のあるグッドイヤー・イーグルF1だった。タイヤサイズは18インチとなる。
装着タイヤはハイグリップに定評のあるグッドイヤー・イーグルF1だった。タイヤサイズは18インチとなる。

エンジンはBMWの得意とする領域。2.0リッターターボは300PSを絞り出し、0-100km/hは4.9秒(欧州モデル)で駆け抜ける。実は次期ユーロ7という排ガス規制はターボ車には辛い。いままでのターボは規制外の回転数時、ガソリンを濃く噴射し、高熱にさらされるシリンダーを冷やしていたが、この技術が使えなくなる。全域ストイキ燃焼(理論空燃比)で燃やすことになる。そのため、ターボの出力が抑えられるので、米国と欧州では出力に差がある。日本は欧州と基準調和制度があるので、欧州スペックとなりそうだ。

ところで、BMWといえば重量配分50対50のFRに拘っていたが、最近はそうでもないようだ。というのもMINIジョンクーパーワークスで見せたFWDのダイナミクスはM235でも健在で、重量配分50対50はもはや都市伝説になりそうだ。タイヤはグッドイヤー・イーグルF1を装備するが、ウエットグリップは十分に確保され、発熱性もよい。実際にミニサーキットで攻めてみたが、コーナーの立ち上がりではリヤタイヤがフロントタイヤを押す「プッシュアンダーステア」は感じられないし、ステアリング系の剛性が高く、ライントレース性は大満足だった。「フロントヘビーだから曲がりにくい」はもはやあてはまらない。

理想的なCセグメントセダン

430リッターの実用的なトランクスペースを誇る理想的なCセグメントセダンの誕生だ。
430リッターの実用的なトランクスペースを誇る理想的なCセグメントセダンの誕生だ。

BMWはアンダーステアを解消するために、フロントサスペンションに工夫を凝らしている。例えばキャスター角を20%ほど増やすことで、転舵時のキャンバー特性を改善。ステアリングギヤボックスは10%ダイレクトなギヤ比を与えている。

インプレッサやランエボが懐かしいがもはや過去のこと。新しい時代のホットなドライバーズカーはむしろM235でないだろうか。

REPORT/清水和夫(Kazuo SHIZMIZU)
PHOTO/BMW AG
MAGAZINE/GENROQ 2025年3月号

SPECIFICATIONS

BMW M235 xドライブ グラン クーペ

ボディサイズ:全長4546 全幅1800 全高1435mm
ホイールベース:2670mm
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:221kW(300PS)/5750-6000rpm
最大トルク:400Nm(41kgm)/2000-4500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後225/45R1

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

「BMW 2シリーズ グランクーペ」改良新型の走行シーン。

新デザインのキドニーグリルを採用した「BMW 2シリーズ グランクーペ」改良新型登場「エクステリアとインテリアを刷新」【動画】

BMWは、内外装や装備をアップデートした「2シリーズ グランクーペ」改良新型を発表した。ドライブトレインやサスペンションも刷新され、ドライビングプレジャーが大きく進化。BMWグループのライプツィヒ工場で生産され、2025年3月から欧州での販売が開始される予定だ。

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著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…