目次
JAPAN TUNING
VARIS
世界を魅了させたザ・エアロパーツ

GRヤリスにGRカローラ、GR86、といったトヨタ勢に加え、フェアレディZやシビックタイプR。今もなお人気の絶えないS2000もいる。この幅の広さこそがVARIS(バリス)である。日本だけにとどまらず、海外からも支持を得るほど存在感のあるボディキットが注目される。ただし迫力一辺倒ではなく、その裏地に秘めた使い勝手の良さ、高品質なモノづくりこそバリスらしさだ。それは今年の作品群をみてもきっちりと貫かれていた。
SUBARU/STI
スバル魂が宿る渾身の一作がデビュー

かつてのWRCや、昨今ではニュル24時間への挑戦などを経てスバルの人気はワールドワイドだ。世界中の視線を受けてオートサロンでデビューしたのはSTIコンプリートカーとなるS210だ。500台限定でリリースされるS210は「ニュル24時間で得たノウハウが惜しみなくフィードバックされる特別な1台」だという。300PSを発生する2.4リッター水平対向4気筒ターボエンジンに加え、ボディやミッション、ブレーキなども強化されたホットモデルだ。
DAIHATSU
モータースポーツを等身大で楽しむために

ダイハツがオートサロンで掲げたテーマはモータースポーツと地域貢献だ。防災用車両や工事現場用車両が並んだが、モータースポーツに関しては「モータースポーツの裾野を広げ、走る楽しさをみんなのものに」として、ミライースやコペンの競技用車両が見受けられた。このGRコペンは世界ラリー選手権に参戦しているもので、片側40mmのワイドフェンダーに加え、770ccエンジンを搭載。身近なクルマにして世界に挑戦する1台だった。
TOYOTA GAZOO Racing
ミッドシップのヤリスがレースで暴れ回る!?

GRヤリスMコンセプトというモデルが話題だ。今年のスーパー耐久に参戦するというこのマシンは、G20Eという2.0リッター4気筒ターボが後輪車軸の前に搭載されるミッドシップカー。駆動方式は4WDであり、レーシングカーにとっては最適なアプローチなのだろう。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げるGAZOO Racingらしい1台である。レースでの経験を経て、これが市販車として結実することに期待が持てる。
ST Suspension
ドリキンを唸らせたトータルバランス

「ST made by KW」と言われるように、STサスペンションはKWのサブブランドだ。かといって単なる廉価版ではない。このFL型シビック・タイプRは、ドリキンの愛称で親しまれる土屋圭市氏の愛車。STサスペンションのうち伸び側の減衰力を16段階で調整できて、かつユニボール付きトップマウントでキャンバー調整まで可能なXTAを装着。土屋氏の巧みなアジャストによってバランスのいいFFマシンへと仕立てられているという。
Hyundai
「わりと飛ばす人のためにつくりあげた一台」

ドリキンこと土屋圭市氏は、昨年1年間かけてヒョンデの開発部隊とともにアイオニック5N専用のパフォーマンスパーツパッケージ「DKエディション」をつくりあげた。アイオニック5Nはノーマルでも非常に完成度が高く、特にサスペンションに関して、純正品を超えていくために最後まで開発が難航したそうだ。そのほかブレーキ、エアロパーツ、ホイールなども開発された。2025年末までに韓国と日本での発売が予定されているとのことだ。
MAZDA SPIRIT RACING
ライトウエイトスポーツの本質をつく会心の一撃

2024年のオートサロンでマツダは、サブブランドであるマツダ・スピリットレーシングの設立を発表した。それを受けて今年はスペシャルモデルの第1弾として、マツダ・スピリットレーシングロードスターと、その12Rの市販予定モデルを公開した。「スーパー耐久で培った技術を活かしながら、速さと質感にこだわった」という一連のモデルは、ロードスターの本質を突くもの。今秋には予約受付を開始し、年内の販売を目指している。
NISSAN/NISMO
GT-Rという生きる伝説が新たな一歩を踏み出す


エンジンを突き詰め、空力性能も高めてGT-R史上最高のパフォーマンスを追求した「R35 GT-R NISMOスペシャルエディション」と、日産の有志エンジニアによって製作されたR32スカイラインGT-RのEVコンバートモデル「R32EV」。GT-Rという偉大な歴史を持ち、なおかつリーフなどでいち早くEVに取り組んできた日産を象徴するような2台だった。伝説的な名車のデジタルリマスター版は、旧来のファンも納得の仕上がりを持っていた。
TOP SECRET
GT-Rの伝説を世界へ訴える

R35 GT-Rのゴールドスペシャル、ステルススペシャルなどのコンプリートカーが並ぶ姿はいかにもトップシークレットらしい。スカイラインGT-R(BNR34、BCR32)なども見受けられる。BNR34は「第2世代GT-R再生プログラム」により完璧にレストアされ、まるで新車のような色艶を放つ。ロレックスゴールドに彩られたR35も世界の目を引くスペシャルチューニングカーだ。足もとはすべてO.Zレーシング製ホイールが装着される。
IMPULSE/SELFISH
外装部品に革命を起こすザ・カーボンマジック


AE86をフルカーボン化するインパルスや、マツダ3に対して数々のクラッシュカーボンパーツを添えるセルフィッシュなど。この2台は機関系もきっちりチューニングされているが、特にこれらカーボンボディワークに注目したい。自身でもカーボンコルベットを出展したコダマファイバーワークスが彼らに協力して、ひとつずつ仕上げていったもの。インフュージョン成型カーボンの職人技が宿るこれらカーボンパーツがこれから増えそうだ。
Kansai SERVICE
通を唸らせる、老舗の伝統芸

「乗って楽しいクルマづくりのお手伝いをするチューニング」として活動するKansaiサービスだけに、ヘビーなチューニングではなく親しみやすい仕上がりが特徴だ。熟成されたR35 GT-Rに対して、厳選したチューニングパーツを使って「無駄のない研ぎ澄まし」を施したものや、FL型シビック・タイプRに対してより上質かつ大人っぽいチューニングをしたものまで。オトナのためのチューニングカーという雰囲気のクルマばかりだった。
ENKEI
日本最高峰のホイールメーカー

2024年のスーパー耐久シリーズで活躍したNANIWA DENSO TEAM IMPUL Zを出展したほか、新製品も目白押しだったのが日本最高峰のホイールメーカーであるエンケイだ。スポーツホイールシリーズの新作NVR5など話題は尽きない。今では生産のほとんどをOEMが占めるというエンケイだが、それでもアフターホイールを潰えさせることなく、己のポリシーとして発展拡大させ続ける。自動車業界とクルマ好きを支えるメーカーである。
SHIBATIRE RYDANZ
ドリフト生まれの気鋭タイヤメーカー

ドリフト界に生まれ、話題を集めているのがシバタイヤ。リーズナブルで高性能なスポーツラジアルを目指してブランドが発足し、今ではドリフトだけでなくタイムアタックなどのモータースポーツでシェアを拡大中だ。今年はなんとスタッドレスタイヤまでが登場。氷上や雪上のタイムトライアルテストなどを重ねてカタチにしたものだという。モータースポーツのみならず、ストリートでもこれからシバタイヤが普及しそうな勢いがある。
CUSCO
半世紀近い歴史を感じさせるモノづくり

FDJに参戦中のGR86や、全日本GT選手権で活躍したインプレッサGT300などは、それらを間近で見ようとするファンが絶えなかった。その横には最新作としてLBX MORIZO RRのチューニングカーが並んだ。レースからラリー、そしてストリートまで「自分たちが必要とするものを、自分たちが満足するクオリティで製作する」という理念で活動しているクスコの傑作品ばかり。それは確実にクルマ好きの心を捉えて離さないものである。
RE AMEMIYA
日本を代表するカロッツェリア

ロータリーチューナーの神様と呼ばれる雨宮勇美氏が率いるRE雨宮が持ち込んだ渾身の一作がRX-7(FD3S)をベースにした「刻(こく)」だ。ぱっと見る限りヨーロッパのカロッツェリアが製作したGTカーのよう。その中身にはSUPER GTマシンのノウハウを取り入れた3ローターエンジンが搭載される。9000rpmまで回せる350PS仕様だという。これは東京国際カスタムカーコンテストのチューニングカー部門で最優秀賞を受賞した。
HKS
カスタムの楽しさと環境対応を両立

マイナーチェンジしたGRヤリスをいち早くHKS流に仕立てたHKS GRヤリスRZ350S。ブーストアップを中心に、吸排気や冷却系を整え、最高出力349PS、最大トルク500Nmへ。それでもぶっ飛んでいて扱いにくいチューニングカーではなく「休日のツーリングがさらに楽しくなる仕様」という。HKSはカスタマイズと環境対応の両立を掲げ、ブース設営に使用する機材の約9割をリユース、またはリサイクル可能な材料を使用したという。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)、上之園真以(Mai AGENOSONO)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)、山本佳吾(Keigo YAMAMOTO)
MAGAZINE/GENROQ 2025年3月号