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Cayman / Cayman S / Cayman GTS / Cayman GT4(Type 981C)
ひとまわり大きくなったボディ


2シーターオープンの「ボクスター」、そのクーペバージョンとなる「ケイマン」の登場で、長年「911」を支えるボトムレンジの不在に悩まされていたポルシェのラインナップは、ついにひとつの完成をみることとなった。よって、ボクスターが981型へとフルモデルチェンジを果たした1年後の2012年に2代目となるケイマン(981C型)が登場したのは、当然の流れといえた。
981型ボクスター同様、ボディはひとまわり大きくなり、全長を4380mm、ホイールベースを2475mmに延長。あわせて前後トレッドも拡大されているが、Aピラーを寝かせるデザインを採用したことにより、全高は9mmほど低くなっている。またアルミ、マグネシウム部材を多用することで、先代に比べて30kgほどの軽量化を達成する一方で、981ボクスターに対して2倍もの捻り剛性を確保するなど全面的に刷新。空力的にも洗練され、Cd値は0.30を記録するほか、収納式のリヤスポイラー、アンダーフロア、各部のエアフローの効果により十分なダウンフォースも確保している。
997型「911」に匹敵するパフォーマンス

このフルモデルチェンジに伴い、インテリアのデザインも変更され、911、ボクスターに続いてスロープ状のセンターコンソールを採用。機能や使い勝手だけでなく、質感も大きく向上した。
エンジンはスタンダードのフラット6を直噴化するとともに、排気量を2.9リッターから2.7リッターへと縮小。先代同様ボクスターよりも高い最高出力275PSを発生する。一方、「ケイマンS」の排気量は3.4リッターのままで、ECUなどの改良により先代から5PSアップの325PSを発生。ギヤボックスも6速MTもしくは7速PDK(DCT)と変わらないが、ケイマンでは0-100km/h加速5.7秒、最高速度266km/h、ケイマンSでは0-100km/h加速4.9秒、最高速度281km/h(いずれもPDK仕様)と997型911カレラにも匹敵するパフォーマンスを発揮する。
そのうえで全車にエネルギー回生システムやアイドリングストップ機構を搭載。またPDK搭載車には空走時にクラッチを切ってアイドリング状態にするコースティング機能備わるなど、燃費対策が講じられた結果、ケイマンのMT仕様が12.2km/L、PDK仕様が13.0km/L、ケイマンSのMT仕様が11.4km/L、PDK仕様が12.5km/L(いずれもNEDC複合モード)と15%ほどの改善をみせているのも、大きな特徴といえる。
ハイパフォーマンス仕様「GT4」も登場


そして2014年にはボクスターと同時に、340PSへとチューンされた3.4リッターユニット、スポーツクロノパッケージ、20mmローダウンのスポーツサスペンションを標準装備し、専用デザインの前後スカートを採用したスポーツバージョンの「GTS」をリリース。
続く2015年には、ホイールベースを2484mmに延長し、911GT3のサスペンションやブレーキを移植するなどヴァイザッハのモータースポーツ部門が仕立て上げたシャシーに、「911 カレラS」から譲り受けた385PSの3.8リッターフラット6を搭載。さらに大型のカーボン製リヤウイング、専用のリヤディフューザーを装着した、「911 GT3」の弟分と呼ぶべきハイパフォーマンス仕様の「GT4」を発表。2016年にはGT4のサーキット専用車であるGT4クラブスポーツも発売し、モータースポーツにも参入した。
このように先代以上の大きな飛躍を遂げた981C型ケイマンは、2016年まで生産された後、フラット4直噴ターボを搭載する718ケイマンへと進化を遂げることとなる。