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Porsche Taycan 4S “The Art of Electric”
ふたりのアーティストがタイカンをアート作品に
ポルシェには、長く多彩なアートカーの歴史がある。自由なイマジネーションを表現した世界に1台きりのアートカーは、世界中でポルシェの魅力を際立たせ、称賛されてきた。例えばジャニス・ジョプリンのサイケデリックな 356 CSC カブリオレから、2019年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たしたリチャード・フィリップの911 RSRまで、アートカーはポルシェの文化的側面を担ってきたと言えるだろう。
今回開催されたアートバトル・トロントのテーマは「アート・オブ・エレクトリック(The Art of Electric)」。実際の電気自動車をキャンバスとしたアートバトルを実施した。ポルシェ・カーズ・カナダは2台のタイカン 4Sを提供し、ふたりの新進気鋭のアーティストが自身のクリエイティビティに従ってホワイトとブラックのタイカンをアート作品へと昇華させている。
書家が手掛けたゴージャスな黒いタイカン
ブラックのタイカンを手掛けたのは、トロントを拠点とする書家で壁画のスペシャリストでもあるレイ・ミシリ(Rei Misiri)。異文化や自然の美的要素からインスピレーションを得た作品を得意とし、今回はダークな背景にメタリックペイントで、大胆かつ繊細な模様と馬を描いている。
「プレッシャーはありましたが、それはある意味心地良いプレッシャーでした。時間が限られていたので、少し戦略的に製作する必要がありました。同時に、良いフィーリングをキープすること、インスピレーションを感じること、楽しんでいること、心の中で起こっていることをみんなと共有していること、それらを徹底しました」と、ミシリは振り返る。
一方、対照的なホワイトのタイカンを使用したのは、メーガン・クレア・ケホー(Megan Claire Keho)。彼女もまたトロントをベースに、鮮やかな色彩を特徴とした大型の壁画を手掛けている。
「私の作品は壁画をはじめ多くが公共の場で発表されてきました。それらの作品は私の人生を通じて多くの人々からインスピレーションを受けて製作されています。誰かのために戦っている人に共感する傾向がありますね。私の作品を起点に、様々な議論ができるような“場所”を作ろうとしています」
壁画アーティストによるエレガントな白いタイカン
会場とライブ配信で結ばれた大勢のオーディエンスの前で、ふたりのアーティストはそれぞれのアプローチでアートバトルをスタート。照明により室温の上がったスタジオでは、エネルギッシュなサウンドに合わせて2人の作品がどんどん描かれていく。そのエキサイティングな製作風景に、多くの観客が魅了されることになった。
タイカンの流れるようなフォルムは、ふたりのアーティストを大いに魅了したようだ。「ポルシェタイカンは、とても美しい曲線を持っています」とケホー。彼女がお気に入りのネオンカラーとフーシャピンクを中心に、ホワイトのタイカンが美しく彩られていった。
「タイカンは電動モデルであり、世界に対してある種の責任感を携えています。そして、同時にとてもセクシーです。通常、責任とセクシーという言葉が組み合わされることはあまりありません。クルマを運転しているときの感覚、つまりクルマが自分の体の延長にあるような魂のつながりを感じさせたくて、今回の作品を製作しました」と、ケホーは付け加えた。
ライブアートバトルを勝ち抜いたミシリ
2時間のアートバトルのフィナーレとして、実際にふたりのバトルを観戦したオーディエンスと、ライブ配信で楽しんだ視聴者により、ウイナーを選ぶ投票が行われた。その結果、ミシリが手掛けたゴージャスなカラーリングのブラック・タイカンが、ケホーのエレガントなホワイト・タイカンを上回った。
「情熱を持って丁寧に開発されたタイカンは、すべてが最高の品質をたたえています。それが今回の作品の製作基準となりました」と、ミシリ。
アートバトルのトロントラウンドで優勝したミシリは、ファイナルへの進出が決まった。ふたりが製作した2台のアートカーは芸術作品として販売される前に、メディア向け試乗会やアートイベントで展示される予定となっている。