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Renault Filante Record 2025
2025年前半に記録チャレンジを実施

「ルノー フィランテ レコード 2025」は、ルノーが持つ歴史と最新の電動モビリティが持つ未来像を融合し、革新的なデザインを持つフル電動コンセプトカーとして開発された。
アヴァンギャルドな外観が与えられたシングルシーターのオマージュとなったのは、1925年製「40CV デ・レコーズ(40 CV des Records)」、1934年製「ネルヴァスポール デ・レコーズ(Nervasport)」、1956年製「エトワール フィランテ(Etoile Filante)」といった、速度記録に挑戦したルノーのレコードブレーカー達だ。
航空空学とルノーの歴史からにインスパイアされたデザインを持つ「フィランテ レコード 2025」は、2月5日から9日までパリ・ヴェルサイユで開催される、欧州最大のクラシックカーショー「レトロモービル」で一般公開。その後、2025年前半に消費電力と航続距離の新記録チャレンジを行う予定となっている。
ルノーとアンペア(ルノー・グループのEV部門)のアドバンスドデザイン・ディレクターを務めるサンディープ・バンブラは、フィランテ レコード 2025について次のように説明を加えた。
「私たちはこのコンセプトカーを、動く彫刻としてデザインしました。戦闘機と20世紀からのスピード記録にインスパイアされ、パフォーマンスと時代を超越したエレガンスを反映させています。光をとり込み、空中に溶け込むようなボディラインを見せるため、サーフェイスの隅々まで丁寧に作り込みました。ブルーのウインドウとカラーパレットが、この軽やかな印象をさらに際立たせています」
レコードブレーカーと戦闘機をオマージュ

フィランテ レコード 2025は、光の反射や見る角度によってブルーにもバイオレットにも見える新しいカラースキーム「ウルトラバイオレットブルー(Ultraviolet Blue)」のボディワークを採用。40CV デ・レコードを彷彿とさせるこのカラーは、このコンセプトカーのため新たに調色された。
ルノーとリジェ・オートモーティブの協力のより、エアロダイナミクスとパフォーマンスを最適化。大胆な円型ヘッドランプ、ボディから独立したホイールは40 CV デ・レコードとネルヴァスポール デ・レコーズ、ホイールフェアリングは、エトワール フィランテ、シャープなグリルやキャビンポジションは、40CV デ・レコードから採り入れられた。
歴史的なルノーのレコードブレーカーだけでなく、デザインにインスピレーションを与えたのが、航空機の世界だ。戦闘機のキャノピーを思わせるエアロダイナミクスバブルを備えたキャビン、音速を超える航空機の曲線や形状を思い起こさせるボディワークは、空気抵抗を低減するため、空力が徹底的に追求された。
フロントとリヤのホイールフェアリングは、空力性能を向上させながら、車両のスタイルに重要なアクセントを追加。このフェアリングはエアフローの透過性を最適化しつつ、ワイドなサイドホイールフランジと組み合わせたことで、車両に一体感をもたらしている。
構造強度を損なうことなくシャシーとボディの重量を減らすため、各コンポーネントにはカーボンファイバーを最大限に使用。剛性レベルと安全性を最適化し、600kgのバッテリーを搭載しながらも、重量を1000kg以下に抑えた。2025年春には、本格的な風洞試験も実施する予定。このテストではシミュレーション結果を実寸大モデルで確認し、最適な空力性能を実現するため、車両設計に様々な微調整を行う予定だ。
航空機やF1マシン思わせるコクピット

コクピットも、エクステリアと同じアプローチが導入された。航空機や宇宙船の世界からインスピレーションを得ており、パフォーマンス、快適性、効率性を最大化。セーフティ機能、キャノピーの開閉機能、クルーズコントロール、アクセル&ブレーキなど、重要なシステムはすべてドライバーの手に届く範囲に配置された。
ドライバーズシートは、ハンモックにも似たスタイルのストレッチキャンバス製で、最適なサポート性と軽量設計に加えて、持続可能性も重視された。シートはテクニカルテキスタイルで覆われた薄いカーボンブレードで支えられており、1グラム単位の軽量化を重要視する航空宇宙産業からインスピレーションを得たという。
革新的なコントロールアーキテクチャーが採用されたステアリングホイールは、完全電子制御化されたステア・バイ・ワイヤとブレーキ・バイ・ワイヤ技術を用いたことで、アクセル、ブレーキ、ステアリングの各機能を完全に制御。従来のペダルアセンブリは廃止され、ブレーキの制動力は電子制御システムによってマネージメントされる。
ステアリングホイールの中央には、フレキシブルなパノラマスクリーンが配置され、速度、航続距離、運転パラメーターなどの重要データを、クリアかつ即座に表示。ステアリング周辺には、エアバスの子会社、APワークス社が開発したスケルマロイ合金製操作デバイスが、目立たないよう組み込まれた。ステアリングホイールはコクピットのエアロダイナミクスバブルに取り付けられており、バルブ展開すると、上方に立ち上がり、ドライバーの乗り降りを容易にしている。
F1マシンからインスパイアされたドライビングポジションは、安全に配慮した視界を確保。ドライバーの脚はバッテリーの上部に配置され、高いレベルの重量バランスを実現している。