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BMW X7 NISHIKI LOUNGE
日中から時間が経過した「夜のとばり」を表現

「BMW X7 錦ラウンジ」は、ラグジュアリーモデルに相応しい乗り心地と、最大7人乗りが可能な実用性を備えた「BMW X7」をベースに、日本の伝統工芸を惜しみなく施し、その魅力を高めたコンセプトモデルとして制作された。
X7をベースにした限定モデルは、2021年9月に発表された「BMW X7 西陣エディション(NISHIJIN EDITION)」以来、約3年ぶり。「BMW X7 西陣エディション」は、「光がうつろう、明るくクリーンな新時代のラグジュアリー空間」をコンセプトに、日中の光の変化を西陣織の芸術的な織面によって表現したモデルとして制作。日本国内限定3台が販売されている。
今回発表された「BMW X7 錦ラウンジ」は、「BMW X7 西陣エディション」から時間が経過し、夜のとばりが下りた世界を表現した。「星がきらめく、美に満たされたやすらぎの空間」をコンセプトに、京都伝統工芸によってインテリアを制作。星空の広がりをテーマとしたコンセプトモデルとなる。
「錦」は色とりどりの糸で織られた絹織物だけでなく、自然の彩りや「心の錦」「錦心」など心の美しさを表す単語であることから、モデル名称にチョイス。また、「錦」の語源は「二色」であり、「夜のとばりがおりて輝く星」と「二つの美しい色できらめく世界」が、コンセプトモデルの持つラウンジ空間のイメージに合致していることも理由に挙げられている。
「BMW X7錦ラウンジ」のエクステリアは、コンセプトをツートーンカラーで表現。BMWが展開するブルーの中でも、最も柔らかな色調であるBMW Individualカラーの「ベルベットブルー」をメインカラーとし、宇宙に輝く星雲の煌めきを表現すべく「スペースシルバー」をセカンドカラーとして組み合わせた。
また、宝石のような輝きを放つ「クリスタルライト・ヘッドライト」、優しい光を放つ「アイコニックグロー」も装備。内装には1万5000個ものLEDにより、青白い星の光を夜間に照らす「パノラマ・スカイルーフ」、地上に輝く光をサウンドで表現する「B&Wダイヤモンド・サラウンド・サウンドシステム」、光を反射した上質な輝きを放つ「クラフテッド・クリスタル」も装備された。
京都の伝統企業がインテリアを制作

「BMW X7錦ラウンジ」に搭載されるすべてのフロアマットは、京都の「川島織物セルコン」が制作を担当。優しく包み込み、光り輝く夜空を、1本の糸を部分的に染め分ける染色方法である「絣(かすり)染め」を用いて表現することで、パッセンジャーを心地良い雰囲気に包み込む空間を実現した。
デザインテーマは「宇宙」であり、星の煌めきを表現するためにシルバー系の糸ではなく、あえて扱いが難しい「絣」を用いた。また、宇宙を表現するため、絣糸、紫、紺、黒の4色の中から選んだ5本を撚り合わせた、7種類の「撚糸」も使用している。
「川島織物セルコン」は、1843年に京都で創業された織物メーカーであり、古くは明治宮殿、近年では京都迎賓館などに織物を納入。唯一無二のクオリティが、世界からも高く評価されている。熟練の職人による伝統的な手織り技術に加え、現代ならではのテクノロジーを駆使した機械織りも積極的に採り入れており、文化の継承と未来へつながる技術革新の探求に力を注いでいる企業でもある。
トリムとシフトスイッチ、iDriveコントローラー周りは、「楽芸工房」によって仕上げられた。「漆」を接着剤として利用する技術を用い、漆を使う量を繊細に操ることにより、貼り付ける箔の輝き、色味を変化させ、繊細な輝きを演出した。
「楽芸工房」は、京都・西陣で箔屋としての歴史を重ねてきた、村田商店の直営工房・意匠部として平成元年に創業。西陣織の特徴である引箔の製造を行っている。300年以上前に開発されたと言われる、引箔による箔を織り込む技術を、楽芸工房は今もなお支え守り続けている企業となっている。
センターコンソールは「kuska fabric」と「楽芸工房」が担当。宇宙空間の果てしない広がりを丹後織と箔装飾で表現したことで、日本が持つ和のイメージと、ドイツのクラフトマンシップを融合させた。今回、機械を使用することなく手織りのジャガード織りにこだわり、さらに、4mm、3mm、2mmとレザーの太さを変えることによって平面的ではなく、繊細かつ立体的な仕上がりを実現した。
「kuska fabric」は1936年にちりめん製造販売業を開始。職人の手仕事から生まれる豊かな膨らみと陰影、そして優しい風合いを特徴としており、「丹後織物300年の美しいものづくりと誇りを胸に」唯一無二のグローバルブランドを目指している。