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2012年シーズンのDTMチャンピオン

2005年のブランドは復活以来、ブガッティ・パイロット・オフィシャルの役割は、車両開発やPRの場において不可欠な存在となってきた。約20年間にわたりピエール・アンリ・ラファネルはブガッティを代表し、ハイパーカーのステアリングを握り、世界中のカスタマーにそのパフォーマンスを披露。そして2025年からはブルーノ・スペングラーが、公式テストドライバーの座を引き継ぐことになった。
1983年にフランスのアルザスで生まれ、カナダで育ったスペングラーはカートでキャリアをスタートし、フォーミュラ・ルノー、ヨーロッパF3と順調にステップアップし、2005年からはドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に参戦。メルセデス・ベンツやBMWで活躍し、2012年にはBMW M3 DTMを駆ってシリーズチャンピオンも獲得した。
今後はフォーミュラ、ツーリングカー、プロトタイプ、GTマシンまで様々なレーシングキャリアで培った経験を活かし、ブガッティを代表するドライバーとして、様々なイベントに参加。世界中のブガッティのカスタマーと専門知識を共有し、2024年に発表されたトゥールビヨンをはじめとするブガッティのハイパースポーツが持つ性能を実証する役割を担う。
ブガッティ・パイロット・オフィシャル就任を受けて、スペングラーは次のように喜びを語った。
「ブガッティのような素晴らしいブランドに加入するチャンスが訪れたとき、ためらう理由はありませんでした。私の目にブガッティは、世界で最も権威あるブランドとして映っています。子供のころの夢が叶いましたし、まさに一生に一度のチャンスだと言えるでしょう」
「子供の頃、私はカードゲーム『オートカルテット(Auto-Quartett)』で何時間も遊んだものです。最強のカードはいつだってブガッティ EB110でした。そこからブガッティというブランドへの情熱が始まりました。私はこのモルスハイムに近いアルザス地方で生まれ、今もその近くに住んでいます。正直、まだ非現実的な感じがしていますが、信じられないほど誇りに思っています。これは新しい挑戦であり、これまでとは違うエキサイティングなチャレンジになるでしょう」
ラファネルはブランドアンバサダーに就任

ピエール・アンリ・ラファネルは、約20年にわたってブガッティ・パイロット・オフィシャルとして活躍。元F1ドライバー、ル・マン24時間レースで多くの活躍を見せたラファネルは、2005年の就任以来、ヴェイロン 16.4からシロンまで、ブガッティの象徴的なモデルのパフォーマンスを披露することに尽力した。2010年にはヴェイロン スーパースポーツのステアリングを握り、市販車の世界速度記録も樹立している。
ラファネルは、新たにブガッティのブランドアンバサダーに就任し、ブガッティ タイプ52など、ヒストリックカープロジェクトにも参加する予定。2024年をもってブガッティ・パイロット・オフィシャルの座を退いたラファネルは、次のようにその思い出を語っている。
「正直、何の期待もせずにブガッティに来たたことを覚えています(笑)。初めてヴェイロンに乗ったときは衝撃的でした。レーシングドライバーですから、1000PSオーバーの車両の扱いには慣れていましたが、ブガッティでの体験はまったく別物だったのです。あまりの驚きに、結局その日は8時間もクルマの中にいましたから……」
「ブガッティに乗ったことがなければ、この感覚を本当に理解することはできないでしょう。物語を語り、いかに驚異的だったかを説明できても、自分で体験しない限り、完全に把握することは不可能です。あの感覚は他には絶対にありません」
「ブガッティ・パイロット・オフィシャルとして過ごした時間は、1冊の本には収まりません。それは私の人生のひとつの章の終わりであり、19年間という長さに及びます。単なる仕事ではなく、献身と情熱、そして1万1000回に及ぶテストドライブを通して、その想いを何千人もの人々と分かち合うことでした」
「私の血液は“ブガッティブルー”です。ブガッティでの私の次の役割は、ブランドアンバサダーとして旅を続けることにあります。この20年間をブガッティとともに過ごしてこなければ、今やっているプロジェクトに挑戦することは不可能だったと思っています」