シボレーがNASCAR開幕戦でフル電動レーシングプロトを初公開

NASCAR開幕戦デイトナ500でEVレーシングカー「シボレー ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」がデビュー【動画】

NASCAR開幕戦「デイトナ500」に先立って、シボレーは将来的な電動レーシングカーを想定したEVレーシングカー「ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」を公開した。
NASCAR開幕戦「デイトナ500」に先立って、シボレーは将来的な電動レーシングカーを想定したEVレーシングカー「ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」を公開した。
ゼネラルモーターズ(GM)のシボレー・ディビジョンは、今シーズンのNASCAR開幕戦「デイトナ500」において、電動レーシングプロトタイプ「ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」を公開する。ブレイザー EV SSのエクステリアをベースに開発された電動プロトタイプレーシングカーは、サーキットにおける電動パワートレインのテストベッドとなる。

Chevrolet Blazer EV.R NASCAR prototype

「ブレイザー EV SS」のエクステリアを踏襲

EVレーシングカー「シボレー ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」。
未来のNASCARに登場する電動レーシングカーを想定した「ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」は、市販EV「ブレイザー EV SS」をインスパイアしたエクステリアが採用された。

2025年2月16日に開催される、NASCAR開幕戦「デイトナ500」において、「シボレー ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」が初公開される。2025年のNASCARにはシボレーをはじめ、フォード、トヨタの3マニュファクチャラーが参戦。シボレーは6チーム、15台のマシンを投入する予定だ。

シボレー ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプは、NASCARの「ネクスト・ジェネレーション・シャシー(Next Gen chassis)」とサスペンションをベースに、様々なプログラムに対応可能な全輪駆動システムが組み合わせられた。エクステリアはGMのシニアデザインマネージャーを務めるマーク・メインヴィルらが協力。市販仕EV「ブレイザー EV SS」からインスパイアされたレーシーなフォルムを完成させている。

フロアには容量78kWhの液冷バッテリーを搭載し、前後アクスルに配置された3基の電気モーターを配置。最高出力1318PS以上を発揮し、瞬時に1万5000rpmまで回転する。シボレーはガソリンやディーゼルなどのICE(内燃機関)を含めてあらゆるパワーユニットを研究・開発しており、今回のフル電動プロトタイプレーシングカーの開発もそのひとつだという。

モータースポーツで鍛えられる電動技術

GMは、カロライナ・モータースポーツ・パークでブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプのシェイクダウンを実施。ドライバーは昨シーズンのNASCAR Xfinityシリーズ王者、ジャスティン・オールゲイヤが担当した。
シボレーは、NASCARという厳しいレース環境下においてフル電動パワートレインを鍛えるべく、「ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプ」を開発した。

GMのグローバル・モータースポーツ・コンペティション担当エグゼクティブディレクターのエリック・ウォーレンは、今回のプロジェクトについて次のように説明する。

「私たちは、NASCARにおいて実績あるV8テクノロジーを搭載したレーシングカーで、今後何年もレースを戦い続ける予定です。ただ、シボレーのカスタマーに向けたEVラインナップを強化する際、フル電動モデルをサーキットで鍛える必要がありました。ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプは、パワー、耐久性、高効率などのパラメーターの強化を、継続的に進めるための素晴らしいテストベッドとなるでしょう」

「モータースポーツは技術革新の実験場であり、エンジニアのトレーニングの場でもあります。シボレーは、最高のライバルたちを相手に学び、速いペースでの環境において新技術を試すことができるのです」

昨シーズンのチャンピオンがテストを担当

GMは、カロライナ・モータースポーツ・パークでブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプのシェイクダウンを実施。ドライバーは昨シーズンのNASCAR Xfinityシリーズ王者、ジャスティン・オールゲイヤが担当した。
GMは、カロライナ・モータースポーツ・パークでブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプのシェイクダウンを実施。ドライバーは昨シーズンのNASCAR Xfinityシリーズ王者、ジャスティン・オールゲイヤが担当した。

2025年1月、GMは米国・サウスカロライナ州カーショウのカロライナ・モータースポーツ・パークにおいて、ブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプのテストを実施。2024年シーズンのNASCAR Xfinityシリーズチャンピオンのジャスティン・オールゲイヤーがステアリングを握り、レースペースで周回を重ねた。

初のフル電動NASCARマシンでのテストを終えたオールゲイヤーは、次のようにブレイザー EV.R NASCAR プロトタイプの感想を語っている。

「実際にクルマに乗ってテストしてみないと分からないことはたくさんあります。ギヤが噛み合う音や、エンジンの回転数を聞いて、自分のスピードを知ることに慣れていたので、EVではコーナー進入スピードを判断するプロセスを完全に変える必要がありました。電動パワートレインは、ブレーキングやコーナリングのバランスに大きな影響を与えるため、回生ブレーキを戦略的にどう使うかが鍵になりそうです」

ペースカーは市販EV「ブレイザー EV SS」

今回のデイトナ500において、NASCARマシンを先導するペースカーに、シボレーは市販EV「ブレイザー EV SS」を投入する。
今回のデイトナ500において、NASCARマシンを先導するペースカーに、シボレーは市販EV「ブレイザー EV SS」を投入する。

さらに、シボレーはデイトナ500のペースカーとして、最高出力623PSを誇るフル電動モデル「ブレイザー EV SS」を投入。市販仕様からパフォーマンスアップデートは実施されておらず、専用リバリーとペースカーとして必須のストロボライト照明が組み込まれた。

シボレーがデイトナ500にペースカーを投入するのは16回目となるが、ブレイザーがペースカーを務めるのは今回が初。EVがペースカーとしてレースを先導するのも史上初となる。また、ペースカードライバーは、大ヒットドラマシリーズ『リーチャー』などに出演する俳優のアラン・リッチソンが務めることが発表された。

ペースカーの「シボレー ブレイザー EV SS」を動画でチェック!

現在、シボレー、GMC、キャデラックにフル電動モデルをラインナップするGM。それぞれのモデルは、氷点下にさらされる厳しい冬季コンディションもしっかり対応するよう設計されている。

氷点下と豪雪にさらされる“デトロイト”でも大活躍のGM製EV「バッテリーの大敵“極寒”にも対応」

氷点下の気温と頻繁な降雪が訪れる米国・デトロイトに本社を置く、ゼネラルモーターズ(GM)。彼らは1世紀以上にわたって厳しい冬の天候に耐えられる自動車、トラック、SUVを製造してきた。今回、GMはシボレー、GMC、キャデラックが展開するフル電動モデルが、厳しい真冬のコンディションにも対応していることを改めてアピールした。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…