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TESLA MODEL Y
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BYD SEAL
SUVとセダンの違い以上に好みが分かれるインテリア




BYDのハイパフォーマンス電動サルーン「シール」とテスラの電動コンパクトSUV「モデルY」を比較する。比較グレードは後述する価格が近いグレードを採用した。
まずはボディサイズを比較する。全長と全幅は両車ほぼ変わらず、全高はSUVとなるモデルYの方が高い。シールはセダンだが両車はEVとしてよく似た特徴を持つ。航続距離を伸ばすべく空力性能を高めるためにクーペのように流麗なフォルムに加え、グリルレスのバンパーデザインも同様だ。車内には両車とも大型のグラスルーフが備わる。
ただし内装デザインは対称的だ。車内操作のほぼすべてを大型タッチスクリーンに集約するモデルYに対し、物理ボタンが適度に残されたシールの方が操作性は高そうだ。インパネ中央に備わる電動回転式のタッチスクリーンはシールの大きな特徴となる。ミニマルでクリーンなインテリアデザインのモデルYと、高級セダンらしい凝った造形で仕上げられるのシールとで好みが極端に分かれることだろう。
なお、シールはトランクスルー機能が備わるものの一般的なセダンと同じくノッチバックとなっている。荷室の使い勝手ではハッチバックのモデルYの方が有利といえそうだ。
テスラ モデルY RWD
ボディサイズ=全長4800mm×全幅1920mm×全高1625mm
ホイールベース=-mm
車両重量=1920kg
タイヤサイズ=255/40R20
BYD シールAWD
ボディサイズ=全長4800mm×全幅1875mm×全高1460mm
ホイールベース=2920mm
車両重量=2210kg
タイヤサイズ=235/45R19
航続距離と動力性能のどちらを優先するか




両車にはそれぞれシングルモーターのRWDと、ツインモーターのAWDの両方がラインナップするが、スペックの方向性は異なる。モデルYの性能は0-100km/h加速タイムはRWDが5.9秒、AWDが4.3秒となる。対するシールはRWDが5.9秒で同じだが、AWDはスーパーカーにも匹敵する3.8秒だ。AWDモデルのひと際高い動力性能がシールの大きな特徴と言えるだろう。
航続距離はモデルYのRWDが547kmなのに対してAWDが635kmだ。対するシールは、RWDが640kmとモデルYのRWDを大きく上回る反面、AWDは高いスペックと引き換えに575kmにとどまる。モデルYは、消費電力が大きいAWDに大容量バッテリーを載せて航続距離をさらに伸ばす。対するシールは、RWDの航続距離を徹底的に伸ばしてAWDは加速性能に特化させている。両車のスペックに対するアプローチは明確に異なる。
テスラ モデルY RWD
駆動用バッテリーの種類=リチウムイオン電池
定格出力=-kW
最高出力=-347PS/-rpm
最大トルク=450Nm/-rpm
トランスミッション=1速固定
駆動方式=RWD
BYD シールAWD
駆動用バッテリーの種類=リチウムイオン電池
定格出力=145kW
最高出力=217PS/-rpm(前)312PS/-rpm(後)
最大トルク=310Nm/-rpm(前)360Nm/-rpm(後)
トランスミッション=1速固定
駆動方式=AWD
総合力に優れるモデルYと安くて速いシール


モデルYの車両本体価格はRWDが558万7000円で、AWDロングレンジが647万6000円だ。一方のシールはRWDが528万円でAWDが605万円となる。つまり総じてシールの方が安く、モデルYのRWDとシールのAWDがほぼ同額ということになる。
EVの価格にはモーターの個数やバッテリーの容量が大きく反映される。それにも関わらずシールのAWDがモデルYのRWDと同等の価格で提供される事実は、テスラにとって驚異となるだろう。しかしモデルYには、テスラによるオンラインソフトウェアアップデートや高速充電が可能なスーパーチャージャーの利用など独自のメリットがある。
両車とも高額なクルマではあるが、このクラスでこれだけのスペックを持つBEVとしてはどちらも安価と言えるかもしれない。モデルYもしくはシールの購入を検討するなら、両車のRWDとAWDを含めた4パターンの中から比較し、あらためて用途と予算に適したモデルを選ぶとよいだろう。