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Aston Martin Valkyrie AMR-LMH
公道車両ベースに開発されたハイパーカー

2023年10月、世界耐久選手権(WEC)への参戦を、正式表明したアストンマーティン。公道走行可能なスーパースポーツをベースに開発された「ヴァルキリー AMR-LMH」が、ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催される開幕戦カタール1812kmレースで、ついにデビューを果たす。
アストンマーティンが開発した初のル・マン・ハイパーカー(LMH)規定マシン、ヴァルキリー AMR-LMHは、WECに加えてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にも参戦。レース運営を担当するハート・オブ・レーシング・チームと共に、アストンマーティンは、2つのプログラムの同時進行という忙しい1年を過ごすことになる。
ヴァルキリー AMR-LMHは、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズとハート・オブ・レーシングが公道用ヴァルキリーをベースに、厳しい耐久レースにも対応可能なカーボンファイバー製シャシーを開発。パワーユニットはコスワース製6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンを、最高出力500kW(679PS)に制限されるハイパーカー規定に合わせて最適化した。
アストンマーティンが、耐久レースのトップカテゴリーに復帰するのは、グループC規定で開発された1989年のAMR1以来。ル・マン24時間レースでは、1959年にキャロル・シェルビーとロイ・サルバドリのコンビがDBR1で優勝を達成しており、ヴァルキリー AMR-LMHは66年ぶりの総合優勝を目指している。
耐久レースでの経験豊富な6名のドライバー

ヴァルキリー AMR-LMH 007号車はトム・ギャンブルとハリー・ティンクネルという英国人コンビに、長距離イベント(カタール1812kmレースとル・マン24時間)ではIMSAに参戦するロス・ガンが加わる。耐久レースでの豊富な経験を持つティンクネルは、開幕戦カタールに向けて次のように意気込みを語った。
「新たに開発されたヴァルキリー AMR-LMHのデビューを任され、アストンマーティンに復帰できることをうれしく思います。世界中がこのクルマの“実物”を見ることを心待ちにしているでしょうし、これだけ強い関心を集めるプログラムに参加できるのは本当に素晴らしいことです」
「私たちはライバルよりも2〜3年遅れてプログラムをスタートしています。正直言って厳しい戦いを強いられることになるでしょう。それでもチーム全員がハードワークを続けてきましたし、デビューに向けた準備は万端です」
一方の009号車はFIA GT世界選手権3冠を誇るマルコ・ソーレンセンと、WEC LMGT3クラスで優勝経験を持つアレックス・リベラスの二人に、こちらもIMSAをメインプログラムとするロマン・デ・アンジェリスがカタールとル・マンに参戦する。WECトップカテゴリーデビューを果たすリベラスは次のようにその想いを明かした。
「アストンマーティンと共に、カタールでハイパーカーデビューを飾ることは、私にとっても、このプロジェクトに関わるすべての人にとっても、大きなマイルストーンとなります。このレーシングカーの開発には何ヵ月もの月日が掛かっています。そして今、ようやく世界の舞台でレースを戦うことができるのです。このプロジェクトに携わることができて光栄ですし、今回のカタールは私にとって大切な思い出になるでしょう」