欧州コンパクトバン対決「フィアット ドブロ」と「ルノー カングー」をスペック比較

「400万円欧州コンパクトMPV比較」フィアット ドブロと根強い人気のルノー カングー今ならどっちがおすすめ?

日本で購入できる欧州コンパクトバンといえば「ルノー カングー」の独壇場だった。しかし近年はステランティスグループが「プジョー リフター」「シトロエン ベルランゴ」「フィアット ドブロ」の3兄弟を日本へ導入し、2024年末には3台揃ってマイナーチェンジを迎えた。3兄弟のなかでもっともプレーンなドブロと、人気のカングーのスペックを比較してみよう。

FIAT DOBLO
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RENAULT KANGOO

シンプルデザインのドブロと、お洒落なカングー

人気の「ルノー カングー」と「フィアット ドブロ」を比較する。ボディサイズはカングーの全長が85mmほど長いだけでほぼ同じといえる。最小回転半径も同じ5.6mだ。荷室はカングーのほうが広く確保されており、ドブロの荷室容量は5名乗車時597L/2名乗車時2126Lとなるのに対し、カングーはそれぞれ775L/2800Lだ。

内装はドブロが商用車としての機能性を重視しているのに対し、カングーは機能的でありながらも乗用車に近い雰囲気となる。後席の広さにも大きな差はなく、どちらもエアコンは左右独立式で両車とも後席に吹き出し口が備わるため快適性も同等だ。

観音開きの非対称ドア「ダブルバックドア」はカングーの大きな特徴といえるだろう。対するドブロも一般的な跳ね上げ式のハッチだがガラス部だけを開けられるようになっている。ただしどちらもスライドドアには電動開閉機能が備わらない点に注意したい。

フィアット ドブロ

ボディサイズ=全長4405mm×全幅1850mm×全高1825mm
ホイールベース=2785mm
車両重量=1560kg
タイヤサイズ=205/60R16

ルノー カングー インテンス ディーゼル

ボディサイズ=全長4490mm×全幅1860mm×全高1810mm
ホイールベース=2715mm
車両重量=1650kg
タイヤサイズ=205/60R16

高いトルク値と1段多い変速段数で燃費良好なドブロ

エンジンは両車ともに1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載する。エンジンスペックは、ドブロの方が最大トルクが30Nm大きいうえ、トランスミッションが1段多い8速となるせいもあって燃費性能に優れるのはドブロの方だ。

WLTCモード平均燃費はドブロの18.1km/Lに対して、カングーは17.3km/Lと大きな差とはいえないが、車重が90kgほど軽いドブロの方が市街地燃費でカングーを引き離す。速度域が上がるほど差は小さくなっていき、高速燃費はほぼ変わらない数値となる。

両車ともに前輪駆動のみの設定となるが、日本よりも速度域が高い欧州の商用車だけに空車時でも直進安定性は高いうえ、積載時でも十分にトラクションがかかる。ドブロの方がホイールベースが長くなっているものの、サスペンション形式もタイヤサイズも同じであるためシャシー性能に大きな差はないと考えてよいだろう。

フィアット ドブロ

エンジン形式=直列4気筒ディーゼルターボエンジン
排気量=1498cc
最高出力=130PS/3750rpm
最大トルク=300Nm/1750rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=FWD

ルノー カングー インテンス ディーゼルエンジン

形式=直列4気筒ディーゼルターボエンジン
排気量=1460cc
最高出力=116PS/3750rpm
最大トルク=270Nm/1750rpm
トランスミッション=7速AT
駆動方式=FWD

スペックや使い勝手はほぼ同じだ

ドブロのベースグレードとカングーの最廉価ディーゼルグレードの比較では、25万円差でドブロの方が安い。燃費性能の高さもあって、コストパフォーマンスではドブロの勝ちといえるだろう。

だが乗用車風のインテリアとなるカングーは日常生活でも使いやすいうえ、ダブルバックドアは普段の買い物からアウトドアレジャーなどでも便利な装備だ。また、カングーはより静粛性の高い1.3リッターガソリンターボモデル(385万円)が選べる点でも乗用車として向いている。一方でドブロには全長4770mmの7人乗りモデル「ドブロマキシ(429万円)」の設定がある点も見逃せない。

標準グレードのディーゼルモデル同士の比較ならスペックや使い勝手に大きな差はない。内外装デザインの好みで選ぶのが、もっともよい選び方といえるだろう。

車両本体価格

フィアット ドブロとプジョー リフター

ステランティスの兄弟車「フィアット ドブロ」と「プジョー リフター」のスペックをチェック「買うならどっち?」

欧州ミニバンの認知度は着実に上がってきていると言えよう。「シトロエン ベルランゴ」「プジョー リフター」に続き、「フィアット ドブロ」までが日本上陸を果たした事実がそれを物語る。ステランティスグループの兄弟車となる以上の3台は、2024年後半に揃って大幅改良を受け商品力を増した。マイナーチェンジされたばかりのドブロとリフターのスペックを比較して違いを洗い出してみよう。

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