トヨタ アルファード&ヴェルファイアに試乗「PHEVは最高のショーファーカーだ!」

トヨタが誇るミニバンのベンチマーク「アルファード/ヴェルファイア」PHEVに試乗「まさに極上の乗り味!」

重心が35mm低くなったことで、安定した走りを見せる。
重心が35mm低くなったことで、安定した走りを見せる。
大型ミニバンの中でもトップの人気を誇るトヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」にPHEVが加わった。73kmのEV走行を可能にするだけでなく、安定した走りも手に入れているのだ。

TOYOTA ALPHARD EXECUTIVE LOUNGE PLUG-IN HYBRID

エグゼクティブの御用達となったアル&ヴェル

モーターのパワーは前後で236PS。約2.5tのボディを軽々と加速させる。
モーターのパワーは前後で236PS。約2.5tのボディを軽々と加速させる。

今のファミリー層が欲しい(憧れの)クルマランキング第1位といえば、間違いなく「アルファード」「ヴェルファイア」だろう。圧倒的な居住空間、至れり尽せりの豪華な装備、快適な乗り心地、そして存在感タップリの押し出しの強いルックス。安く見積もっても乗り出し800万円か、という価格設定さえもブランド力の押し上げにはプラスとなったようで「子供が生まれたからアルファード買ったよ」なんて呟けば、あっという間に勝ち組ファミリーに分類されるのは間違いない。その神通力たるや、地域によってはメルセデスのEクラスをも完全に超えていると言っても過言ではない。

現行のアルファード&ヴェルファイアはもうすぐ登場から2年となるが、街を走ればとにかくその姿をよく見かける。都心部でもやたらとその巨体が目につくのは、おそらくショーファーカーとして企業が購入しているからだろう。日本のエグゼクティブをセダンからミニバンへと乗り換えさせたのも、アルファード&ヴェルファイアの功績(?)だ。

PHEV追加でパワートレインは3種類

そのアルファード&ヴェルファイアにプラグインハイブリッド(PHEV)が加わった。これでパワートレインは2.4リッター直列4気筒ターボの純エンジン車、2.5リッター直列4気筒自然吸気のHV、これらに加えて同じ2.5リッター直列4気筒自然吸気エンジンにPHEV、という3種類がラインナップされることになった。ちなみに、日本のミニバンでPHEVが設定されるのは初めてのことだ。

満充電であれば約73kmのEV走行が可能な大型リチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載。バッテリーの重量は非公表だが、HVと比較するとボディ重量は約200kg増えているので、これのほとんどがバッテリーの分だと思っていいだろう。これによって重心高がHVより35mm下がり、さらに安定した走りを実現しているという。家庭用AC電源だけではなく急速充電にも対応しており、その場合は約38分で80%まで充電できる(50kWの場合)。

外観状でPHEVだと判断することはかなり難しい。ホイールが専用の19インチとなっているのだが、おそらくディーラーマンでもなければわからない。室内に乗り込むと、本杢のステアリングやスウェード調の天井など、ラグジュアリーな空間が迎えてくれる。シフトノブ手前にHVとEVの切り替えスイッチと、その切り替えを自動で行うスイッチが配置されているのがPHEVならではの装備だ。この自動切り替えは基本EV重視だが、ナビでルート設定をしているときは高速道路ではエンジンを積極的に使ってバッテリーを温存し、街中ではEVに切り替えるといった賢い制御も行ってくれる。

乗り味が異なるアルファードとヴェルファイア

EVモードでの走りは、さすがにスムーズのひと言。2tを超える重量級ボディを苦もなく押し出すトルクは気持ちいいほどだが、決して力に任せた乱暴な加速とはならない制御を感じさせるあたり、さすが後席に乗る人の快適さを重視しているようだ。高速道路でしっかりと踏めば、法定速度プラスくらいまではあっという間に加速するが、それでもエンジンがかかることはまずない。HVモードを選択するとちょっとした加速などでエンジンは割と頻繁に始動するが、その際もショックは皆無、微かにエンジンのサウンドが聞こえてくるくらいか。

フロア周りの重量増は乗り心地にも寄与しているようで、実にしっかりとした乗り味を見せてくれる。アルファードとヴェルファイアでは少しサスペンションのセッティングが異なっており、わかりやすく言うとアルファードの方が少し軽快で柔らかな足捌きを見せ、ヴェルファイアはやや重めのどっしりとした感覚。個人的にはヴェルファイアの方が気に入ったが、これは好みの問題なので、購入を考えている人は両方に試乗してみるべきだと思う。いずれにしても大型ミニバンとは思えない快適さで、エグゼクティブからも支持されるのも頷ける。開発スタッフによるとベンチマークとしたのはメルセデス・ベンツSクラスだそうで、やはり見ているところはそこか、と妙に納得した。

この圧倒的な装備と快適さに加えて、EVの静粛性と力強さ、経済性も手に入れたアルファード&ヴェルファイア、この進化で人気ランキング第1位の座は不動のものなったと言える。あまりミニバンに興味のない私でさえ、ちょっと欲しくなってしまったほどだ。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/神村聖(Satoshi KAMIMURA)、平野陽(Akio HIRANO)

SPECIFICATIONS

トヨタ・アルファード・エグゼクティブラウンジ・プラグインハイブリッド

ボディサイズ:全長:4995×全幅1850×全高1945mm
ホイールベース:3000mm
車両重量:2470kg
エンジン:直列4気筒DOHC
エンジン総排気量:2487cc
エンジン最高出力:130kW(177PS)/5000rpm
エンジン最大トルク:219Nm(22.3kgm)/3600rpm
モーター最高出力:F134kW(182PS)/R40kW(54PS)
モーター最大トルク:F270Nm(27.5kgm)/R121Nm(12.3kgm)
トランスミッション:電気式無断変速
駆動方式:AWD
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット Rダブルウイッシュボーン
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR225/55R19
パフォーマンス:燃費16.7km/L(WLTC)
車両本体価格(税込):1065万円

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン…