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CHEVROLET CORVETTE Z06
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CHEVROLET CORVETTE E-RAY
外観はほぼ同じの全幅2m超のワイドボディ




「シボレー コルベット」シリーズの同門対決で「Z06」と「E-Ray」を比較する。内外装の違いは、細かな装備品や配色が異なる程度でほとんど同じだ。標準コルベットに対してZ06もE-Rayもワイドボディとなっており、全幅はどちらも2025mmとなる。
ただしZ06は「Z7パフォーマンスパッケージ」オプションを選ぶことで強力なダウンフォースを発生させるカーボン製のスポイラーを各所に追加できるほか、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキやカーボンファイバー製ホイールも装備可能だ。E-Rayはカーボンセラミックブレーキと磁性流体ダンパーが標準装備となり、専用のパールニッケルカラーの鍛造ホイールが装備されるが、Z06と同じくカーボンホイールも選ぶことも可能となっている。
荷室空間は、両車とも装備の充実により標準コルベットよりも容量がわずかに削られているものの、どちらも前後合わせて350L程度の容量は確保されている。
シボレー コルベット Z06 3LZ
ボディサイズ=全長4685mm×全幅2025mm×全高1225mm
ホイールベース=2725mm
車両重量=1720kg
タイヤサイズ=275/30ZR20(前)/ 345/25ZR21(後)
シボレーコルベット E-Ray 3LZ
ボディサイズ=全長4685mm×全幅2025mm×全高1225mm
ホイールベース=2725mm
車両重量=1810kg
タイヤサイズ=275/30ZR20(前)/ 345/25ZR21(後)
Z06の加速をも上回るE-RayのeAWD


E-Rayは、最高出力502PSの6.2リッターV型8気筒OHV自然吸気エンジンでリヤタイヤを駆動し、162PS/125Nmのモーターでフロントタイヤを駆動するeAWDだ。エンジン自体は標準コルベットと同じLT2型であり、加速時にはクロスプレーンクランクシャフトによる排気干渉の荒々しい咆哮に、モーターの高周波音が混じる。
一方、Z06に搭載される5.5リッターエンジンはLT2型とは異なる系譜を歩むレーシングエンジンのLT6型である。クランクシャフトはフラットプレーン、エンジンヘッドはDOHCとなっており澄んだ音ともに646PSものパワーを8550rpmの高回転で発揮する。
エンジン単体の出力ではZ06が勝るが、E-Rayのシステム出力はそれを上回る664PSであり、0-97km/h加速タイムはZ06の2.9秒に対してE-Rayが2.5秒と明らかに速い。Z06がリヤタイヤのグリップ限界を迎える際や極小のギアチェンジの瞬間でも、E-Rayならフロントモーターが途切れることなく車体を加速させる。モーターとバッテリーの搭載によりE-RAYの車重はZ06よりも90kg重くなっているが、ミッドエンジンで不足しがちな前輪接地荷重を稼ぐのにもひと役買うはずだ。
シボレー コルベット Z06 3LZ
エンジン形式=V型8気筒ガソリンエンジン
排気量=5454cc
最高出力=646PS/8550rpm
最大トルク=623Nm/6300rpm
トランスミッション=8速DCT
駆動方式=RWD
シボレーコルベット E-Ray 3LZ
エンジン形式=V型8気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=6156cc
エンジン最高出力=502PS/6450rpm
エンジン最大トルク=637Nm/5150rpm
モーター最高出力=162PS/9000rpm
モーター最大トルク=165Nm/0〜4000rpm
システム最高出力=664PS
トランスミッション=8速DCT
駆動方式=AWD
サーキットマシンのZ06とGTカーのE-Ray


Z06の価格は2580万円で、E-Rayは2350万円だ。チタンコンロッドや鍛造アルミピストン、ドライサンプシステムなどが組み込まれたレーシングエンジンに加え、シャシーにも専用セッティングが施されるZ06の方が200万円以上高額となっている。
そのZ06をも上回る加速性能を誇るE-Rayだが、満充電時に4.8〜6.4kmの距離をフロントモーターのみで走行できるため、住宅地の深夜や早朝でも排気音を出さずに走れる美点も備えている。また、Z06にはないフロントの駆動力は悪天候時や危険回避にも役立つ。
その一方で、E-Rayはサーキットを周回するとコースによっては電力が枯渇するシーンもあるだろう。一般道の走行が主体ならGTカーとして優れた性能のE-Rayが向く。サーキットユースがメインならZ06が最適だ。