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CADILLAC XT4
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LEXUS RX
コンパクトでも広いキャデラック最小のSUV




キャデラック最小SUVの「XT4」とレクサスで中核をなすSUVの「RX」を比較する。XT4よりひと回り大きなボディサイズのRXは、そのぶん後席空間も広く確保されている。しかしXT4とは全長で300mm近い差があるにもかかわらず、後席の膝周り空間の違いはわずかしかない。XT4は「メルセデス・ベンツ GLC」や「BMW X3」といった競合モデルと比べても広い後席空間を確保している点が大きな特徴だ。
改良を受けたXT4は内外装が一新され、極めて前衛的でありながら嫌味のないエクステリアデザインに改められた。一方のRXは外観に大きな変更点はないが、全車12.3インチのフル液晶メーターに変わっている。また、軽いタッチ操作でドアの開閉ができる「e-ラッチ」や、荷室から操作できる電動格納機能などの利便性を高める装備も引き続き搭載されている。
XT4の改良のもっとも大きなトピックは、なんといってもインパネに備わる9K解像度33インチ大型湾曲液晶モニターの存在だろう。キャデラックのフラッグシップモデルであるエスカレードにも搭載される大型ディスプレイは圧巻の迫力だ。
キャデラック XT4 SPORT
ボディサイズ=全長4605mm×全幅1875mm×全高1625mm
ホイールベース=2775mm
車両重量=1760kg
タイヤサイズ=245/45R20
レクサス RX350h version L AWD
ボディサイズ=全長4890mm×全幅1920mm×全高1700mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=2010kg
タイヤサイズ=235/50R21
レクサス/トヨタのハイブリッドシステムやはり強し


エンジン単体のスペックではターボエンジンのXT4が優れているが、ハイブリッドシステムを搭載するRXはトータル出力/トルクともにXT4を上回る。RXのフロントには最高出力182PS/最大トルク270Nmのモーターが備わり、AWDモデルではさらにリアに54PS/121Nmのモーターを加えたE-Fourシステムを採用している。
XT4に備わる「ツインクラッチAWD」も凝ったシステムだが、駆動力の立ち上がりレスポンスや加速のスムーズさではモーターを駆使するRXに分がある。加えて、RXの燃費性能はAWDであっても18.7km/Lと優秀だ。
走行性能だけでなく静粛性の高さもRXの強みとなる。2025年2月の改良で、RXは駆動力特性やシャシーセッティングが最適化されただけでなく、ハイブリッドシステムの静粛性を活かすべく吸音材の追加やリアドアに遮音ガラスが採用され、従来モデルよりも静粛性が高められた。
キャデラック XT4 SPORT
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1997cc
最高出力=230PS/5000rpm
最大トルク=350Nm/1500〜4000rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=AWD
レクサス RX350h version L AWD
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン+モーター
排気量=2487cc
エンジン最高出力=190PS/6000rpm
エンジン最大トルク=243Nm/4300-4500rpm
モーター最高出力=前182PS、後54PS
モーター最大トルク=前270Nm、後121Nm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=AWD
総合力ではRXの勝ち!XT4にも十分な魅力がある


XT4は「SPORT」のワングレードで価格は790万円、対する「RX350h AWD」は811万円と両者の価格差はわずか20万円ほどだ。
XT4はこの価格でもドライブモードと連動する電子制御ダンパーが標準装備されており、高額ではあるがコストパフォーマンスは悪くない。しかしRXも電子制御ダンパーが標準装備だ。またRXは今回の改良で後輪操舵機構が追加され、走行安定性を強化するとともに最小回転半径が5.9mから5.5mへと縮小された。
装備やスペックを総合的に評価すると間違いなくRXが優勢となる。しかし、XT4にも個性的なエクステリアデザインやドライバーを包み込むような33インチ大画面液晶モニター、RXに匹敵するほど広い後席などの強みがある。少なくともRXにも劣らない魅力を備えたクルマであるのは確かだ。