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BMW X1
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LEXUS UX
使い勝手と走りのバランスを問う、広さと重さの対比に現れる違い




両車のボディサイズは「BMW X1」が全長4500×全幅1845×全高1625mmで、「レクサス UX」は全長4495×全幅1840×全高1540mmとなる。UXの方が目に見えて全高が低く、リヤハッチも緩やかに傾斜しておりクーペライクなプロポーションを持つ。
UXの車内はX1に比べてややタイトだが、シートのホールド感やフィニッシュの質感が高く、前席中心のパッケージとしては満足度が高い。しかし、X1もMパフォーマンスモデルとしての専用装備やシート設計によって、ドライビングへの集中を促すよう演出されている。
ラゲッジスペースもX1の方が広く、荷室容量は通常で540L、40:20:40分割のリアシートを倒せば最大1600Lまで広がる。対するUXの荷室容量は312Lと控えめで、後席を倒してもX1には及ばない。なお、UXの荷室の狭さはボディ形状の違いに加え、ハイブリッドユニットやバッテリーパックの搭載による影響も少なからず受けている。
BMW X1 M35i xDrive
ボディサイズ=全長4500mm×全幅1845mm×全高1625mm
ホイールベース=2690mm
車両重量=1680kg
タイヤサイズ=245/45R19(前後)
レクサス UX300h Fスポーツ
ボディサイズ=全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mm
ホイールベース=2640mm
車両重量=1600kg
タイヤサイズ=225/50RF18(前後)
直4ターボとハイブリッド、駆動力と洗練性が分かれる2つの個性


X1 M35iに搭載されるのは最高出力は317PS、最大トルクは400Nmを発揮する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンで、7速DCTを介してFFベースのxDriveにより四輪を駆動する。0-100km/h加速タイムは5.4秒とされており、CセグメントSUVとしては十分すぎる加速性能だ。
一方、ハイブリッドシステムを搭載するUX300h(AWD)のエンジンの最高出力は152PSであり、これに最高出力113PS/最大トルク206Nmのフロントモーターと、41PS/86Nmのリヤモーターが組み合わされ、それぞれが状況に応じて最適動作をするように制御される。
モーターによるUXの発進加速は鋭く、実用速度域ではスポーティなSUVとして十分な動力性能といえるが、全開加速勝負ではMパフォーマンスチューンのX1相手では速度が上がるごとに離されるだろう。しかし、UX300hの燃費はWLTCモードで23.4km/Lと、X1の12.4km/Lに対して大きくリードする。
X1 M35iは圧倒的なパワーと走行性能を武器にするモデルであり、UX300hはハイブリッドシステムならではの静粛性能と燃費性能が最大の強みとなる。
BMW X1 M35i xDrive
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1998cc
最高出力=317PS/5750rpm
最大トルク=400Nm/2000~4500rpm
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=AWD
レクサス UX300h Fスポーツ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1986cc
最高出力=152PS/6000rpm
最大トルク=188Nm/4400~5200rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=AWD
性能か洗練か、それぞれの価値に応じた明確な選択肢


X1 M35iの価格は798万円に設定されており、BMWの高性能モデルとしては比較的リーズナブルな価格帯に収まっている。
専用のチューンドエンジンやサスペンション、Mパフォーマンスモデル専用の内外装に加え、xDriveによる高い走行安定性などを考えれば、コストに見合った価値が備わっているといえよう。日常からスポーツ走行までを1台でカバーしたいユーザーの目に、この高い完成度は魅力的に映るはずだ。
一方のUX300hの価格は550万6000円で、X1と比較すると約250万円ほど安い。この価格差は出力や装備の差というより、広い意味を含む“パフォーマンスの志向性”に起因していると考えられる。
X1はSUVであっても走りを妥協したくない、走行性能と実用性の両立を求めるユーザーに応える1台だ。UXはハイブリッドによる燃費性能と静粛性能、質感の高さを軸としたモデルであり、街乗り中心のユーザーや上質な移動空間を求める層に適している。