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Mercedes-Benz S 450 d 4MATIC
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Audi A8 55 TFSI quattro
大型化されたA8のシングルフレームグリル




アウディのフラッグシップとして君臨する「A8」。その4代目となる現行型は2018年にデビューすると、2022年に大幅なアップデートを実施し、クロームで縁取られた大型「シングルフレームグリル」の導入など最新デザインランゲージが導入された。対する、現行「Sクラス」は、エントリーモデルの「S 450 d 4MATIC」でありながら、メルセデス・ベンツらしい威風堂々たるエクステリアを持つ。
A8はSクラスと同様に通常ボディと、後席スペースを拡大したロングホイールベースもラインナップされる。今回、採り上げる「A8 55 TFSI クワトロ」は日本に通常ボディのみが導入される。全長はほぼ同値だがホイールベースは3000mmで「S 450 d 4MATIC」よりも105mm短い。
ボディサイズはほぼ変わらない2台だが、Sクラスが高級サルーンらしい伸びやかさを持つのに対し、A8はサイドビューなどにスポーツセダンのような俊敏さが感じられる。
メルセデス・ベンツ S 450 d 4MATIC
ボディサイズ=全長5180mm×全幅1930mm×全高1505mm
ホイールベース=3105mm
車両重量=2130kg
タイヤサイズ=255/45R19
アウディ A8 55 TFSI クワトロ
ボディサイズ=全長5190mm×全幅1945mm×全高1470mm
ホイールベース=3000mm
車両重量=2030kg
タイヤサイズ=255/45R19(前)、255/45R19(後)
ストップ&ゴーで真価を発揮するディーゼルターボ


A8 55 TFSI クワトロは、3.0リッターV型6気筒「TFSI」ガソリンターボに、48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、最高出力は340PSを発揮。S 450 d 4MATICは、最高出力367PSの3.0リッター直列6気筒クリーンディーゼルに、補助駆動装置「インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)」が搭載される。
トルクに関しては、ディーゼルターボのS 450 d 4MATICが、A8 55 TFSI クワトロを250Nmも上まわった。市街地など、ストップ&ゴーの多いシチュエーションでは、トルクの厚いディーゼルターボの恩恵を受けることになるだろう。対するA8 55 TFSI クワトロのV6エンジンは滑らなエンジンフィールと静粛性の高さというアドバンテージを持つ。
メルセデス・ベンツ S 450 d 4MATIC
エンジン形式=直列6気筒ディーゼルターボ+ISG
排気量=2988cc
最高出力=367PS/4000rpm
最大トルク=750Nm/1350-2800rpm
トランスミッション=電子制御9速AT
駆動方式=AWD
アウディ A8 55 TFSI クワトロ
エンジン形式=V型6気筒ターボ
排気量=2994cc
最高出力=340PS/5000-6400rpm
最大トルク=500Nm/1370-4500rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=AWD
派手さはないものの「300万円」の価格差は魅力




S 450 d 4MATICのコクピットは12.3インチメーターディスプレイと縦型の12.8インチ有機ELメディアディスプレイのコンビネーション。スクエア形状のベンチレーションや左右ドアへと続くインストゥルメントパネルなど、モダンラグジュアリーなインテリアが特徴となる。
A8 55 TFSI クワトロは、デジタルメーターディスプレイを備えているものの、メータークラスターやセンターコンソールのオートマチックセレクターなど、若干の古さを感じさせる。それでもシンプルな水平基調のインテリアは、高級車らしい落ち着きを持ち、パッセンジャーに安心感をもたらしそうだ。リヤシートの居住性はホイールベースの長いS 450 d 4MATICに軍配が上がるが、A8 55 TFSI クワトロも十分なヘッドスペースとレッグスペースを備えている。
エントリーモデルながら300万円の価格差は、ドイツを代表する「メルセデス・ベンツ」のブランド力があるからこそ。ただ、際立った派手さはないものの、アウディらしい質実剛健さを持ったA8 55 TFSI クワトロは、さりげないラグジュアリーを求めるカスタマーには、魅力的な選択肢となるはずだ。