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82nd Members’ Meeting
観客数が少なく落ち着いた雰囲気が魅力

晴れ渡る春の日差しの下、英国モータースポーツの聖地、グッドウッド・サーキットで、第82回「メンバーズ・ミーティング」が2025年4月12日と13日の週末に開催された。温暖な気候に恵まれ、多くの自動車ファンが集まった。
メンバーズ・ミーティングの起源は1948年に遡る。当初は英国自動車レーシングクラブのメンバー向けに開催されていたイベントは、1966年にサーキットが閉鎖されるまで71回が行われていた。
その後1998年にグッドウッド・サーキットが復活した際、地元自治体により年に5日間のみ騒音制限なしの走行が許可され、そのうち3日間は「リバイバル」イベントに使用されてきた。そして2014年、リッチモンド公爵が主催するグッドウッド・ロード・レーシングクラブのメンバー向けに、このメンバーズ・ミーティングが再開され、残りの2日間が割り当てられた。
リバイバルと比べ観客数が少なく落ち着いた雰囲気ながらも、コースへのアクセスは自由度が高く、参加者は間近でレースを堪能できるのが魅力だ。また、出場車両はサーキットが最初に運営されていた1948~1966年の車両に限定されていない。
「ロータス97T」でデモ走行を披露








今回のイベントでは1970〜80年代の「グループ1ツーリングカー」レースが注目を集め、「フォード カプリMk3」や「ローバー SD1」が豪快な走りを披露。さらに1966年以前の「ロータス コルティナ」や「ミニ クーパーS」が出走した「プリ1966ツーリングカー」、「フェラーリ 250 SWB」や「AC コブラ」、「オースティン ヒーレー」が競演した1960年代スポーツカーのレースなどが観客を沸かせた。また、1963〜1966年に活躍した「フォード GT40」などのプロトタイプカーや1923年以前のクラシカルなエドワード期の自動車も登場した。
今回、特に印象的だったのは、ブルーノ・セナが「ロータス97T」でデモ走行を行ったことだ。このF1マシンは叔父のアイルトン・セナが1985年のポルトガルGPで初優勝を飾ったメモリアルマシンなのである。この他にも、ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)のラインナップや新型のキャデラック・ハーツ・チームJOTAのWECマシンも華麗に走行した。また今年70周年を迎えたアルピーヌも記念パレードを行い、華を添えた。
多彩なエンターテイメント

さらに環境対応のために、グッドウッドといえども全13レースに参加したすべての車両がサステナブル燃料を使用したことも注目したい。土曜の夜には音楽ライブ、海の生き物を模した衣装のパフォーマー、ヴィンテージの遊園地、そして壮大な花火ショーなど、多彩なエンターテイメントが参加者を楽しませた。これらもまた、こういった自動車文化の火を消さないための弛まぬ努力のひとつだ。
PHOTO/Simon FOX, Matt Alexander