BMWが全固体電池初搭載となるi7でテストをスタート

全固体電池を搭載したBMW i7が実用化に向けてテストを開始「ソリッドパワー社製」

全固体電池セルが搭載された、BMW i7のテスト車両。
BMWとソリッドパワー社は、全個体電池セルを搭載した「BMW i7」のテスト車両を初公開した。
BMWグループと、ソリッドパワー(Solid Power)社は、次世代車両用「全固体電池」を搭載したi7でのテストを開始した。2016年以降、BMWグループとソリッドパワー社は、両社の技術移転契約を通じて、全固体電池の技術開発を続けており、今回初めて実車に全固体電池を搭載している。

BMW i7 All-solid-state Battery 

実用化に向けて開発が進む全固体電池

BMWとソリッドパワー社が共同開発した、全固体電池セル。
バッテリー技術のブレークスルーとなる全固体電池は、各社が開発を進めており、今回、BMWとソリッドパワー社が初めて実車への搭載を実現した。

BMWグループは、ソリッドパワー製の大型全固体電池セルをフル電動セダン「i7」に搭載。ソリッドパワー社によって開発された全固体電池セルは、現在搭載されているバッテリーよりもコンパクトで、エネルギー密度が非常に高い。全固体電池セルを導入することで、バッテリーシステム全体のサイズや重量を増やすことなく、EVの航続距離を伸ばせる可能性を秘めている。

ソリッドパワー社のジョン・ヴァン・スコーターCEOは、今回のi7への全固体電池搭載を受けて次のようにコメントした。

「ソリッドパワーは、BMWグループとのパートナーシップにより、実際の車両へと初めて全固体電池セルを搭載したことを誇りに思います。 我々は全固体電池の将来性を信じていますし、EVの未来をサポートするために、技術革新の鍵となる硫化物電解質の開発をさらに推進していく予定です」

BMWグループのバッテリーセル/セルモジュール担当副社長を務めるマーティン・シュースターは、以下のように付け加えた。

「BMW i7の全固体電池テスト車両の走行は、あらゆる技術革新を受け入れてきたBMWだからこそ実現しました。私たちは新しいバッテリーセル技術の開発を継続的に進めていますし、ソリッドパワー社のような貴重なパートナーとともに、そのノウハウを拡大していきます」

今後数ヵ月をかけて様々なテストを実施

全固体電池セルが搭載された、BMW i7のテスト車両。
I7に搭載された全固体電池セルは、本格的な実用化に向けて、様々な条件下におけるテストを行う予定だ。

BMW i7に搭載された試験用バッテリーは、すでに市販モデルに導入されているBMW製「Gen5」構造(モジュール内の角柱セル)に、ソリッドパワー社が開発した全固体電池セルを統合した革新的なモジュールコンセプト。バッテリーセルの拡張マネージメント、作動圧力の制御方法、温度条件の調整など、様々なテストが実施される予定だ。

革新的な全固体電池セルは、BMWグループが協力し、ソリッドパワー社が開発・製造を担当。実用化に向けて、今後もさらなる開発とテストが必要とされている。全固体電池には、リチウムイオンを効率的に伝導する硫化物系電解質を採用。全固体電池セルを、従来のバッテリーパックに統合した試験用バッテリーコンセプトは、今後数ヵ月間のテストプログラムにおいて、BMWグループに多くの知見をもたらすことになる。

BMWグループとソリッドパワー社は、2016年に共同開発契約を締結し、2021年5月にはBMWグループがソリッドパワー社に出資を行った。さらに、2022年末には両社のパートナーシップをさらに深めることで合意。BMWグループは、ソリッドパワー社との研究開発ライセンスに基づき、彼らの経験と専門知識を活用して、ドイツ・パースドルフのCMCC(セル・マニュファチャリング・コンピテンス・センター)に、固体電池セルの試作ラインを稼働させる予定だ。

「メルセデス・ベンツ EQS 450+」対「BMW i7 eDrive50 Mスポーツ」ラグジュアリーEVの廉価グレードを比較

「メルセデス・ベンツ EQS」と「BMW i7」は、ドイツのプレミアムブランドが手がけるフルエレクトリックのラグジュアリーセダンだ。高級感と先進技術を融合させたEQSとi7の個性やスペックの違いをそれぞれ廉価グレードとなる「EQS 450+」と「i7 eDrive50 Mスポーツ」で比較してみよう。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーカーマガジン月刊『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつ…