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Bovensiepen Zagato
「アルピナ」から「ボーフェンジーペン」へ

ボーフェンジーペンの名前は、アルピナを立ち上げたブルカルト・ボーフェンジーペンから採られた。現在のビジネスは息子のフローリアン・ボーフェンジーペンとアンドレアス・ボーフェンジーペンが主導する。今回、彼らは新たな自動車ブランド「ボーフェンジーペン」を設立した。
2022年3月、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限合資会社とBMW AGは、長期的なブランド存続を確保すべく、アルピナ・ブランドの商標権売買契約を締結。この決定を受けて、BMW AGとアルピナ社の長期的な協力関係は2025年12月31日をもって終了し、以降「アルピナ」の商標権はBMW AGが保有する。
今回、数十年に渡りアルピナとして高い技術力と優れたデザインの製品を送り出してきたボーフェンジーペン家と、高いクラフトマンシップを持つザガートが協力関係を締結。ドイツのエンジニアリングと、イタリアのデザイン感覚が完璧に融合したグランツーリスモ「ボーフェンジーペン ザガート」が完成した。
ボーフェンジーペン・オートモービルのアンドレアス・ボーフェンジーペンCEOは、新ブランド立ち上げを受けて、「私たちのターゲットは、デザインとテクノロジーの完璧な共生を評価する、エンスージアストのためにクルマを作ることにありました」とコメントしている。
ザガート伝統のダブルバブルルーフを採用

フオリコンコルソで初公開された「ボーフェンジーペン ザガート」は、単にイタリアのデザインと、ドイツのテクノロジーの融合というだけでなく、それぞれが拠点とするバイエルンとミラノの強い繋がりが表現された。エクステリアデザインは、エレガントなプロポーションをはじめ、紛れもなくザガートの血が色濃く反映されている。
ザガートを象徴するダブルバブルルーフ、ロングノーズ、彫刻のようなボリューム感、ステンレススチール製フロントグリル、エレガントなピラーレスウインドウ、一体型リヤスポイラー、空力を意識したエアアウトレットなど、洗練されたディテールが数多く導入された。
ザガートのチーフデザイナーを務める原田則彦は、ボーフェンジーペン ザガートについて次のように説明する。
「ボーフェンジーペン ザガートは、イタリアが持つ官能的でソフトなデザインと、ドイツの建築的ともいえる強固な構造が組み合わせられました。ある意味で二つの自動車文化の美しい融合とも言えるでしょう」
最高出力611PSを発揮する3.0リッター直6を搭載

搭載される3.0リッター直列6気筒エンジンは、最高出力449kW(611PS)、最大トルク700Nmを発揮。0-100km/h加速は3.3秒、最高速度は300km/hを超える。その優れたパワーとトルク特性は、バイエルンのテストベンチにおける過酷な試験に加え、何千kmもの実走テストによって磨かれている。
インテリアは、細部に至るまでパーソナライゼーションが可能。ドイツ・バイエルン州ブッフローエのファクトリー内にあるマニュファクチュールにおいて1台ずつ製造される。1台の製造には熟練した職人により250時間以上を要し、400以上のカスタムパーツが組み込まれるという。最初のデリバリーは2026年第二四半期に開始される予定だ。
ザガートのアンドレア・ミケーレ・ザガート会長は、ボーフェンジーペン ザガートについて以下のようにコメントした。
「コーチビルドの芸術は500年以上前にミラノで生まれました。アトリエ・ザガートは、106年にわたり、名だたる自動車ブランドとのコラボレーションを続けてきました。新たに誕生したブランドの最初の1台をデザインすることを、心から誇りに感じています。ボーフェンジーペン家とのプロジェクトは、ザガートのDNAと新しい刺激的なブランドのDNAを融合させるという、伝統を受け継ぐものです。ボーフェンジーペン ザガートは、真に特別な存在となりました」