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Ferrari 499P
1960年代に怒涛の6連覇を達成

フェラーリは、ル・マン24時間の100年を超える歴史において、いくつものドラマで主役を担ってきた。昨年の499Pによる勝利を含めて総合優勝は11回、クラス優勝は29回を数えている。デビューウィンを飾った1949年以来、フェラーリとサルト・サーキットは赤い糸で結ばれてきたと言えるだろう。今回はその数々の優勝を振り返ってみよう。
1949年、ロレンツォ・チネッティとロード・セルスドンとのコンビが、「フェラーリ 166MM バルケッタ ツーリング」で総合優勝を達成。この時、チネッティは実に23時間以上にわたってステアリングを握っている。 1954年、302周を走破したホセ・フロイラン・ゴンサレスとモーリス・トランティニアンが、ピニン・ファリーナによるボディが架装された「フェラーリ 375 プラス」で優勝。5.0リッターV型12気筒エンジンを搭載し、最高速度は280km/hを誇った。
1958年、その後の歴史で多くの勝利をもたらす「フェラーリ 250 テスタロッサ」が、フィル・ヒルとオリビエ・ジェンデビアンのドライブで最初の勝利を刻む。スカリエッティが設計したこのマシンは、わずか800kgという車両重量に最高出力300PSの3.0リッターV型12気筒エンジンを搭載した。
1960年は通常よりも遅い6月25日から26日にかけて開催された。オリビエ・ジャンドビアンとポール・フレールは「フェラーリ 250TR 59/60」を駆って、314周を走って勝利。翌1961年、ジャンドビアンとフィル・ヒルのコンビが「フェラーリ 250 TRI/61」で勝利を持ち帰っている。さらに1962年、ジャンドビアンは4度目のル・マン制覇を達成。彼はフェラーリをドライブし、ル・マンで4勝を挙げた唯一のドライバーとなっている。
60年の時を経て復活を果たしたフェラーリ

1963年は初めてイタリア人ドライバーを起用し、ル・マン24時間レースで優勝を果たした。ロレンツォ・バンディーニとルドヴィコ・スカルフィオッティは、3.0リッターV型12気筒エンジンを搭載した「フェラーリ 250P」に乗り込み、トップチェッカーを受けている。
1964年、ジャン・ギシェとニーノ・ヴァカレッラが「フェラーリ 275P」を駆って8度目の総合優勝。275Pは排気量3285.73cc、最高出力320PSを発揮するV型12気筒エンジンを搭載し、平均速度195.63km/hという驚異的なスピードを記録する。この年は2台の「フェラーリ 330P」を従えて表彰台を独占することになった。
1965年、最高速度287km/hを誇る「フェラーリ 250LM」で6連覇を達成。この年はヨッヘン・リントとマステン・グレゴリーが348周を走破して優勝を飾った。この年を最後にフェラーリはル・マンでの勝利から遠ざかることになる。
2023年、最後の参戦から50年を経てフェラーリが世界耐久選手権(WEC)とル・マン24時間レースに復帰。ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィの3人が、ハイパーカー規定で開発された「フェラーリ 499P」で58年ぶりの勝利をフェラーリにもたらした。
復活2シーズン目となった2024年、前年の51号車に代わり、フェラーリ 499P 50号車をドライブしたアントニオ・フオコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンが優勝。さらに51号車も3位に入り、1-3フィニッシュを果たすことになった。
そして2025年、フェラーリはそれぞれ優勝経験を持つフェラーリ・AFコルセの50号車と51号車、鮮やかなイエローのリバリーで参戦するAFコルセの83号車という3台の499Pで、ル・マン3連覇を狙う。