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BMW iX3
「ノイエ クラッセ」最初の量産モデル

BMWの新世代製品群「ノイエ クラッセ(Neue Klasse)」最初の量販モデルとして導入されるフル電動SUV「iX3」は、現在、開発の最終段階にある。新型iX3の最終プロトタイプは、厳重なカモフラージュ偽装が施された状態で、フランス南部のミラマスで広範なテストを実施している。
新型iX3から導入される6代目フル電動パワートレイン「Gen6」は、パフォーマンスと効率の両面で大幅な進化を遂げたという。「iX3 50 xDrive」は、最大800km(WLTP基準)の航続距離を実現し、10分間の充電で最大350km以上の走行距離が確保された。コクピットの「BMW パノラミック iDrive」のディスプレイと操作コンセプトは、左右いっぱいに情報を投影、ドライバーの完璧な視認性が確保される。
新型iX3は、2025年9月9日から14日にかけてドイツ・ミュンヘンにおいて開催される「IAAモビリティ 2025」においてワールドプレミアされる予定で、2025年末からハンガリーのデブレツェンにある新しいBMWグループ工場で生産をスタートする。BMWのノイエ クラッセ担当責任者のマイク・ライヒェルトは、新型iX3について次のようにコメントした。
「より長い航続距離、より速いスピードの充電、完全に刷新されたディスプレイと操作コンセプト、そして4基のスーパーブレイン知能が、ノイエ クラッセの特長となります。新型BMW iX3は、新世代シリーズ最初のモデルとして、典型的なBMWのドライビングプレジャーを新たな次元へと引き上げることになります」
「新型iX3は、BMWの革命的なテクノロジーを量産車両として初めて導入します。私自身も、一般道でその性能を発揮する日を待ち遠しく思っています。今後のすべてのBMWモデルは、パワートレインの種類を問わず、ノイエ クラッセのイノベーションとテクノロジーの恩恵を受けることになるでしょう」
新型円筒型バッテリーセルを搭載

今回、フル電動パワートレイン「BMW eDriveテクノロジー」は、第6世代「Gen6」に進化。高電圧バッテリーコンセプトは完全に新設計されており、改良された電気駆動システムと組み合わせることで、高次元の走行パフォーマンスと、これまでにない航続距離を実現した。「Gen6」システムはiX3に初搭載後、すべてのセグメントに展開される予定だ。
高電圧バッテリーのコア技術となる「BMWシリンドリカル(円筒型)バッテリーセル」は、これまで採用されてきたプリズム型バッテリーセルに比べて、エネルギー密度が20%も向上。円筒型セルは高電圧バッテリーシステムに統合されており、ノイエ クラッセ・モデルにおけるボディ構造の重要な役割を果たしている。
最上位モデルの最高出力は400kW(543PS)を発揮。800Vテクノロジーは従来の常識を覆すレベルの急速充電を可能にしており、10分間の充電で最大350km(WLTP)の走行距離が確保される。高電圧バッテリーの高いエネルギー密度、さらにパワートレインと車両全体の効率的な設計により、最大800km(WLTP)の航続距離を実現した。
新型コンピューター「ハート・オブ・ジョイ」

新型iX3には、完全新規開発されたセントラルコンピューター「ハート・オブ・ジョイ(Heart of Joy)コントロールユニット」を搭載。ハート・オブ・ジョイは、BMWダイナミック・パフォーマンス・コントロールのソフトウェアと組み合わせることで、パワートレイン、ブレーキ、回生システム、ステアリングシステムを統合的にコントロールする。
それぞれのコンポーネントに関する情報は、従来のシステム比で10倍ものスピードで処理され、ドライバーの操作に対して、これまで以上に直接的に反応する。制御入力が少なくなることで、車両の方向安定性はより安定する。さらに一貫性と再現性を持ったコーナリングパフォーマンスを発揮し、従来よりも直感的なコントロールが可能と謳う。
ハート・オブ・ジョイにより、パワートレインとブレーキシステムは完璧な調和を持って作動し、安全に車両を減速。回生ブレーキは全速度域で停止まで使用可能となっており、98%のケースで摩擦ブレーキを使用せずに、ノイズや衝撃もなく安全に停止できるようになるという。