205 GTiがEVで復活?「プジョー E-208 GTi」デビュー

「205GTiがEVになって帰ってくる?」プジョーがコンパクトEV「E-208 GTi」をワールドプレミア【動画】

フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」のエクステリア。
プジョーはル・マン24時間レースが開催されたサルト・サーキットにおいて、新型フル電動スポーツハッチ「E-208 GTi」を公開した。
ステランティス・グループのプジョーは、6月13日、伝説のスポーツハッチ「205 GTi」を現代に甦らせたフル電動スポーツ「E-208 GTi」を発表した。開発にはWECに参戦するプジョー・スポールが参加。最大航続距離は350km、最高システム出力283PSを発揮し、0-100km/h加速は5.7秒という瞬足を誇る。

PEUGEOT E-208 GTi

40年以上の歴史を持つ「GTi」

フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」のエクステリア。
「GTi」は1983年に初めて「205」に設定。その後、40年にわたって様々なモデルに「GTi」が登場し、人気を集めてきた。

ル・マン24時間レースが開催されたサルト・サーキットに設置されたプジョー・ファンゾーンにおいて、フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」がワールドプレミアされた。発表の場にはプジョーのアラン・ファヴェイCEO、ステランティス・モータースポーツのジャン=マルク・フィノCEO、プジョーデザインの責任者マティアス・ホッサーン、WECにおいてプジョーのワークスドライバーを務めるポール・ディ・レスタが参加し、今後のモータースポーツの活躍を期待させるものとなった。

世界耐久選手権(WEC)に参戦する「プジョー 9X8 ハイブリッド」によって培われた電動パワートレインのテクノロジーが導入されたと謳うE-208 GTi。その開発において、特にサーマルマネージメント(熱管理)とエネルギー回生システムに関しては、WECに参戦するプジョー・スポールから、多くの技術やノウハウがフィードバックされており、シャシーやブレーキシステムの最適化を後押ししたという。

「205 GTi」を発表した1983年、プジョーは自動車史に新たなページを刻むこととなった。1984年に欧州で1.6リッター直列4気筒を搭載する205 GTiを発売し、その後1.9リッター直列4気筒モデルを1986年に追加。205 GTiは、パフォーマンスとドライビングの楽しさに、スポーティで洗練されたデザインと使い勝手を融合させ、コンパクトスポーツハッチバックという新たなセグメントを確立させた重要モデルである。

以降40年以上にわたり「GTi」は、309、306、206、207、初代208などに設定され、モータースポーツの世界では、特にラリーにおいて数多くの勝利を収めてきた。プジョーにとって「GTi」は単なるモデルバッジではなく、特に象徴的でスポーティなモデルに与えられてきた“称号”だと言えるだろう。

今回、プジョーはその伝説を継承し、このアイコンが持つDNAを復活させることを決定。ただ、歴代モデルのように内燃機関搭(ICE)載モデルではなく、「E-208 GTi」は、プジョー初のフル電動「GTi」として開発された。E-208 GTiは、BセグメントEVにおける、最高レベルのパフォーマンスが与えられている。

ワイドスタンスを強調する専用エクステリア

フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」のエクステリア。
ベースのE-208から、ローダウン&ワイドトレッド化された専用ボディが与えられており、フェンダーと前後バンパーもGTi専用デザインが奢られる。

「E-208 GTi」は、ベースとなった「e-208」から30mmローダウンされ、フロント56mm、リヤ27mm拡幅化。足元には「PEUGEOT GTi」のロゴが刻まれた18インチの大径ホイールが奢られ、「GTi」に相応しい力強いスタンスを実現した。この専用ホイールは205 GTiを象徴する「Hole」ホイールへのオマージュとしてデザインされており、ブレーキの冷却効率を向上させる役割が持たされている。

ワイドトレッド化に対応するためホイールアーチを拡大。205 GTiをオマージュし、ホイールアーチにエレガントなレッドのラインが入れられた。また、グリル、プジョーエンブレム、ヘッドライト、ホイールアーチ、フロントブレーキキャリパー、リヤスポイラー下部にも「GTi」を象徴するレッドカラーが加えられている。

フロントバンパーに専用フロントスポイラー、リヤバンパー下部にはエアロダイナミックディフューザーを追加。グロスブラックにペイントされたディフューザーには、小型LEDリヤフォグがエレガントに組み込まれた。

「205 GTi」をオマージュしたインテリア

フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」のインテリア。
インテリアには、シートのレッドラインやメッシュなど、「205 GTi」をオマージュしたデザインが採り入れられている。

GTiを象徴するレッドは、インテリアにも採り入れられた。205 GTiをオマージュし、カーペット、フロアマット、シートベルトは明るいレッドをチョイス。小径ステアリングホイールは、パーフォレーション加工を施したレッドレザーとアルカンターラの組み合わせ。ボトム部には専用の「GTi」ロゴが入り、センターのプジョーエンブレムはレッドに点灯する。

スポーティでエレガントなデザインの専用フロントシートは一体型ヘッドレストを採用。205 GTi 1.9のシートデザインを再現したという、シートとバックレストのセンターにレッドトリムが入る。また、シートの右側のレッドメッシュは、205 GTi 1.6をイメージしているという。

デジタル・インストゥルメントクラスターとセンターディスプレイのグラフィックは、標準でレッドカラーを採用。専用のパフォーマンス表示画面も用意された。アンビエントライトもデフォルトでレッド(7色のカラーバリエーションが選択可能)となる。

プジョー・スポールが開発に参加

フル電動スポーツハッチ「プジョー E-208 GTi」のエクステリア。
パワートレインとシャシーの開発にはWECに参戦するプジョー・スポールが参加。特にブレーキに関して、実戦から様々なノウハウが導入されている。

E-208 GTiは、最高出力283PS、最大トルク345Nmを発揮する「M4+」電気モーターを搭載。最大航続距離は350km(WLTPサイクル)、0-100km/h加速は5.7 秒、最高速度は電子リミッターで180km/hに制限される。容量54kWhのCATL製バッテリーは、スポーツ走行時にもバッテリーを保護する最適化された熱管理システムと、高性能に対応した専用の冷却システムが搭載された。

E-208 GTiに搭載される強力な電気モーターは、フランス東部にあるトレメリー工場で製造。この工場は歴史的にエンジン製造に特化してきた施設だが、現在はステランティスとニデックルロア・ソマー(Nidec Leroy-Somer)の合弁企業「エモターズ(Emotors)」として、フル電動パワートレインの開発・製造に専念している。

ハイパフォーマンスブレーキの設計は、プジョー・スポールのエンジニアが監修。レッドペイントが施されたフロントのキャリパーには「PEUGEOT Sport」のロゴが刻まれた。一方、リヤのディスクキャリパーはオリジナルE-208からキャリーオーバーされている。

「プジョー E-208 GTi」を動画でチェック!

「プジョー 208」改良新型のエクステリア。

“3本かぎ爪”モチーフのデイタイム・ランニング・ライトを導入した「プジョー 208」改良新型がデビュー

ステランティス・ジャパンは、プジョーのコンパクトハッチバック「208」改良新型を、10月24日から全国のプジョー正規ディーラーにおいて発売開始した。エクステリアには新世代のブランドエンブレムと「3本爪」シグネチャーライトを導入。1.2リッター直列3気筒「PureTech」ターボ搭載する「208 GT」と「208 ALLURE」の2グレードを展開する。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーカーマガジン月刊『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつ…