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Ferrari 296 Speciale
ベルリネッタとオープンボディの2種類

10年目を迎えたフェラーリ・レーシング・デイズが開催された。2025年は富士スピードウェイで開催されたが、そこで4月に発表されたばかりの「296 スペチアーレ」が日本初披露された。
296 スペチアーレは、プラグインハイブリッドスーパースポーツ「296 GTB」のスペシャル仕様で、これまでフェラーリが展開してきた、「360チャレンジ ストラダーレ」「430 スクーデリア」「458 スペチアーレ」「488 ピスタ」に続く、ハイパフォーマンス・ベルリネッタの第5弾スペシャル仕様車となる。
ボディタイプは、ベルリネッタの「296 スペチアーレ」と、オープンボディの「296 スペチアーレA(アペルタ)」がラインナップされ、今回の展示車はイメージカラーとなる鮮やかなグリーン「ヴェルデ・ニュルブルクリンク」を纏うが、これは296 スペチアーレのために専用開発された新カラーとなる。
後輪駆動フェラーリ量産モデル最高の出力



296 スペチアーレは、敏捷性、ターンイン時の応答性、安定性に関して、296 GTBから大きく性能が引き上げられたという。3.0リッターV型6気筒ツインターボエンジン、電動モーターを組み込んだプラグインハイブリッドアーキテクチャーからなるパワートレインは、296 GTBから50PS引き上げられ、最高システム出力880PSを発揮。これは後輪駆動のフェラーリ量産モデルとしては過去最高の出力となる。
ワンメイクレーシングカー「296 チャレンジ」の知見を活かして、チタン製コンロッド、強化ピストン、軽量クランクシャフトを導入。さらに、F1由来のノックコントロールシステムも搭載され、V6エンジン単体で296 GTB比37PS増となる最高出力700PSを達成したという。
電気モーターも強化され、新たに導入された「エクストラブーストモード(Extra boost mode)」で180PSを発揮。モーターの強化に合わせて、シフト時に追加トルクを加える新ストラテジーが8速DCTに導入され、シフトスピードが早まった。0-100km/加速は2.8秒、0-200km/h加速は7.0秒、最高速度は330km/hを誇る。
296 GTB比で60kg軽量化



強度を高めたピストンを採用し、特殊な新オイルジェットで冷却性能も向上させたという。昨年発表されたスペチアーレ「F80」と同じチタン製コンロッドは、296 GTBのスチール製より約35%も軽量化。スチール製クランクシャフトも軽量化され、ピストン・クランクシャフト・コンロッドのアセンブリー全体で2.2kgも削減した。
エンジンブロックとクランクケースは、ル・マン3連覇のハイパーカー「499P」のエンジンと同じ手法を採用し、余分な金属を切削することで重量を1.2kg削減。さらにシリンダーブロックとシリンダーヘッドのネジやスタッドボルトをチタン製としたことで1.9kg軽量化している。これらによってエンジン単体重量は296 GTBから約9kgも削減した。
他にもカーボンファイバー製ボディパーツや、エンジンパーツにチタニウムを多用することで、内外装パーツやパワーユニットの大幅な軽量化を実施。フェラーリの最新世代のデザイン哲学が踏襲されたコクピットは、296 GTBと比べてシンプルに変更された。センタートンネルの構造部はすべてカーボンファイバー製となり、コンソールに“シフトゲート”エレメントを含む操作系が配置され、カーボン、アルミ、アルカンターラを多用することで、インテリアでも軽量化を進めている。296 GTB比で60kgもの軽量化を達成した。
20%ダウンフォースが向上



エアロダイナミクスも大幅に進化した。296 チャレンジ由来の「エアロ・ダンパー・コンセプト」を導入。これはフロントアンダートレイとフロントボンネットをダクトでつなぎ、エアフローの一部をアンダーボディからアッパーボディへ導くシステムとなる。さらにフロントボンネットには、GT3カテゴリーのレーシングカー「296 GT3」と同様、両サイドに2組のルーバーを設置した。
他にもリヤのバーティカルフィン、サイドウイングを組み合わせたアクティブリヤスポイラーなどが連携し、走行中より大きなダウンフォースを生み出すという。これらの効果で296 GTBから20%ダウンフォースレベルが向上。250km/h走行時に、435kgものダウンフォースを発生する。
日本市場の割り当てはすでに完売しているというが、参考までにベルリネッタの296 スペチアーレが5911万円。オープンボディの296 スペチアーレAが6715万円となる。296 スペチアーレは来年から、296 スペチアーレAは、先日は発表されたモータースポーツ活動をするカスタマー向けの「ピロティ フェラーリ 296 スペチアーレ」にわずかなチャンスがあるかもしれない。
PHOTO/GENROQ、フェラーリ・ジャパン