フェラーリ・レーシング・デイズで「フェラーリ 296 スペチアーレ」が初披露

後輪駆動最強フェラーリ「296 スペチアーレ」が日本初披露「デリバリーは2026年春から」

「フェラーリ 296 GTB」のハイパフォーマンス仕様「296 スペチアーレ」。
「フェラーリ 296 GTB」のハイパフォーマンス仕様「296 スペチアーレ」。
「フェラーリ 296 GTB」のハイパフォーマンス仕様「296 スペチアーレ」が日本初披露された。GTBと同様の3.0リッターV型6気筒ツインターボをベースとするハイブリッドパワートレインは50PSアップの最高出力880PSを発揮。他にも大幅な軽量化、専用のサスペンションセットアップ、さらにモータースポーツ由来の専用エアロダイナミクスが導入され、最強の後輪駆動フェラーリ・ロードカーの称号を得た。

Ferrari 296 Speciale

ベルリネッタとオープンボディの2種類

マラネッロ本社から来日したヘッド オブ プロダクト マーケティングのエマヌエレ・カランド氏(右)とフェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ代表取締役社長。

10年目を迎えたフェラーリ・レーシング・デイズが開催された。2025年は富士スピードウェイで開催されたが、そこで4月に発表されたばかりの「296 スペチアーレ」が日本初披露された。

296 スペチアーレは、プラグインハイブリッドスーパースポーツ「296 GTB」のスペシャル仕様で、これまでフェラーリが展開してきた、「360チャレンジ ストラダーレ」「430 スクーデリア」「458 スペチアーレ」「488 ピスタ」に続く、ハイパフォーマンス・ベルリネッタの第5弾スペシャル仕様車となる。

ボディタイプは、ベルリネッタの「296 スペチアーレ」と、オープンボディの「296 スペチアーレA(アペルタ)」がラインナップされ、今回の展示車はイメージカラーとなる鮮やかなグリーン「ヴェルデ・ニュルブルクリンク」を纏うが、これは296 スペチアーレのために専用開発された新カラーとなる。

後輪駆動フェラーリ量産モデル最高の出力

296 スペチアーレは、敏捷性、ターンイン時の応答性、安定性に関して、296 GTBから大きく性能が引き上げられたという。3.0リッターV型6気筒ツインターボエンジン、電動モーターを組み込んだプラグインハイブリッドアーキテクチャーからなるパワートレインは、296 GTBから50PS引き上げられ、最高システム出力880PSを発揮。これは後輪駆動のフェラーリ量産モデルとしては過去最高の出力となる。

ワンメイクレーシングカー「296 チャレンジ」の知見を活かして、チタン製コンロッド、強化ピストン、軽量クランクシャフトを導入。さらに、F1由来のノックコントロールシステムも搭載され、V6エンジン単体で296 GTB比37PS増となる最高出力700PSを達成したという。

電気モーターも強化され、新たに導入された「エクストラブーストモード(Extra boost mode)」で180PSを発揮。モーターの強化に合わせて、シフト時に追加トルクを加える新ストラテジーが8速DCTに導入され、シフトスピードが早まった。0-100km/加速は2.8秒、0-200km/h加速は7.0秒、最高速度は330km/hを誇る。

296 GTB比で60kg軽量化

強度を高めたピストンを採用し、特殊な新オイルジェットで冷却性能も向上させたという。昨年発表されたスペチアーレ「F80」と同じチタン製コンロッドは、296 GTBのスチール製より約35%も軽量化。スチール製クランクシャフトも軽量化され、ピストン・クランクシャフト・コンロッドのアセンブリー全体で2.2kgも削減した。

エンジンブロックとクランクケースは、ル・マン3連覇のハイパーカー「499P」のエンジンと同じ手法を採用し、余分な金属を切削することで重量を1.2kg削減。さらにシリンダーブロックとシリンダーヘッドのネジやスタッドボルトをチタン製としたことで1.9kg軽量化している。これらによってエンジン単体重量は296 GTBから約9kgも削減した。

他にもカーボンファイバー製ボディパーツや、エンジンパーツにチタニウムを多用することで、内外装パーツやパワーユニットの大幅な軽量化を実施。フェラーリの最新世代のデザイン哲学が踏襲されたコクピットは、296 GTBと比べてシンプルに変更された。センタートンネルの構造部はすべてカーボンファイバー製となり、コンソールに“シフトゲート”エレメントを含む操作系が配置され、カーボン、アルミ、アルカンターラを多用することで、インテリアでも軽量化を進めている。296 GTB比で60kgもの軽量化を達成した。

20%ダウンフォースが向上

エアロダイナミクスも大幅に進化した。296 チャレンジ由来の「エアロ・ダンパー・コンセプト」を導入。これはフロントアンダートレイとフロントボンネットをダクトでつなぎ、エアフローの一部をアンダーボディからアッパーボディへ導くシステムとなる。さらにフロントボンネットには、GT3カテゴリーのレーシングカー「296 GT3」と同様、両サイドに2組のルーバーを設置した。

他にもリヤのバーティカルフィン、サイドウイングを組み合わせたアクティブリヤスポイラーなどが連携し、走行中より大きなダウンフォースを生み出すという。これらの効果で296 GTBから20%ダウンフォースレベルが向上。250km/h走行時に、435kgものダウンフォースを発生する。

日本市場の割り当てはすでに完売しているというが、参考までにベルリネッタの296 スペチアーレが5911万円。オープンボディの296 スペチアーレAが6715万円となる。296 スペチアーレは来年から、296 スペチアーレAは、先日は発表されたモータースポーツ活動をするカスタマー向けの「ピロティ フェラーリ 296 スペチアーレ」にわずかなチャンスがあるかもしれない。

PHOTO/GENROQ、フェラーリ・ジャパン

「ピロティ フェラーリ296 スペチアーレ」のエクステリア。

「フェラーリでレース活動をすることが購入条件」ピロティ フェラーリ296 スペチアーレの希少性

フェラーリは、ル・マン24時間レースを目前に控えたサルト・サーキットにおいて、テーラーメイドプログラムの最新作「ピロティ フェラーリ」仕様の「296 スペチアレー」を公開した。ル・マン24時間レースを制した499Pをイメージしたリバリーを採用し、専用ディテールが施されたコクピットが奢られた。

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著者プロフィール

吉岡 卓朗(Takuro Yoshioka) 近影

吉岡 卓朗(Takuro Yoshioka)

大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わりたいと、1999年に…