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Ferrari 296 GT3 EVO
厳しい環境下における性能向上

2026年シーズンから導入する「フェラーリ 296 GT3 エボ」の開発ターゲットは明覚だった。それは2023年のデイトナ24時間レースでデビューを飾り、世界中のGTシリーズで成功を収めた「296 GT3」をベースに、エアロダイナミクス、応答性、各サーキットへの適応性をアップデートすることだ。
開発は世界耐久選手権(WEC)でフェラーリのワークスドライバーとして活躍するアレッサンドロ・ピエール・グイディとアレッシオ・ロベーラが担当。499Pや296 LMGT3で豊富な経験を持つ彼らから、実戦に即した多くのフィードバックがもたらされることになった。この結果、エアロダイナミクスが改善され、前後サスペンションに新たなセッティングを導入、低速コーナーでの加速を最適化するショート化されたギヤ比などが採用された。
「296 GT3のパフォーマンスそのものに問題があったのではありません。クリーンラップにおけるペースは、先代モデルと本質的に変わりませんから。ただ、導入された改善点は、様々な事象が組み合わされたレース中に大きな差を生む可能性があります」とグイディは説明する。
多くのカスタマーからの意見も反映

モンツァ・サーキットで行われた開発テストにおいて、エンジニアと2人のドライバーは密接に連携。車両の挙動が異なる様々なサーキットを想定しつつ、あらゆるアップデートを包括的な視点から評価した。このプロセスでは、よりバランスの取れた汎用性の高いセッティングを実現すべく、解決策を取捨選択するアプローチも採られた。
「今回、多くのカスタマーがドライブする標準仕様のGT3にも触れる機会を得て、多くのデータを収集することができました。296 GT3 エボの開発において、私自身もドライバーとして成長できたと感じています。これらのアップデートを最大限に活かし、実戦においてさらに競争力を高めていきたいです」とロベーラは開発プログラムを振り返った。
296 GT3 エボは、2026年シーズンから世界中のGTシリーズに投入。既存の296 GT3をエボ仕様にアップデートできるキットも販売される見込みだ。