目次
小林が開幕戦の富士以来となるポールポジション
緊急事態宣言解除後、初のロータス カップ開催となったが、今回も事前の体温・問診票提出、ピットエリア各所に消毒液の設置、マスク装着やソーシャルディスタンスの確保などを徹底。ドライバーズブリーフィングも引き続きリモートで行われるなど、厳格な感染対策が施行されるなか、最終戦を迎えた。
クラス1は第3戦を終えた段階でシーズン3連勝を決めた小林一景が、最終戦を残してタイトルを確定。一方、クラス2はランキングトップの飯田敏雄が50ポイント、2番手の篠原祐二が48ポイントと、わずか2ポイント差で最終戦を迎えた。計算上はランキング3番手のパパシュー、4番手の長澤宏昭まで可能性を残しているが、タイトル争いはほぼこのふたりに絞られたと言ってもいいだろう。
秋らしい好天に恵まれ、コンディションはドライ。気温は3度前後と低いが、暖かな日差しが注ぐなか、9時30分から15分間の予選が行われた。一番にコースへと飛び出したのは、小林のシーズン4連勝を阻止し、一矢報いたい清水友一。清水は前戦のポールタイムを大きく上回る2分5秒709を刻み、浅井健人も2分6秒748と好タイムで続く。
その直後、小林が清水のタイムをさらに上回る2分5秒372をたたき出して、リザルトボードのトップに躍り出た。その後、小林のコースレコードタイムを上回るドライバーは現れず、開幕戦の富士以来となるポールポジションを獲得。2番手に清水、3番手に浅井、4番手にはゲストドライバーの佐藤考洋のオーダーで予選を終えている。
「コンディションがすごく良くて、クルマも調子良かったので、前日の練習からのいいフィーリングを持ってドライブしたら、コースレコードを出せた感じです。自分でもびっくりするようなタイムになりました。全勝はもちろんですが、毎戦優勝を目指して戦っているので、スタートをうまくまとめて、リードできるように頑張りたいです」と、小林は冷静なコメントを残した。
スタートを決めた小林がポール・トゥ・ウィン
予選に続き、少し風はあるものの決勝のコンディションはドライ。12時5分から10周によるレースがスタートした。セーフティカー先導のフォーメーションラップを経て、大きな混乱もなく一斉にスタート。ポールポジションの小林が危なげなくホールショットを決めた一方、予選4番手の佐藤が抜群の蹴りだしで、清水と浅井をパスしして2番手に浮上する。
清水は1周目の3コーナーで佐藤を捉えて再び2位を獲り返し、清水と佐藤による2番手争いはテールトゥノーズでレース終盤まで続く。後方からプレッシャーをかけ続けた佐藤は、5周目のダウンヒルの立ち上がりでシフトミスを喫した清水の隙を見逃さずにオーバーテイク、2番手を得た。
トップの小林はレース序盤からファステストラップを更新し、一時は2秒以上のリードを確保。終盤はいくつかミスがあったものの、最終的に2位の佐藤に1.734秒差をつけてフィニッシュ。シーズン全勝を飾り、ロータス カップ初タイトルに華を添えた。佐藤が賞典外となるため3番手でゴールした清水が2位。「スタートで失敗してしまった」と振り返った浅井が3位表彰台を得ている。
シーズン4連勝を決めた小林は、「今回はスタートで抜かれず、さらに後ろでバトルしてくれたので、戦いやすい展開になりました。ただ、中盤以降は自分のミスもあって、後ろの佐藤選手の接近を許してしまいました。毎戦毎戦『勝とう』と思って頑張ってきたので、4戦全勝もですが、最終戦で勝てたことが今は何よりも嬉しいです」と、フィニッシュ後に喜びを語った。
シーズン2勝目の飯田敏雄がクラス2タイトルを獲得
クラス2は実に9年ぶりのロータス・カップ参戦となったプロドライバーの柴田優作が、2分11秒572でトップタイムを記録。柴田が賞典外となるため、2分11秒658を記録した長澤宏昭がクラス2のポールポジション獲得した。長澤は決勝キャンセルとなった昨年の菅生以来となる予選トップとなっている。
シーズン序盤はクラス1に参戦していた荒田良浩が、2分11秒720で2番手タイム。アタックラップ1回目で痛恨のスピンを喫してしまった飯田が、2分12秒036で3番手。「緊張があった」と振り返る篠原は2分12秒937の4番手に終わり、決勝に向けて飯田が一歩アドバンテージを握った形だ。
クラス2はポールポジションの柴田が圧倒的なペースでレースをリード。飯田はスタートで長澤と荒田を捉えて、2番手に浮上。タイトルを争う篠原も同様にポジションを上げるが、コンスタントに2分12秒台のラップを刻む飯田が、周回ごとに篠原との差を拡大する。
レースは賞典外の柴田が首位のポジションを守り切ってトップでゴール。篠原に7.993秒もの差をつけて優勝を手にした飯田が、第2戦・菅生以来となる2勝目でうれしいクラス2初王座を決めた。最終ラップまで続いた長澤と荒田による3位争いは、荒田の猛攻を凌ぎ切った長澤が制し、シリーズランキングでも飯田、篠原に続く3位を獲得した。
「嬉しいです。今年は自分としても成長を感じることができました。決勝は目の前に柴田選手が走っていたので、追いかけることで勉強にもなりましたし、ドライブに集中することができました」と、飯田は振り返っている。
コロナ禍の影響もあって今シーズンのロータス カップ ジャパンは全4戦で幕を閉じた。2022年シーズンのスケジュールは現在調整中だが、今年以上のレース開催を検討している。ハイレベルなワンメイクレース「ロータス カップ ジャパン」は、国内屈指のジェントルマンレース。参加者も引き続き募集中だ。