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目指すは「最もサステナブルな高級自動車メーカー」

来る「脱炭素時代」を前に、自動車メーカーは厳しさを増す燃費や排出ガス規制の対応に迫られている。生産台数に限りのあるハイエンドブランドといえどその流れは無視することができず、各メーカーは工場のカーボンニュートラル化や車両の電動化を急ピッチで進めてきた。
ベントレーは「最もサステナブルな高級自動車メーカーとなる」ことを目指している。車両の電動化はもちろん、クルー本社工場に英国最大のソーラーカーポートを設置したり、本社に新しい排水リサイクルシステムを導入したり、養蜂や植樹活動も積極的に行うなど、持続可能性を重視したあらゆる試みを実施している。今回新しいエンジニアリングセンターをクルーに設立したのも、環境施策の一環といえる。
約18億円を投じた最新鋭の試験設備

新設したテストセンターの名前は「33 ピムズレーン」。グローバル基準での排出ガス、WLTP燃料消費量、航続距離などのテストを自社内で行うことのできる設備となっている。このセンター設立にあたり、ベントレーは1250万ポンド(約18億7500万円)を投じたという。
設備は2階建てで、面積は4600平方メートル。その中に、773平方メートルのオフィススペースと1550平方メートルの温度調節機能付きシャシダイナモメータ施設を有している。この最先端のローリングロードでは様々な勾配の坂道をシミュレートすることが可能で、内燃機関搭載車の排気ガスはもちろん、HV車、BEVの電気エネルギー消費量も測定することができる。できる限り現実世界のシチュエーションを再現するべく、摂氏マイナス20度から50度までの幅広い温度範囲でテストできる環境を整えているのも特徴である。さらに、最新のポータブル排出ガス測定システムを使用するリアルドライビングエミッション(RDE)試験に対応した専用ラボも設置している。
全世界の排ガス基準試験に対応予定

新しいテストセンターは英国の車両認証機関から正式な認可を受けてすでに業務を開始している一方で、2022年半ばまでには世界のすべての排出ガス基準の試験ができるように準備が進められている。最終的には、100名の社員が同施設で勤務する予定だという。エンジニアリング部門の取締役、マティアス・ラーベ博士は次のように語っている。
「今回の発表は、ベントレーが現在進めている近代化プログラムにおける、もうひとつの重要なランドマークといえるものです。我々は2024年までにすべてのモデルに電気自動車、またはHV車をラインナップすることを目指しており、独自に自らのエンジンをテストできるこの施設は、業界をリードするクルー工場をさらに強化する存在となります」