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RML Short Wheelbase
ダークブルーを纏ったプレ生産モデル

40年近くにわたり、様々な他メーカーのロードカーやレーシングカーを開発・製造してきたRMLにとって、「RML ショートホイールベース」は自社の名前とロゴを冠した最初のモデル。そして現在、限定生産されるRML ショートホイールベースのプレ生産仕様「Car Zero」の完成を目前にしている。
「Car Zero」には、ダークブルーのペイントがカーボンコンポジット製ボディに施された。カーボンファイバーに豊かな光沢を放つ塗装を実現するためには、特殊なカーボンプライマー、通常のプライマー、シルバーのベースコートを何度も塗り重ねるという大変な作業が行われたという。未塗装の箇所(ドアシャット周辺など)も、クリアカーボンプライマーで処理した後、さらにスモークカーボンラッカーでコーティングされている。
RMLグループのマイケル・マロックCEOは、美しい姿を現したRML ショートホイールベース「Car Zero」に感動のコメントを残した。
「完全に塗装されたボディ、そしてシャシーにエンジンが搭載されたことは、ショートホイールベースの誕生における、まさにひとつの到達点です。この最初のモデルは2022年1月までに完成し、業界最高レベルのテストスケジュールに進む予定です。同時にカスタマーカーの製造開始に向けてゴーサインが出たことで、プログラム全体が一気に現実味を帯びてきました」
2022年1月に「Car Zero」が完成

ボディへの塗装工程を終えたことで、2022年1月の完成に向けてフェラーリ製5.5リッターV型12気筒がいよいよエンジンルームに搭載された。すべてのコンポーネントを装着後、業界最高レベルの高濃度の耐久テストプログラムがスタートする。さらに「Car Zero」の最終組み立てと同時に、RMLは最初にデリバリーされる2台のカスタマーカーの準備にも着手。それぞれ6ヵ月の生産期間を予定している。
パワーユニットに関しては、RMLのこだわりが追求された。パワートレイン担当エンジニアのアドナム・ラーマンは、そのエンジンサウンドを楽しんで欲しいと語る。
「目標は、クラシカルなV12ロードレーサーのエキゾーストノートを再現することでした。まずドナーカーに搭載されていたフェラーリ製V12を、アイドリングからフルスロットル加速まで様々な速度や負荷で車内外から録音することからスタートしました。そのデータをもとに現行の騒音規制に適合するようにコンピューターシミュレーションのモデルを構築したのです。これを最高出力485hpという車両の性能に影響を与えることなく、実車において完成させることに集中しました」
カスタマーの希望に沿ったボディカラー

RML ショートホイールベースには、新たに導入されるコンフィギュレーターが用意された。最初のカスタマーはすでに自分のクルマをどのようにパーソナライズするかの選択を終えている。RMLのデザイン責任者であるジョナサン・ボーエンは、エクステリアカラーはそれぞれのカスタマーの想像力がある限り、無限に存在すると指摘する。
「お客様と一緒に、自分だけの特別なショートホイールベースを作り上げることをとても楽しみにしています。カラーパレットはほぼ無限にあり、エクステリアトリムも様々な選択肢から選ぶことができます。また、ドアラウンドやパラレルストライプなど、時代を反映したグラフィックも開発中です。このクルマのデザインとピッタリとマッチしますよ」
オーリンズが専用設計した足まわり

RMLがロードカーやレーシングカーで長年培ってきたビークルダイナミクスのノウハウは、RML ショートホイールベースのサスペンションチューニングに活かされた。開発チームは、高い評価を得ているドナーカー(フェラーリ 550 マラネロ)のシャシーをベースに、より軽量な主要エレメントを採用。全体としてよりコントロールしやすく、洗練された高性能シャシーを実現した。
足まわりはダンパーのスペシャリストであるオーリンズ社と共同で、RML ショートホイールベース専用の特注ダンパーユニットを開発。2022年1月からスタートする実走行テストでも、シャシー開発チームがセッティングをフレキシブルに見直すことができるように「Car Zero」では2ウェイ・アジャスタブル・ユニットが採用されている。