マセラティ肝煎りの新世代スーパースポーツ、MC20に派生車「コンバーチブル」が登場

マセラティ MC20はオープン仕様も臨戦体制に! コンバーチブルのプロトタイプがモデナを出発

マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。俯瞰目フロントビュー
マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。現在は開発テストに供され、青空を思わせる偽装が施されている。
マセラティが2021年9月にワールドプレミアした新型スーパースポーツ、MC20。100%内製のエンジンやモデナ工場でのアッセンブリーなど、オールイタリアンにこだわる渾身の1台として誕生した。その注目モデルの派生モデルとして登場するのが、MC20 コンバーチブルである。

Maserati MC20 Convertible

MC20コンバーチブルのプロトタイプが完成

マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。フロントビュー
マセラティは、2021年12月21日にMC20 コンバーチブルのプロトタイプの姿を全世界へ公開した。モデナの工場をラインオフした車両は、雲の柄を施したカモフラージュをまとっている。

マセラティは2021年12月21日、MC20 コンバーチブルのプロトタイプを公開した。試作車はすでにイタリア モデナの工場をラインオフし、これからカモフラージュをまとった恰好でテスト走行へ臨んでいく。擬装により現時点での詳細は不明だが、ソフトトップではなくリトラクタブル ハードトップを採用すると見られている。

MC20は、マセラティの新章を告げる新型ミッドシップスーパースポーツ。シャシーからエンジンまですべて新設計、新開発した力作である。“MC”は「Maserati Corse」の頭文字であり、Corse=コルセはレースフィールドとの強い繋がりを示唆している。“20”は、マセラティが新しい時代に向けての歩みを進めた重要な節目である「2020年」から。ちなみに、マセラティはすでにMC20で競技シーンへ復帰することも公言済みだ。

新規開発・完全内製のV6ターボを搭載

マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。フロントビュー
マセラティ MC20 コンバーチブルはリトラクタブル ハードトップを採用すると言われている。擬装により詳細は不明だが、スタイリングにこだわるマセラティならではの、美しいオープントップの姿が期待される。

ミッドシップするのは「Nettuno(ネットゥーノ)」と名付けられた3.0リッターV6直噴ターボエンジン。最高出力630ps/7500rpm、最大トルク730Nm/3000〜5500rpm、レブリミット8000rpmの最新ユニットは、開発から組み上げまですべてを内製で実施する。つまり、20年以上ぶりの完全自社製パワーユニットだ。Nettunoは海神ネプチューンを意味するイタリア語である。

ネットゥーノユニットは、バンク角90度のV型6気筒アーキテクチャーを基本に、電動ウェイストゲートを設けたターボチャージャーをはじめ、ドライサンプ方式、可変バルブタイミング機構を採用した。圧縮比は11:1で、ボア径88mm×ストローク長82mm。新世代エンジンに求められる高い効率性を実現するべく、マセラティは燃焼技術に注力。F1テクノロジーを応用し、ツインプラグを配したプレチャンバー(副燃焼室)燃料システムも取り入れている。

このネットゥーノユニットに組み合わされるのは8速DCTで、後輪を駆動。0-100km/h加速は2.88秒、最高速度は326km/hを公称する。

空力性能開発にはダラーラが協力

マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。フロントビュー
マセラティ MC20 コンバーチブルは、クーペ版と同様に新規開発・自社生産のV6ターボエンジン“ネットゥーノ”を搭載。サウンドを楽しみつつドライブしたい向きには待望のモデルとなる。

MC20のボディはカーボンファイバーと複合材で構成。スタイリングは、トリノのマセラティ・チェントロ・スティーレ(デザインセンター)が担当している。マセラティ史上初の跳ね上げ式バタフライドアを採用するなど、いかにもスーパースポーツらしいスタイリングを実現した。アッパーボディ部は比較的クリーンでシンプル、かつ彫刻のようなアートワークとなるようにデザイン、下段はテクノロジーの結晶として機能性を重視した2層構造を採用しているのもユニークな点。ボンネット上のエアインテークとリヤフェンダー上部にあるエアダクトは、角度によってほとんど見えなくなる絶妙な配置と形状になっている。

これらのデザインすべてが空力性能に裏付けられているのもMC20の特徴だ。空力性能開発にはダラーラが協力しており、ダラーラの風洞実験室で2000時間以上に及ぶ試験と、流体力学を用いた1000回超のシミュレーションを実施。新時代のスーパースポーツカーに相応しい空力ボディを完成させた。

MC20は由緒正しきモデナの地で生産

マセラティ MC20 コンバーチブルのプロトタイプ車両。フロントビュー
今後マセラティは、MC20のフルEVバージョンも追加することを明言している。

MC20は発表当初より、クーペに加えてカブリオレバージョンを追加することも告知していた。さらに、将来的にはフル電動化も可能な設計になっているという。

MC20シリーズはマセラティ本社に隣接する工場(Viale Ciro Menotti=ヴィアーレ・チロ・メノッティ)で生産される。マセラティは他に、ギブリとクアトロポルテをトリノのグルグリアスコにあるアヴォカート・ジョヴァンニ・アニェッリ工場で、レヴァンテをトリノのミラフィオーリ工場で現在生産を行っている。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…