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Maserati MC20 Convertible
MC20コンバーチブルのプロトタイプが完成

マセラティは2021年12月21日、MC20 コンバーチブルのプロトタイプを公開した。試作車はすでにイタリア モデナの工場をラインオフし、これからカモフラージュをまとった恰好でテスト走行へ臨んでいく。擬装により現時点での詳細は不明だが、ソフトトップではなくリトラクタブル ハードトップを採用すると見られている。
MC20は、マセラティの新章を告げる新型ミッドシップスーパースポーツ。シャシーからエンジンまですべて新設計、新開発した力作である。“MC”は「Maserati Corse」の頭文字であり、Corse=コルセはレースフィールドとの強い繋がりを示唆している。“20”は、マセラティが新しい時代に向けての歩みを進めた重要な節目である「2020年」から。ちなみに、マセラティはすでにMC20で競技シーンへ復帰することも公言済みだ。
新規開発・完全内製のV6ターボを搭載

ミッドシップするのは「Nettuno(ネットゥーノ)」と名付けられた3.0リッターV6直噴ターボエンジン。最高出力630ps/7500rpm、最大トルク730Nm/3000〜5500rpm、レブリミット8000rpmの最新ユニットは、開発から組み上げまですべてを内製で実施する。つまり、20年以上ぶりの完全自社製パワーユニットだ。Nettunoは海神ネプチューンを意味するイタリア語である。
ネットゥーノユニットは、バンク角90度のV型6気筒アーキテクチャーを基本に、電動ウェイストゲートを設けたターボチャージャーをはじめ、ドライサンプ方式、可変バルブタイミング機構を採用した。圧縮比は11:1で、ボア径88mm×ストローク長82mm。新世代エンジンに求められる高い効率性を実現するべく、マセラティは燃焼技術に注力。F1テクノロジーを応用し、ツインプラグを配したプレチャンバー(副燃焼室)燃料システムも取り入れている。
このネットゥーノユニットに組み合わされるのは8速DCTで、後輪を駆動。0-100km/h加速は2.88秒、最高速度は326km/hを公称する。
空力性能開発にはダラーラが協力

MC20のボディはカーボンファイバーと複合材で構成。スタイリングは、トリノのマセラティ・チェントロ・スティーレ(デザインセンター)が担当している。マセラティ史上初の跳ね上げ式バタフライドアを採用するなど、いかにもスーパースポーツらしいスタイリングを実現した。アッパーボディ部は比較的クリーンでシンプル、かつ彫刻のようなアートワークとなるようにデザイン、下段はテクノロジーの結晶として機能性を重視した2層構造を採用しているのもユニークな点。ボンネット上のエアインテークとリヤフェンダー上部にあるエアダクトは、角度によってほとんど見えなくなる絶妙な配置と形状になっている。
これらのデザインすべてが空力性能に裏付けられているのもMC20の特徴だ。空力性能開発にはダラーラが協力しており、ダラーラの風洞実験室で2000時間以上に及ぶ試験と、流体力学を用いた1000回超のシミュレーションを実施。新時代のスーパースポーツカーに相応しい空力ボディを完成させた。
MC20は由緒正しきモデナの地で生産

MC20は発表当初より、クーペに加えてカブリオレバージョンを追加することも告知していた。さらに、将来的にはフル電動化も可能な設計になっているという。
MC20シリーズはマセラティ本社に隣接する工場(Viale Ciro Menotti=ヴィアーレ・チロ・メノッティ)で生産される。マセラティは他に、ギブリとクアトロポルテをトリノのグルグリアスコにあるアヴォカート・ジョヴァンニ・アニェッリ工場で、レヴァンテをトリノのミラフィオーリ工場で現在生産を行っている。