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リアルでもバーチャルでも好戦績を記録

メルセデスAMG モータースポーツは、2021年シーズンも数々の名場面を作り出してレースファンを喜ばせた。1年を総括するレポートでは、ハイライトシーンを振り返りつつ、メルセデス-EQ フォーミュラEチームを率いるイアン・ジェームスがフォーミュラEの2022年シーズンに向けての抱負を語っている。
ブラジルを舞台にしたカスタマーレース、「インペリオ エンデュランス ブラジル」では年間タイトルを獲得。リカルド・バプティスタとカカ・ブエノというふたりのブラジル出身ドライバーを擁するチームRCがGT3チャンピオンに輝いたことで、カスタマーレースでAMGが取得したタイトルは31個となった。

現実世界だけでなく、バーチャル世界でも好戦績を残した。2021年12月12日に行われた「デジタル・ニュルブルクリンク・エンデュランス・シリーズ(DNLS)」第2ラウンドでは、メルセデスAMG E-スポーツチームがポディウムに。ノルバート・キス(ハンガリー)とジャック・セジウィック(イギリス)が駆ったゼッケン57のマシンは3時間の耐久レースで見事3位に入賞した。ちなみに同レースには総勢5台のGT3マシンが参戦しており、10位以内に3台のAMGが収まっている。
盤石の体制で挑む2022年シーズンのフォーミュラE

ABB FIA フォーミュラE世界選手権で、メルセデス-EQ フォーミュラEチームを率いるイアン・ジェームスは、8度目のシーズンとなる2022年を見据えている。2022年シーズンをどのように迎え、戦うのか。そのビジョンについて語った。
「継続性と安定は、非常に重要な要素です。ことわざに、こんな言葉がありましたよね?『壊れていないのなら、直すな!』って。しかしその一方で、成功したとしても改善の余地が無いということにはならない。そんな古い格言もあります。(AMGファクトリーがある)ブラックリーと(AMG F1のパワーユニット開発チームのある)ブリックスワースを拠点に、我々は相乗効果を生み出すべく計画を推し進めてきました。ニック・デ・フリースとストフェル・バンドーンは二人とも、非常に重要な役割を果たしてくれています。彼らは素晴らしきドライバーであると当時に、ゼロから作り上げたこのチームに大きな成長をもたらしてくれました。この体制を継続したまま次のシーズンを迎えられることは、明らかに相当なアドバンテージです」
バンクーバーやソウル、ジャカルタが加わった新レースカレンダー

「皆がレースへの復帰を期待しています。しかし、パンデミックという問題に挑まなければいけない状況にあって、長い道のりが待ち受けているということは認めなければなりません。我々が進むべき道を注意深く探り続ける一方で、正しい方向へ進んでいるのだと感じていただける機会も用意します。フォーミュラEのシーズン8への参戦も、そのひとつとなることを望んでいます。バンクーバーやソウル、ジャカルタといった新しい刺激的な舞台も加わった、印象的なレースカレンダーが待ち構えています」
「(シーズン8から採用される)新しい予選フォーマットが魅力的なものであると証明されなければいけません。ファンをこれまで以上にワクワクさせるとともに、ドライバーとチームにとっても新鮮なチャレンジとなるように。また、エネルギーマネージメントは常にフォーミュラEにおける極めて重要な要素のひとつですが、(出力の引き上げと、状況に応じたレース時間の延長といった)ルールの変更によりさらにその重要性は増すことでしょう」
競技としてのレベルがどんどん高まるフォーミュラE

「(新ルールが適用されても)基本的な変更はありません。しかし、細かい部分にこそ詰めが必要です。戦略にもたらす影響は確かにありますから、細部の調整に必死で取り組んでいるところです。今は多くの時間をかけてシミュレータによるテストを行っています。新シーズンで遭遇するであろう様々なシナリオを想定し、パフォーマンスや戦略について各エンジニアが全ての要素を確認しています。もちろん全てのシナリオを予測することは不可能なので、柔軟性と適応力も重要です。来るチャレンジに向けて、我々のチームは真っ向から立ち向かっていくことができると確信しています」
「フォーミュラEは、レースシーンに登場して以来、競技としてのレベルをどんどん高めてきました。しかし、その傾向はパンデミックにより幾分か抑え込まれてしまいました。イベントを開催すること自体が大変なチャレンジだったのです。なんとか正常さを取り戻しつつある今、イベントが開催できる段階にきているようです。すなわち、私たちのポテンシャルを披露するとともに、我々自身も進化し続けることができるレースイベントです。シーズン8の新レギュレーションは“Gen2”の魅力を引き上げてくれるでしょう。その一方で、私たちは次なる“Gen3”、そしてその先にあるものも見据えていかなければなりません」