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自動車メーカー/レーシングチームにアジャスト
「DMG」は、Dynisma Motion Generator(ダイニズマ・モーション・ジェネレーター)の略称であり、シミュレーターに革新的なアプローチをもたらすシステム。ドライバーとクルマのパフォーマンス最適化を狙うトップモータースポーツチーム、先進的な車両開発・テストを行う自動車メーカーやパーツサプライヤーにおける使用を想定し開発された。
ダイニズマは、2021年7月にスクーデリア・フェラーリに最新シミュレーターシステムを納入。フェラーリ本社とフィオラノ・サーキットの間にある新たな施設にダイニズマ製シミュレーターを設置し、試運転も完了した。今後数週間をかけてキャリブレーション作業が行われ、9月から2022年型F1マシンの開発作業に使用される。
DMGのシミュレーター技術は、ライバル製品と同等の価格でありながら、50%以上高いパフォーマンスが確保されている。ダイニズマのアシュレイ・ウォーンCEOは、「DMG-1」について次のように説明する。
「私たちの使命は、世界で最も没入感のあるシミュレーターを作り、ドライバーやエンジニアが望む高忠実度かつ高応答性を実現する、モーションジェネレーターへのアクセスを広げることです。ダイニズマの先進的なテクノロジーを導入した『DMG-1』は、モータースポーツ、自動車メーカー、自動車パーツサプライヤーが求める要求に対する完璧なソリューションと言えるでしょう」
テストに必要なコストだけでなく環境への影響も低減
今回発表された「DMG-1」と「DMG-1C」も、F1用ドライビングシミュレーター分野で20年以上の経験を持つエンジニアチームによって開発された。
非常に高度なシミュレーションが可能となるため、自動車メーカーやサプライヤーは、乗り心地、ハンドリング、タイヤ開発など、従来は実際の道路上でないとできなかった高度なテストを、バーチャル環境で行うことができる。また、複雑かつ危険なビークルダイナミクステストを安全な状態で実施することも可能だ。
非常にリアルな走行状態を再現する「DMG-1」を使用すれば開発にかかる実走距離を短縮可能で、ハンドメイドによる試作パーツ数を減らすことにもつながり、自動車開発にかかるコストを劇的に削減できる。また、テストやそれに伴う移動による環境への負荷を減らし、新車の市場投入までの期間を短縮することも可能になる。
「ダイニズマのモーションジェネレータは、ドライバーやチームのパフォーマンスを劇的に向上させるだけでなく、自動車開発のテストをより効率的に行うことができます。世界の自動車産業は現在、テスト用車両の製作に年間7億ポンドを費やしていますし、テストカーは膨大な距離を走行しています。『DMG-1』のシステムは車両テストにかかるコスト、二酸化炭素排出量、時間を削減するだけでなく、エンジニアも機密性の高い100%安全な仮想環境でテストを行うことを可能にしたのです」と、ウォーンCEOは付け加えた。