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GR ヤリスのフルチューン仕様を初披露

コロナ禍直前、2020年1月に開催された「東京オートサロン 2020」の「Toyota Gazoo Racing」ブースは近年稀に見るほどの熱気に包まれていた。黒山の人だかりとなった報道陣がいまや遅しと登場を待ち構えていたのは、新型GR ヤリス。WRCを勝ち抜くために生まれたホモロゲーションモデルは、ものすごい数のストロボと、どよめきの声ともにアンベールされた。
あれから2年。ソーシャルディスタンスが徹底された今回の「Toyota Gazoo Racing」ブースは広々とパーソナルスペースが取られ、報道陣の数も最小限に抑えられている。会話する声もほとんど聞こえてこない。しかし、静かな空気の中には一種独特の張り詰めたムードが漂っていた。皆が熱視線を送るのは、前回大注目を集めたGR ヤリスのフルチューン仕様「GRMN ヤリス」と「GR GT3 Concept」。Gazoo Racingのモータースポーツ活動がさらに熱を帯びてきたことを実感させる2台が登場したのである。
GRMN ヤリスは500台限定で731万7000円から

実際のモータースポーツの現場で得られた知見をベースにチューンを施したというGRMNヤリスは、500台のみを販売する限定モデルだ。ボディ剛性強化や約20kgの軽量化、車高-10mmによる低重心化、全幅+10mmによる空力改善などを実施するとともに、機械式LSDやクロスギヤレシオトランスミッション、ローファイナルギヤのセットを搭載した。さらに、「アップデートプログラム」と「パーソナライズプログラム」という2つのサービスを設定。ソフトウェア更新により、エンジンパワーや制御などを随時最適化できるようにするという。
GRMNヤリスはベースグレードの他に、スーパー耐久シリーズ参戦からフィードバックを受け、ロード性能をさらに追求する“Circuit package”を設定。また、販売店装着オプションとして、全日本ラリー選手権参戦からフィードバックを受けて開発したパーツを集めた“Rally package”も販売する。車両価格は731万7000円〜846万7000円で、2022年夏頃からの発売を予定。発表当日(2022年1月14日)から専用サイトでの予約抽選受付を開始している。
GT3マシンの試作車は2022年中に完成か

GT3マシンのスタディモデル「GR GT3 Concept」は、現時点(2022年1月)ではパワートレインや性能数値などは未発表。しかし、Gazoo Racingカンパニーの佐藤恒治プレジデントは次のように語る。
「我々もいよいよGT3へ本格的に向き合いたいと。コンセプトとは書いてありますが、レギュレーションを見据えてちゃんと開発が始まっています。年末には試作車も完成する予定です」
展示車はもちろんモックアップだが、ロングノーズ/ショートデッキのコンベンショナルなスタイルは、これまでのトヨタのデザイン言語とは明らかに異なる路線。ホモロゲーションのための市販仕様が登場する可能性も濃厚であり、流麗なファストバックのスポーツクーペがトヨタから登場するとなれば期待は高まる。カスタマースポーツの最高峰であるGT3をGRが本気で作ったらどうなるのか。その答えは、そう遠くない未来に明らかになりそうだ。
2000GTやAE86レビンの復刻パーツも

さらに、「Toyota Gazoo Racing」ブースの一角にはGRヘリテージパーツプロジェクトの専用スペースも設置された。同プロジェクトでは「思い出の詰まった愛車に乗りたい」という顧客の声に応え、廃版となった補給部品を復刻し、純正部品として再販売している。今回の展示品には、2022年に発売を予定しているA70スープラ、A80スープラ、トヨタ 2000GT、ランドクルーザー40系、AE86カローラレビン/スプリンタートレノの復刻部品の一部を展示していた。
今回の「Toyota Gazoo Racing」ブースで展示された内容や開催したイベントのムービーなどは、専用の特設サイトで公開されている。小林可夢偉氏や中嶋一貴氏らモータースポーツのキーパーソンが未来を語るトーク番組など、コンテンツは盛りだくさん。「東京オートサロン2022」は閉幕したが、自宅でバーチャル観覧を楽しんでみてはいかがだろうか。
【関連リンク】
・東京オートサロン2022 Toyota Gazoo Racing特設サイト
https://toyotagazooracing.com/jp/eventexhibition/tokyoautosalon/live/