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電動化に向けて25億ポンドを投資
「ファイブ・イン・ファイブ」計画の発表に先立ち、サステナビリティ実現に向けた25億ポンドの投資と、2025年に発売が予定されているベントレー初のフルバッテリーモデルを、英国・クルーのプライスタグ本社で設計・開発・生産することが明らかにされた。
こうした発表はクルー工場の従業員やクルーの地域全体を活気づけるものであり、価値ある製品を生み出す持続可能な生産拠点として、英国経済への貢献が期待される。この投資によってクルー工場の製造インフラを根本的に見直すこととなり、次世代の製品や将来クルーで働く人を見据えて、クルー工場を拠点とした未来への足固めを行うことになる。
クルー工場が目指す「ドリームファクトリー」
クルー工場が目指すのは「ドリームファクトリー」。つまり、デジタル化と環境負荷ゼロを実現し、高い価値を生み出すフレキシブルな生産施設となることをベントレーは目指している。
歴史あるクルー工場はすでに大規模な改革が行われ、業界の先陣を切ってカーボンニュートラル認証を取得。今後はさらなる投資と「ビヨンド100」戦略の加速によって、全ラインナップと非製造業務のカーボンフットプリント削減に注力し、2030年までに組織全体でのカーボンニュートラル達成を目指す。
具体的な活動のひとつとしては、敷地内のソーラーパネルを今後2年間で3万枚から4万枚に増設。クルー本社での発電容量の増加を計画している。また、ベントレーのヘリテージコレクションを含め、同社が所有する車両に持続可能なバイオ燃料を使用することも検討しているという。
2030年までにエンド・トゥ・エンドのカーボンニュートラルを達成するため、ベントレーはパートナー企業にも協力を仰ぐ。また、サプライヤーには持続可能性に関する最低限の基準を満たすことも期待。ベントレーのグローバルリテーラーネットワークに対しては、遅くとも2025年までにカーボンニュートラルを達成することを求める予定となっている。
新構想「ドリームファクトリー」には、生産活動による環境への影響をゼロに近づける取り組みが含まれている。クルー工場は2019年にカーボンニュートラル認証を取得しているが、ベントレーは2030年までの達成目標として、クルーで生産されるすべての車両について、使用水量、埋め立て廃棄物、その他環境負荷を最小限まで減らすとした。
22年にフライングスパーPHEVを投入
ラインナップの充実も計画されている。ラグジュアリー・ハイブリッドモデルの先駆者としての地位をより強固なものとするため、2022年は「フライングスパー PHEV」を発売。さらに派生モデル5車種も投入し、これらのニューモデルと最新のベンテイガ PHEVでカスタマーの多様なニーズに応えていく。 2022年の販売台数は、2割強がハイブリッド車になる見込みとなっている。
ベントレーモーターズのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは、今回発表された新たな施策について、次のように説明した。
「25億ポンドの投資を行い『ビヨンド100』戦略の加速と、バッテリーEV生産に向けたクルー工場の改革を並行して進めることで、102年の歴史を誇るベントレーは重要な転換点を迎えます。そしてこのことが、ベントレーの組織全体ならびにサプライヤーやパートナーの皆様、さらには自動車業界と英国製造業の前途を照らす光明となることを願っています」
「ビヨンド100戦略に関する今回の発表によって、輝かしい歴史を刻んできたベントレーは大いなる変革に向けて本格的なスタートを切りました。変化し続けるこの世界で、私たちは環境への影響をゼロにするという役目を果たさなければなりません。ベントレーは2030年までにエンド・トゥ・エンドのカーボンニュートラル達成を目指し、持続可能なラグジュアリーモビリティを牽引するメーカーとして生まれ変わります」