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Porsche LMDh prototype
2023年1月のデビューに向けてテストを公開

ポルシェは、北米のスポーツカーシリーズであるIMSAウェザーテックスポーツカー選手権と、FIA世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリーに、2023年から「LMDh プロトタイプ」を投入。LMDh規定はIMSAが2020年に発表した新マシン規定で、LMP2シャシーをベースにハイブリッドパワートレインを搭載。WECとIMSAの両シリーズを戦うことができる。
ポルシェは、アメリカを拠点とするレーシングデベロップメント「ペンスキー(Penske)」と共同で、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(Porsche Penske Motorsport)を立ち上げ、WECとIMSAに参戦。今回、2023年1月のレースデビューに向けた、集中的なテストプログラムが開始された。
パワーユニットにV8ツインターボを選択

デビュー戦は今からちょうど1年後、IMSAシリーズの伝統的な開幕戦「デイトナ24時間レース」を計画している。レギュレーションで定められた標準的ハイブリッドシステムに組み合わされるのはV型8気筒ツインターボユニット。このパワフルなエンジンは再生可能燃料で走行できるように設計されており、CO2排出量を大幅に削減することが可能となった。ハイブリッドシステムと組み合わせることで、最高出力は約500kW(680ps)にまで達する。
ポルシェ・モータースポーツの副社長を務めるトーマス・ローデンバッハは、LMDh プロトタイプについて次のようにコメントした。
「LMDh プロトタイプに搭載するエンジンは、製品ラインナップに有望なベースユニットが複数あるため、様々なオプションがありました。検討の結果、性能特性、重量、コストの最適な組み合わせであるV8ツインターボに決定しました。今回テストプログラムがキックオフしたことは、このプロジェクトにとって重要なステップとなります」
共通のハイブリッドシステムを搭載

LMDhマシンのエンジンレギュレーションは、排気量、設計、気筒数など、非常に自由度が高いのが特徴。それでも、最高回転数は1万rpm、通過騒音110デシベルを上限とし、エンジン重量は給排気系や周辺の冷却デバイスも含めて180kg以上としなければならない。ターボチャージャーを使用する場合、インタークーラーも含めた重量となる。
レギュレーションに基づき、システム最大出力は480~520kW(653~707ps)。この範囲はすべてのLMDh規定で開発されたレーシングカーが公平に競争できるよう、性能調整(BoP:Balance of Performance)も計画されている。
また、共通のハイブリッドシステムは、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(バッテリー)、ボッシュ(モータージェネレーターユニットとコントロールユニット)、Xトラック(トランスミッション)が供給する。
ヴァイザッハで行われたシェイクダウン

ポルシェ・モータースポーツのLMDhプロジェクトマネージャーのウルス・クラトルは、現在の状況について次のように説明した。
「今回のLMDhレーシングカーのシェイクダウンは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツにとって初のサーキット走行になりました。チームに関しては、最初からうまく機能することができました。これは、あらゆる分野で高いレベルのプロフェッショナリズムを発揮していることを示しています」
「ハイブリッドレーシングカーを安全に走らせるために求められるオペレーション要件は非常にレベルが高いと言えます。次回の走行では必要なプロセスや手順をより深く掘り下げていくことに重点を置くことになるでしょう。ヴァイザッハにおける最初のテストでは、V8ツインターボが非常に印象的なパフォーマンスを見せてくれました。私たちは、まさに正しいユニットを選択したと確信しています」