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Maserati Grecale
北欧の氷雪地帯でグレカーレの性能を検証
レヴァンテに続く第2のSUVとして、現在マセラティは「グレカーレ」の開発を進めている。当初は2021年11月のワールドプレミアを予定していたが、コロナ禍に生じた半導体不足の関係で、お披露目時期を2022年春に延期。晴れの舞台を目前に控えたこのタイミングで、プロトタイプによる雪上テストの様子が公開された。
開発部隊が向かったのは極寒の地、北欧スウェーデン。林間地帯から気温マイナス30度の極寒地帯まで、氷と雪を相手に走行性能と信頼性を検証した。今回のテストでは、様々な種類やサイズのホイールを使用したり、走行モード毎のトラクションやアンダー/オーバーステアなど挙動の微調整も行ったという。また、あらゆる気象上条件下でもキャビンの快適性をキープできるよう、徹底的なチェックが重ねられたようだ。
マセラティの新時代を支える基幹車種に
低μの氷雪路はもちろん、グレカーレは急勾配やタイトコーナー、直線路、サーキットまでありとあらゆるコースでマセラティならではの走りを発揮できるように鍛えられてきた。レヴァンテよりコンパクト、すなわち軽量になると目される車両は、より機敏な運動性能を与えられていると想定される。MC20以降、新章を歩き始めたマセラティにとっての基幹モデルになることは間違いなく、その完成度には大きな期待が寄せられている。
ちなみに車名の「グレカーレ」は、地中海に吹く激しい北東の風を意味する。風にちなんだ車名を与えるのはマセラティの伝統だ。1963年の「ミストラル(南仏名物の季節風)」から始まったその慣わしは、「ギブリ(サハラ砂漠に吹く熱く乾いた風)」、「ボーラ(ディナル アルプス山脈から吹きおろす北東からの風)」、「カムシン(エジプトで春になると吹く砂混じりの熱風)」と、連綿と続けられてきた。2016年に誕生したマセラティ初のSUV「レヴァンテ」は地中海に吹く穏やかな風(ときに強風にも変化するという)の名に由来していた。穏やかな風と激しい風。レヴァンテとグレカーレには一体どんな違いが与えられているのか、車名ひとつからも様々に想像が掻きたてられる。
これまでに、250台を優に超える数のプロトタイプが日本、アメリカ、アラブ首長国連邦、中国、フィンランド、イタリアなどで実走テストを行ってきたグレカーレ。生産は、モデナから南東へおよそ500kmほどの場所に建つカッシーノ工場で行われる。