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陸軍兵士がエクストリームEの最終戦でマーシャルを担当

エクストリームEはフル電動オフローダーを用い、男女ペアのドライバーによって競われる全く新しいレースシリーズ。当初予定されていたパタゴニア・ラウンドがキャンセルされたことを受けて、2021年12月18~19日に英国・ボビントンにおいて、最終戦ジュラシックX Prix(Jurassic X Prix)が開催された。
今回、最終戦の舞台となったのはボビントンの陸軍戦車演習地だったことから、陸軍の兵士たちがイベント準備やマーシャルを担当した。迅速なコース設置やスムーズなイベント管理など、陸軍のロジスティック能力をあらためて証明するかたちとなったという。そして、エクストリームEは、持続可能性や男女平等の推進に重点を置いており、これは英国陸軍が現在進めている取り組みとも共通点が多い。
様々な競技への女性参加を進めるBAMA

イベントをサポートした英国陸軍モータースポーツ協会(BAMA)は、モータースポーツに参加する女性たちにスポットを当て、参加数を増やすために様々な施策を導入している。
BAMA女性部門はまだ設立から間もないものの、女性の才能を育て若い兵士が男性中心のスポーツであるモータースポーツに挑戦することを奨励。BAMAは1960年代に設立され、現在は、4×4ナビゲーション、スポーツカーレース、カート、ラリー、トライアル、エンデューロ、ロードレース、アドベンチャーという8つのカテゴリーで構成されている。
BAMAのメディア担当リーダーのラウラ・トンプソンは、女性メンバーが陸軍やモータースポーツで活躍することの重要性を次のように説明する。
「軍隊やモータースポーツ業界では、男性よりも女性の地位が低くかった過去があります。どちらの業界もより公平化を進める動きがあるなか、何もしないままでは英国陸軍モータースポーツ協会が取り残されてしまう危険性がありました」
「私たちの仲間には、信じられないほどの才能を持った女性がいますが、まだ数が圧倒的に不足しています。BAMA女性部門のようなグループを立ち上げることでそのチャンスをアピールし、女性兵士がモータースポーツというエキサイティングな世界に足を踏み入れることを奨励できればと思います」
「先日、ボビントンで開催されたエクストリームEでは、女性がモータースポーツにおいて男性と同じレベルで競技でも成功できることを証明していました。 そして何より、モータースポーツに参加する楽しさだけでなく、ロジスティックスや身体的なタフさなど、この場所だからこそ得られるスキルや強みが兵士としてのキャリアに反映できるのです」
男性優位の軍隊やモータースポーツで活躍するために

エクストリームEにマーシャルとして参加したメイジー・ダヴ上等兵は、現在、陸軍エンデューロチームで唯一の女性メンバー。エンデューロはオフロードバイクで未舗装のコースを舞台にタイムアタックを行うタフな競技だ。彼女は英国陸軍モータースポーツ協会において、どのような活動を行っているのか説明してくれた。
「エンデューロは肉体的にも精神的にもとてもキツいスポーツで、このふたつの要素を調和させることができます。モータースポーツで培った精神力は軍隊での仕事にも活かされています。私は幼い頃からバイクに乗り、競技に参加してきましたが、大人になって英国陸軍でこれほどまでに手厚いサポートを受けられるとは思ってもみませんでした」
「また、陸軍は私のスポーツの可能性を広げるために、時間と心強いバックアップをしてくれています。それもあって、可能な限りベストを尽くすことができると言えるでしょう。私はとても歓迎されてますし、大切なチームの一員だと感じています。陸軍でモータースポーツに興味がある女性がいれば、ぜひオススメしたいです」