ブガッティ110周年を記念する10台限定のハイパーカーが通過すべき試練

ブガッティ チェントディエチの開発現場に迫る。7日間のテストが行われる「特別な部屋」とは

ブガッティ チェントディエチのプロトタイプ。正面ビュー
ブガッティの「人工気候室」で開発テストが行われたチェントディエチのプロトタイプ。マイナス20度〜50度という気温下で、各機能が正常に動作するかどうか、パーツに問題が無いかどうかなど、細かな部分の検証が行われた。
ブガッティが2019年に発表した110周年記念モデル「チェントディエチ」は、2022年のデリバリーを目指して開発が続けられている。たった10台のみという限定仕様ながら、そのテストプログラムは綿密そのもの。今回ブガッティは、人工気候室における試験現場の様子を公開した。

Bugatti Centodieci

ワンオフでも量産でも開発プロセスは同じ

ブガッティ チェントディエチのシリアルプレート
2019年夏にお披露目されたブガッティ チェントディエチ。800万ユーロ(約10億4000万円)と途方もないプライスタグを掲げるものの、発表からものの数時間で「完売御礼」になったという。

優に一億円を上回る車両価格を掲げるブガッティ車は、例えワンオフモデルであれ、量産モデル(とはいえ“大量”に生産されないのがブガッティだが)であれ、等しく厳しい開発プログラムが課されることで知られている。300km/h超での走行に耐え得る品質、かつ、顧客が「これぞブガッティ」と納得できるパフォーマンスを実現するには、妥協なきモノ作りが必要不可欠である──というのが彼らの信念だ。

わずか10台のみが作られるチェントディエチの開発現場にも、その姿勢が貫かれている。先ごろは、1週間を通じて「人工気候室」におけるテストが行われたばかりという。車体に使用されているカーボンやチタン製のネジなど、各部のパーツがいかなる気候下でも十分な機能を発揮するかどうかを徹底的に検証するプログラムである。同社で少量生産及びワンオフモデルを担当しているテクニカル・プロジェクトマネージャー、カール・ヘイレンケッターは次のように説明する。

「他のブガッティ車同様、チェントディエチもあらゆる気象条件下で確かな性能を発揮できなければなりません。例え摂氏50度の灼熱でも、マイナス20度の極寒であっても。人工気候室では様々な種類のテストを繰り返し行うことが可能で、結果を正確に見比べることが何度でもできるのです」

ウインドウの開閉機構も自社エンジニアがチェック

ブガッティ チェントディエチのプロトタイプ。サイドウィンドウ
ブガッティ チェントディエチのサイドウインドウ。10台のみの限定生産モデルとはいえ、確かな品質基準を担保するべく、サイドウインドウの開閉動作ひとつとっても自社エンジニアが徹底的なテストを行うのがブガッティ流。

例えば寒冷テストでチェックされる項目のひとつに、サイドウインドウの開閉機構がある。ブガッティの社内基準及び法規に則り、確かな耐久性はもちろん、万一の際の挟み込み防止機能に問題がないかどうかが厳しく検証される。サイドウインドウ用モーターにはあらかじめ適切なパラメーターが設定されており、滑らかな開閉動作と共に、乗員を保護するための停止/下降機能が常時稼動するようになっている。

テストでは、ブガッティのテストチームは防寒スーツと帽子、グローブで完全防備した上で、人工気候室の中で何時間もテストを繰り返し行う。サイドウインドウは数百回にわたって開閉動作を繰り返し、その圧を都度計測。正しく動作させるためには、モーターの出力だけでなく、摩擦係数やギヤ、ガラスといったすべての要素が正しく調和していなければならない。「ガラスランの摩擦は気温によって様々に変化するため、そのことを念頭においてモーターを制御するソフトウェアを設計する必要があります」と、 電装品関係の開発を担う同社エンジニア、ジルフ・フィードラーは説明する。

2022年中に10台すべてをデリバリー予定

ブガッティ チェントディエチのプロトタイプ。フロントビュー
ブガッティの創業110周年を記念して、2019年に発表された「Centodieci(チェントディエチ=イタリア語で110を意味する)」。伝説のEB110にオマージュを捧げる特別なモデルが、間もなく生産をスタートしようとしている。

800万ユーロ(約10億5800万円)という驚愕のプライスタグを掲げるチェントディエチは、伝説的な「EB110」にオマージュを捧げる記念碑的モデルとなる。古典的なフォルムを現代的に再解釈したうえで、先進的なエアロダイナミクスの要件を組み合わせたスタイルを特徴としている。搭載するのは、ブガッティ自慢の1600馬力を発揮する8.0リッターW型16気筒エンジン。300km/h超での走行を目標に掲げるハイパーカーゆえ、厳しい状況下でもバランスの取れたハンドリングを実現するべく、世界各地で広範な走行テストが重ねられてきた。

チェントディエチは、すべてのテストプログラムが完了次第、すぐにフランス・モルスハイムで生産が開始される。販売分の10台は、すべて2022年中にオーナーの元へデリバリーされるという。

ブガッティ チェントディエチの風洞実験イメージ。フロントビュー

ブガッティ チェントディエチ、邦貨約10億円のスーパーカーの開発現場に迫る 【動画】

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…