アストンマーティン、V12エンジンを搭載する最後の「V12 ヴァンテージ」発表

アストンマーティン V12 ヴァンテージ登場! 333台限定の「最速・最強・最高峰」モデル 【動画】

アストンマーティン V12 ヴァンテージのフロントビュー
アストンマーティンは2022年3月16日、“V12エンジンを積んだ最後のヴァンテージ”として、世界限定333台の「V12 ヴァンテージ」を発表した。
アストンマーティンは2022年3月16日、限定モデルの「V12 ヴァンテージ(V12 Vantage)」を発表した。700ps/753Nmの5.2リッターV12ツインターボを搭載する“史上最強のヴァンテージ”であり、世界限定333台の販売となる。

Aston Martin V12 Vantage

リミテッドかつファイナル・エディション

アストンマーティン V12 ヴァンテージのサイドビュー
アストンマーティン V12 ヴァンテージのトランスミッションには、ZF製8速ATを採用。V12 スピードスターやヴァンテージ F1エディション開発の際に得られた知見を活かし、専用のキャリブレーションを施しているという。

アストンマーティンが2022年3月16日に発表したV12 ヴァンテージ(V12 Vantage)は、世界限定333台を販売する特別仕様であり、V12エンジンを搭載する最後のヴァンテージである。全長4.5mという比較的コンパクトなボディに5.2リッターV12ツインターボユニットを搭載し、ヴァンテージ史上最強の700ps/753Nmを実現。パワーウェイトレシオはV8モデルを20%以上も上回る390ps/トンに達し、最高速度が200mph(約320km/h)、0-100km/h加速は3.5秒を誇る。

2018年に登場した現行ヴァンテージ(第4世代)はV8エンジン一本となったが、それまでの歴代ヴァンテージとV12は切っても切れない関係にあった。2009年のV12 ヴァンテージを皮切りに、ザガート仕様のレースカーやGT3モデルなどのバリエーションを輩出。V12 ヴァンテージをベースに2台だけが作られたCC100や、GT12、V600といった超スペシャルプロジェクトも生まれている。小さなボディに大きな12気筒エンジンを詰め込んだV12 ヴァンテージの強烈なパフォーマンスは、長きにわたって世界中のクルマ愛好家に高く評価され続けてきた。

正式発表前に333台を「完売」

アストンマーティン V12 ヴァンテージのV12ツインターボエンジン
アストンマーティン V12 ヴァンテージはバンク角60度の5.2リッターV型12気筒ツインターボエンジンを搭載。新しいリヤストラットタワーブレースも採用している。

熱烈なファンの要望に応えるように、アストンマーティンがV12 ヴァンテージの復活をほのめかしたのは2021年12月のこと。その反響は凄まじいものであったといい、「かつてないほどの問い合わせが殺到」(アストンマーティンの発表リリースより)し、正式発表の段階で予約受付はすでに終了。「発表前に完売したにもかかわらず、キャンセル待ちの長いリストが作成」されたという。

V12 ヴァンテージの強大なパワーは、ZF製8速ATと機械式LSDを介して後輪を駆動。高性能化にあわせてボディ各部にブレースを追加し補強にも注力。ボディのねじり剛性(kNm/度)は8%、横剛性(kNm/mm)は6.7%、それぞれ向上している。さらに、軽量化のためにフロントバンパー、ボンネット、フロントフェンダー、サイドシルにカーボンファイバーを、リヤバンパーとデッキリッドにはコンポジット材を使用。加えて軽量バッテリーや、ヴァンテージ比で7.2kg重量を削った専用開発の2本出しエキゾーストシステムも採用した。もちろんトランスミッションやステアリングなどには専用のキャリブレーションを施しており、クルマとドライバーが一体になったかのようなシャープなレスポンスを実現しているという。

最大204kgのダウンフォースを発生

アストンマーティン V12 ヴァンテージのコクピット
アストンマーティン V12 ヴァンテージのコクピット。内外装の各部はQ by Aston Martinによるビスポークプログラムを通して、自分好みの仕様に仕立てることが可能。

V12の溢れ出すパフォーマンスを受け止めるべく、ブレーキはカーボンセラミック仕様(CCB)が標準装備となる。摂氏800度という高温下でもフェードが起きづらいCCBディスクは、安定した制動性能を提供するだけでなく、スチールブレーキ比で23kgの軽量化も実現。ばね下重量の削減にも大きく貢献している。さらに、8kgの重量削減に繋がる21インチの軽量ホイールもオプションに設定した。そこに組み合わせるタイヤには、ミシュラン パイロット スポーツ 4S ハイパフォーマンスを採用している。

高速域でも安定した走行性能をキープできるようワイドトレッド化するとともに、ボディも約40mm拡大。横幅いっぱいに広がるフロントスプリッターや一体型リヤディフューザー、専用リヤバンパーなどを装備し空力バランスを最適化している。また、レーシングマシンを彷彿させる巨大なリヤウイングは、最高速度走行時に最大204kgのダウンフォースを生み出すための重要なデバイスとなっている。

エンジンへ十分なフレッシュエアーを送り込むべく、フロントグリルも25%拡大。ボンネットには熱を放出させるための馬蹄型ベントが与えられている。この意匠は、サイドのシングルピース型シルとあいまって、V12 ヴァンテージにレーシングカー然とした迫力を与えている。

「最速・最強・最高峰のダイナミズム」を誇る1台

アストンマーティン V12 ヴァンテージのトップビュー
サスペンションのスプリングレートは、フロントで50%、リヤで40%それぞれ強化。また、新しいアンチロールバーの剛性はフロントで5%高めた一方、リヤは41%ソフトに設定し、快適性にも配慮している。

アストンマーティンのトビアス・ムアースCEOは次のように語っている。

「偉大なスポーツカーのブランドには、決まってヒーローカーが存在します。現代のアストンマーティンにとって、それはV12 ヴァンテージです。初代V12 ヴァンテージといえるRS コンセプトが発表されたのは2007年のことでした。アストンマーティン最大のエンジンを、最小かつ最もスポーティなモデルに搭載する。そのアイデアは、世界中のお客様やファンを虜にしたのです」

「このレシピは、数年をかけて磨きあげられ、大成功を収めました。その本質は今も昔もあったく変わっていません。最速・最強・最高峰のダイナミズムを誇るV12 ヴァンテージとともに、この血統に幕が下ろされようとしています。我々のドライビング ダイナミクスの粋を具現したV12 ヴァンテージは、至高の中の至高としてその名を残します」

アストンマーティン V12 ヴァンテージのリヤビュー
アストンマーティン V12 ヴァンテージのリヤスタイルでとりわけ目を惹くのが、センターマウントの2本出しエキゾーストシステムと巨大なリヤウイング。「控えめなシルエットを好むオーナーのために」、リヤウイングにはレスオプションも設定している。

かつて、“ヴァンテージ”は強化エンジンを搭載した高性能なアストンマーティンのみに与えられた名前だった。「vantage(優越した状態)」の単語をモデル名に初めて冠したのは、1950年に登場したDB2の高性能仕様である。その名前は、アストンマーティンのピュアスポーツ精神を誇示する響きとして、21世紀にまで受け継がれてきた。そして、V12エンジンもまた、彼らにとって象徴的な存在であり続けた。

アストンマーティンにとって大切な2つのアイコンが組み合わされたV12 ヴァンテージのファイナルエディションは、2022年第1四半期に生産をスタート、2022年第2四半期からデリバリーを開始する予定である。

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三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…